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速さに強くなろう! その5(通過算)

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速さの練習問題 2011年06月06日19時48分
珍客!

お元気ですか?

昨日,ちょっとした事件がありました。

粟生(あお)というところに行った帰りの電車でのことです。

スズメが一羽,ちゃっかりと乗車していました。

数駅の後,開いた扉から出ていったのですが,
いあわせた乗客には小さなハプニングだったようです。

さて,「電車」とくれば…,今日のテーマも「速さ」です。

電車が登場する速さの問題といえば,やっぱり「通過算」ですよね。

では早速,チェック問題です。

(問題)
長さ60mの電車Aが秒速30mで上り方面へ,長さ40mの電車Bが秒速20mで下り方面へ進んでいます。電車Aと電車Bは鉄橋の両端に同時にさしかかり,すれ違いおえてから3秒後に電車Aが鉄橋を渡りおえました。この鉄橋の長さは何mですか。

「通過算のすれ違い」とくれば,
(電車の長さの和)÷(電車の速さの和)=すれ違いにかかる時間
という公式があります。

でも,こんなことをしているお子さんはちょっと危険かも…。
ケースA
(60+40)m÷(30+20)m/秒=2秒 (30+20)m/秒×2秒=100m 答え100m

ケースB
(60+40)m÷□m/秒=3秒 □=100/3m/秒 100/3m/秒×3秒=100m 答え100m

ケースC
(60+□+40)÷(30+20)m/秒=3秒 □=50m 答え50m

ケースAのお子さんもケースBのお子さんも
「鉄橋を渡る」ことを無視していますね。

ケースCのお子さんは「鉄橋を渡る」ことは意識できていますが,
3秒をすれ違いにかかる時間にすり替えてしまっています。

実はこの問題,上記の公式だけでは解けないんです。

このことに気付かず,
とにかく暗記している式にはめ込もうとしていると,
間違った答えを正解と思い込んでしまったり,
途中で混乱してしまって放棄してしまったりすることになります。

通過算で暗記しておくことは,
「絵を描けば解けるはずだ!」と
いうことなんです。


入試問題が相手なんですから,公式を覚えておくだけでは不十分です。

その絵を見て,
「速さ×時間=距離」で解こうとするか,
比で解こうとするか,
あるいはダイヤグラムで解こうとするかは,
そこまでの問題演習のやり方と量によって決まるでしょう。

もし,「電車のすれ違いは,最後尾の出会いと同じだ」
という「コツ」を知っていれば,
さらにこの問題は解きやすくなるでしょう。

この問題を絵にしたものを見て下さい。

アの→とイの←の比が,速さの比の3:2と同じであること,
ウの→30m/秒×3秒=90mの2つのことが分かりますね。

線分図のコツは,まず何がわかるかを図に書き込むことです。

するとイの←について,②=90m+40m=130m に気付けますね。

ここまでくればあと一息です。
アの→についても,130m×3/2=195m とわかりますから,
このことを絵に書き込むと,…。

鉄橋の長さは,(195-60)m+90m=225m と正解できます。

通過算で使う公式はおもに,

1.人や踏切を通過するとき → 電車の長さ÷電車の速さ=通過時間
br /> 2.鉄橋などを通過するとき → (電車の長さ+鉄橋の長さ)÷電車の速さ=通過時間

3.電車がすれ違うとき → (電車の長さの和)÷(電車の速さの和)=すれ違う時間

の3つですが,「通過のしかた」によって,「ひっかけ」がありますので,
楽に正解できる問題以外は,
「絵を描けば安全に解けるはずだ」ということを覚えることが大切ですね。


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速さの練習問題 2011年06月06日19時48分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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