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2015年度 中学入試に向けて 2

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場合の数の練習問題 2014年04月05日18時00分
第176回 「場合の数 2」




浅野中(四谷大塚 2014年度入試 合格可能性80%予想偏差値64)




今回も前回に引き続き、「場合の数」の苦手克服を考えます。




「場合の数」の学習は次のような階段を上る学習だと考えています。





今回はこの階段の3段目、
和の法則、積の法則が身についているかの確認問題を、
2014年度の入試問題からご紹介します。





【和の法則、積の法則が身についているかを確認する問題】

浅野中 2014年度 入試問題 より

大問4
点Xを出発点とし、点Yを到達点とする一筆書きについて、次の問いに答えなさい。

(1)[図3]において、点Xから点Yまでのすべての線をなぞって一筆書きをする方法は何通りありますか。
[図3]





(2)[図4]において、点Xから点Yまでのすべての線をなぞって一筆書きをする方法について、後の問いに答えなさい。
[図4]





(あ)X→A→B→A→B→C→B→C→Yの順に一筆書きする方法は何通りありますか。

(い)X→A→B→C→B→A→B→C→Yの順に一筆書きする方法は何通りありますか。

(3)[図5]において、点Xから点Yまでのすべての線をなぞって一筆書きをする方法は何通りありますか。
[図5]








(1)だけでしたら「一筆書き」の名の通り、
なぞって考えても解けますが、
(2)(3)はそうはいきません。


「積の法則」を用いれば(2)や(3)も正解が可能ですから、
お子さんが「場合の数」の階段を上ることが
できているかどうかがわかる問題のひとつだと思います。


(1) 下の図のように経路に名前をつけておくと考えやすくなります。







すると、次のような樹形図を書くことができますから、





3×2×1=6(通り) という計算でも求めることができるとわかります。




かけ算を利用した解き方のことを、場合の数では「積の法則」といいます。


積の法則は(1)や下の図のように、
同じかたちで枝分かれしているときに使える解き方です。




もし、下の図のような枝分かれの場合は




1+2×2=5(通り)のように、分けて計算することになります。


「場合の数の階段」の「樹形図の段」で理解が不十分ですと、
積の法則を誤って使う可能性があります。



また、この確認問題が積の法則で解けることに気づけない場合も、
「樹形図の段」で理解が不十分な可能性があります。


もし(1)が不正解ならば、樹形図を書くことから振り返りをしてみましょう。






さて、この問題は(1)で「積の法則が使えます」というヒントを与え、
(2)(3)を解かせる誘導形式の大問となっています。


そこで(2)もこの「積の法則」を用いて解いていきます。


(あ)は「X→A→B→A→B→C→B→C→Y」の順ですから、




1つ目に通る道は、ア~ウの3つから選べますから3通り、
2つ目に通る道は、ア~ウのうち1番目に通った道以外から選びますので2通り、
3つ目に通る道は、ア~ウのうち1番目と2番目に通った道以外の1通り、
4つ目に通る道は、エ~カの3つから選べますから3通り、
5つ目に通る道は、エ~カのうち4番目に通った道以外から選びますので2通り、
6つ目に通る道は、エ~カのうち4番目と5番目に通った道以外の1通りですから、
3×2×1×3×2×1=36(通り)とわかります。




(い)は「X→A→B→C→B→A→B→C→Y」の順にですから、

1つ目に通る道は、ア~ウの3つから選べますから3通り、
2つ目に通る道は、エ~カの3つから選べますから3通り、
3つ目に通る道は、エ~カのうち2番目に通った道以外から選びますので2通り、
4つ目に通る道は、ア~ウのうち1番目に通った道以外から選びますので2通り、
5つ目に通る道は、ア~ウのうち1番目と4番目に通った道以外の1通り、
6つ目に通る道は、エ~カのうち2番目と3番目に通った道以外の1通りですから、
3×3×2×2×1×1=36(通り)とわかります。








この(2)から、(3)も(2)のようにすれば解けそうだと気づかせてくれます。


そこで、

(あ)…X→「A→B→A→B」「B→C→B→C」「C→D→C→D」→Y






(い)…X→「A→B→A→B」「B→C→D→C→B→C→D」→Y






(う)…X→「A→B→C→B→A→B→C」「C→D→C→D」→Y






(え)…X→「A→B→C→D」「D→C→B→A」「A→B→C→D」→Y






分けて考えます。


(あ)は(1)を3回連続することと同じですから、6×6×6=216(通り)、

(い)は(1)と(2)を連続することと同じですから、6×72=432(通り)、

(う)は(い)を逆向きに進むと考えられますから(い)と同じ432通り、

(え)は、
1つ目にA→Bへ通る道は3通り、
2つ目にB→Cへ通る道も3通り、
3つ目にC→Dへ通る道も3通り、
4つ目に通る道は、D→Cのうち3番目に通った道以外から選びますので2通り、
5つ目に通る道は、C→Bのうち2番目に通った道以外から選びますので2通り、
6つ目に通る道は、B→Aのうち1番目に通った道以外から選びますので2通り、
7つ目に通る道は、A→Bのうち1、6番目に通った道以外の1通り、
8つ目に通る道は、B→Cのうち2、5番目に通った道以外の1通り、
9つ目に通る道は、C→Dのうち3、4番目に通った道以外の1通り ですから、
3×3×3×2×2×2×1×1×1=216(通り)とわかり、

216+432+432+216=1296(通り)が(3)の答えです。




(3)のように、
いくつかの場合に分けてたし算で答えをだす方法を「和の法則」といい、
「場合の数の階段」でひとつ上にある「場合分け」につながる考え方
です。


この大問のような「誘導形式」の問題を利用して、
「和の法則」の使い方を学び、
「場合分け」の理解につなげていくようにしましょう。


次回も「場合の数の階段」から、
「場合分け」の確認問題をご紹介したいと思います。

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場合の数の練習問題 2014年04月05日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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