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2013年 中学入試 平成26年度に向けて⑤

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中学入試の算数問題 2013年03月09日18時00分
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筑駒中
京王井の頭線 駒場東大前 徒歩7分、東急田園都市線 池尻大橋駅 徒歩15分

これまで何回かに渡ってみてきましたように、
2013年度入試は、いわば「どんな知識を使えばよいかわかりますか?」
いう問題が多く見られました。


問題の素材は誰もが知っているもの。
しかし、その扱い方が目新しいもの。


そんな問題の典型が、今回ご紹介する、平成25年度 灘中1日目-8 です。


時間をかければ新5年生でも正解が可能な問題です。
新6年生は、少し手早く処理したいところでしょうか。


2013年度 灘中 1日目

8 たくさんのマス目に、ある規則に従って1から400までの整数を書き入れていきます。1回目は図1のように書き入れました。それを消して、2回目は図2のように書き入れました。整数が2回とも書き入れられたマス目は、全部で□個あります。

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前回の7とは異なり、どこの中学でも出題されたことのある「数表」に関する問題です。


しかし、「2回とも書き入れられた」という扱い方は目新しいと思います。


「2回とも書き入れられた → 重なっている」までは、すぐに理解できると思いますが、
そこでお子さんたちは思うんでしょうか…?


「え~~~、400まで書き出すの!!」


ここで放棄するか、「なんだ、簡単じゃん!」と思うかの違いが生まれます。


それは「問題を解くときの知識と方針を持っている」かどうかです。


文中に方針を決める「ヒント」が2つありました。


これを見落とさないお子さんは、「なんだ、簡単じゃん!」組です。


ひとつ目は「規則」、ふたつ目は「400」です。


「400まで書き出すはずがない! きっと規則があるはずだ!」


これが、問題を解く方針の第一歩です。


そして、「規則を発見するには、小さい値で調べる」が方針の二歩目です。


これで方針が決まりました!!


さらに、知識として
「正方形タイプの数表は平方数に着目」、
「三角形タイプの数表は三角数に着目」を使えば、
もう手を動かすことができますね。

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このように調べてみると、
とりあえず正方形タイプのうち、の重ならない個数を引けばよさそうかも…
というところにたどり着きます。


ここまでくれば、あとは作業をするだけです。




これが、「どんな知識を使えばよいかわかりますか?」という問題の正体なんです。




問題文中のヒントから、
受験生として学んだ知識と解法の方針を
組み合わせる力を尋ねられているのです。




では「作業」を完了させておきましょう。


400=20×20 ですから、
1辺に20個のマス目がある正方形があればOKです。


また、1+2+3+…+25+26+27=378 ですから、
400=(1+2+…+26+27)+22です。


すると、下の図のようになります。

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ア(=379)からイ(=379+7=386)は8マスなので、
→には387~398の12個(20マス-8マス=12マス です)の整数が
太枠の正方形の中に書かれ、
399と400は正方形からはみ出します。

※もちろん、「22-20=2 なので2個はみ出す。」に気づくことができれば、
その方がグッドですね。



以上から、太枠の正方形から、11+10+…+2+1=66 をひけばよいので、
400-66=334(個)が答えです。


1+2+3+…という等差数列の計算力
400=20×20という平方数の知識
マス目のの数え方
図をまっすぐに書く「手(を制御する)力」(私は「てぢから」と読んでいます。)
のように、ひとつひとつの知識は平易です。


規則を調べるときは、
「(N=)1のとき…、2のとき…、3のとき…」のように
小さい方から順に調べるという調べ方も、単純です。


しかし、これらを「組み合わせる」ことは、
そのような意図を持って訓練しないと身にはなかなかつきません。


知識が少ないお子さんはまず知識からですが、
すでに一定の学習を積まれたお子さんは次のステップとして、
このような意図を持った解法の学習をするとよいと思います。
 
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中学入試の算数問題 2013年03月09日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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