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2015年度 中学入試に向けて 3

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場合の数の練習問題 2014年04月12日18時00分
第177回 「場合の数 3」





明治大学付属明治中(日能研 2014年度入試結果R4偏差値60)
平成26年度用 中学校別入試問題シリーズ(東京学参)




今回は「場合の数」の苦手克服の第3回、「場合分け」です。


「場合分け」は、5段ある「場合の数」の階段の4段目です。


問題の条件から解法の方針を決定し、
積の法則や和の法則、書き出しなどの1~3段目の解法テクニックを使って、
それぞれ何通りあるかを求めます。


この方針を決定するために、
「場合の数」以外の単元の知識も必要となってくることが、
他の階段と異なっています。





今回ご紹介する2014年度の入試問題は、
「数の性質」の知識を必要とする問題です。


【場合分けが使えいるようになっているかを確認する問題】


明治大学付属明治中 2014年度 入試問題 より

大問4
1、2、3の数字のカードがそれぞれ3枚ずつ、合計9枚あります。このとき、次の各問いに答えなさい。

(1)9枚のカードから3枚を取り出して並べ、3けたの整数をつくります。できる整数は全部で何通りありますか。

(2)9枚のカードから4枚を取り出して並べ、4けたの整数をつくります。そのうち、1122や3313のように 2種類の数字だけでできる整数は全部で何通りありますか。

(3)9枚のカードから4枚を取り出して並べ、4けたの整数をつくります。そのうち、3の倍数は全部で何通りありますか。








(1) 「3けたの整数」という条件だけですから、
一の位から数えて3けた目にあたる百の位について、
百の位の数が「1」の場合、「2」の場合、「3」の場合のように
場合分けをしていきます。


同じ数字のカードが3枚ずつありますから、
例えば、百の位が「1」の場合、次のような樹形図になります。





百の位の数は「2」の場合、「3」の場合でも同じ形状になりますから、
積の法則が使えます。


3×3×3=27(通り)


(2) 3種類のカードのうち、「1」「2」を使う場合を考えてみます。

4けたのうち、

「1」が3カ所、「2」が1カ所に使われている場合、
「1」が2カ所、「2」が2カ所に使われている場合、
「1」が1カ所、「2」が3カ所に使われている場合、

の3つの場合に分けることができます。


「1」が3カ所、「2」が1カ所に使われている場合は、




の、4通りです。


「1」が2カ所、「2」が2カ所に使われている場合は、




の、6通りです。


「1」が1カ所、「2」が3カ所に使われている場合は、





の、4通りです。


ですから、
「1」「2」だけで4けたの整数をつくる方法は和の法則で、
4+6+4=14(通り)です。


「1」「3」だけで4けたの整数をつくる方法も、
「2」「3」だけで4けたの整数をつくる方法も、
それぞれ同じ14通りとわかりますから、
14通り×3=42通りが答えです。




この問題を樹形図を書かないで解く方法もあります。


少し難しい場合の数を考えるときは、

①どんな組み合わせがあるか
②それぞれの組み合わせの並べ方は何通りあるか


の順に考えるようにします。


(2)であれば、はじめに

「3カ所で使うカードAと1カ所で使うカードBの組み合わせ」

を考えます。


Aに使えるカードは「1」か「2」か「3」の3通り、
Bに使えるカードはAに使ったカード以外の2通りですから、
3通り×2通り=6通り あります。


次に、

4枚のカード、A、A、A、Bの並べ方が何通りあるか

を考えます。


Bの並べ方は、千の位か、百の位か、十の位か、一の位の4通りです。


ですから、
「3カ所で使うカードAと1カ所で使うカードB」で4けたの整数をつくる方法は、
6通り×4通り=24通り です。


「2カ所で使うカードAと2カ所で使うカードBの組み合わせ」も
同じように考えます。


AもBも2カ所に使いますから、
例えば、Aが「1」、Bが「2」で4けたの整数をつくった場合と、
Aが「2」、Bが「1」で4けたの整数をつくった場合では、
同じ整数ができてしまい、区別がつきません


「組み合わせ」を使う問題ですね。


しかし、
「2カ所で使うカードAと2カ所で使うカードBの組み合わせ」は、
使わない残りの1枚のカードについて考えると、
より簡単に解くことができます。


このような考え方を「余事象」といい、
難しい問題を解くときにとても便利ですから、
ぜひ使い方を練習してみて下さい。。


さて、余事象の考え方を利用すると、
3枚のカードのうち使わない1枚のカードは
「1」か「2」か「3」の3通りですから、
2カ所で使うカードAと2カ所で使うカードBの組み合わせ」も
3通りと決まります。


次に、

4枚のカード、A、A、B、Bの並べ方が何通りあるか

を考えます。


Aは千の位か、百の位か、十の位か、一の位の2カ所にはいりますから、
「組み合わせ」の考え方を使って、
4×3÷2=6(通り)とわかります。


ですから、
「2カ所で使うカードAと2カ所で使うカードB」で4けたの整数をつくる方法は、
3通り×6通り=18通り です。


これらのことより、24通り+18通り=42通り が(2)の答えとして求められます。


テストでは、





のような書き方もあるでしょう。


(3) では、
整数の性質「倍数判定法」の知識と
(2)の文中にあるヒントを使います。


「3の倍数は、各位の数の和が3の倍数」です。


さらに(2)をヒントにして、

・1種類の数字で4けたの整数をつくる…(A、A、A、A)
・2種類の数字で4けたの整数をつくる…(A、A、A、B)、(A、A、B、B)
・3種類の数字で4けたの整数をつくる…(A、A、B、C)

の3つの場合に分けて、和が3の倍数になるものを求めます。


(A、A、A、A)の場合
A+A+A+A=A×4 なので、
A=3 のときが、3の倍数です。
→「3333」の1通りですが、3のカードは3枚しかありませんので、「3333」をつくることはできません。

(A、A、A、B)の場合
A×3+B 、つまり「3の倍数+B」なので、
A=1または2、B=3 のときが、3の倍数です。
→(2)で調べたように、(1、1、1、3)のときに4通り、
(2、2、2、3)のときも4通りの合わせて8通りです。

(A、A、B、B)の場合
A×2+B×2 なので、
(1、1、2、2)のときが、3の倍数です。
→(2)で調べたように、4×3÷2=6(通り)です。

(A、A、B、C)の場合
A+B+C は、いつでも 1+2+3=6 なので、
A=3 のときA+(A+B+C)が、3の倍数になります。
→一の位~千の位の4カ所のうち、2カ所がAですから、
「3」の並べ方は4×3÷2=6(通り)です。


残った2つの位に「1」「2」を並べるので、2×1=2(通り)です。


ですから、6通り×2通り=12通り となります。




以上のことから、8+6+12=26(通り)が答えとわかります。




この問題からもわかるように、「場合分け」のポイントは、

①どんな組み合わせがあるか
②それぞれの組み合わせの並べ方は何通りあるか

の順に考えるということです。


解法テクニックでいうと、

1.樹形図がいつでも書ける
2.積の法則の発展となる、順列と組み合わせを使い分けることができる

ようになると、樹形図を書かなくても計算で解けます。



場合の数が苦手なお子さんは、この2点をチェックしてみましょう。

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場合の数の練習問題 2014年04月12日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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