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立体図形「水問題・立体切断」

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図形の練習問題 2014年11月15日18時00分
第208回 「2014年前受け校入試問題と小5の学習 立体図形」






今回は再び、2014年度の前受け校の入試問題から
5年生で挑戦可能な「定番問題」を見ていきます。


今回ご紹介する問題は、
首都圏の中学入試で前受け校となる埼玉県の2校、
栄東中と浦和明の星女子中の2014年度入試問題です。


5年生も立体図形を一通り習い終えていると思いますので、
ぜひトライしてみてください。




浦和明の星女子中 2014年度 入試問題より

大問2 直方体の形をした水そうが、下の図1のように高さ20cmの仕切板によって左側と右側に分けられています。水そうの両側の上部には蛇口があり、2つの蛇口からは一定の割合で同じ量の水を注ぐことができます。図1の左側の蛇口を開けて、水の深さが30cmになるまで水を入れたところ、水を入れ始めてからの時間と、左側の水の深さの関係か図2のグラフのようになりました。





(1) 水そうが空の状態から、右側の蛇口だけを開けて水の深さが30cmになるまで水を入れたとき、左側に水が入っていない時間と、右側の水の深さが変わらない時間はそれぞれ何分間ですか。

(2) 水そうが空の状態から、2つの蛇口を同時に開けて、水を入れ始めました。
(ア)左側の水の深さが20cmになったとき、右側の水の深さは何cmですか。
(イ)右側の水の深さが20cmになるのは、水を入れ始めてから何分後ですか。
(ウ)水の深さが30cmになるのは、水を入れ始めてから何分後ですか。








定番問題のひとつ、「水量のグラフ(水問題)」の問題です。


この問題が親切なところは図1を与えている点で、
「水問題の大原則、水そうの真正面図を書いて解きなさい」
という解き方を教えてくれています。


図1に図2の情報を書き込めばOKということです。






(1)は上の図の水が入る順序が変わるだけですから、






のようになりますので、
左側に水が入っていない時間は水が仕切版をを越えるまでの16分間
右側の水の深さが変わらない時間は左側に水が20cm入るまでの12分間とわかります。


(2)も同じように図1を利用すると、






のようになります。


右の蛇口からだけで20cmの深さになるのに16分かかるので、
20cm×12分/16分=15cmが(2)-(ア)の答えです。


図のアの部分は右の蛇口からだけで4分かかりますので、
左右2つの蛇口を使えば入る水の量が2倍になりますから、
かかる時間は4分÷2=2分です。12分+2分=14分後…(イ)の答え


(ウ)も(イ)と同じように考えて、
14分+14分÷2=21分後
でもよいですし、
水そうに水を30cmまで入れるのに蛇口1つで42分ですから、
蛇口2つならば42分÷2=21分後でもOKです。




グラフを読み取り、読み取ったことを真正面から見た図に書き込むという、
水問題の大原則
通りですべてを正解できる定番中の定番問題でした。


次にご紹介する問題は、定番問題の中ではかなり高度な部類に入ります。




栄東中(東大選抜Ⅰ) 2014年度 入試問題より

大問2-(2) 高さ5cmの三角柱ABC-DEFがあり、底面の三角形ABCはABが3cm、BCが4cm、CAが5cmで、角Bは90度になっています。下の図のように辺AD上にAGが2cmとなるような点Gをとり、辺BE上にBHが4cmとなるような点Hをとり、辺BC上にBIが3cmとなるような点Iをとりました。
3点G、H、Iを通る平面で三角柱ABC-DEFを切断したとき,断面の図形を四角形GHIJ(点Jは図にかいてありません)とすると、AJの長さは(ウ)cmです。また、2つに分かれた立体のうち、頂点Bを含む立体の体積は(エ)cm3です。



三角柱の切断問題です。


三角柱の切断は右の図が基本形です。


切断面より下の立体の体積は、
底面積×高さの平均

=(3cm×4cm÷2)×{(3cm+1cm+4cm)÷3}=16cm3
のように求めます。


しかし、この問題では文中に「断面の図形を四角形」と書かれていますから、
基本形よりは難しい問題だとわかります。


基本形より難しい三角柱や三角すいなどでは、
切断の3原則の「延長」を利用すると切断面がわかりやすいです。


三角柱の切断を「延長」で解く方法のひとつに、
「合同な三角柱をもう1つ貼り合わせて直方体にする」
という解き方があります。





ですから、AJの長さは、





のように、3cmとわかります。→ (ウ)=3


また、頂点Bを含む立体は、上の真ん中の図から
「三角すい台AGK-BHIから三角すいJ-AGKを取り除いた立体」
だとわかります。


三角すい台は、
「三角すい(大)-三角すい(小)」で求めます
から、
GH、AB、JIを延長して三角すいを作ります。


ここでAG:BH=1:2を利用すると、グッと楽に解けます。






上の図から隣辺比を使って、
三角すいL-BHIの体積:三角すいL-AGJの体積
=6cm×2×⑩:3cm×1×⑧=5:1
なので、
三角すいL-BHIの体積:三角すい台AGJ-BHIの体積
=5:(5-1)=5:4
とわかります。


三角すいL-BHIの底面である三角形BHIの面積は4cm×3cm÷2=6cm2
ですから、
6cm2×6cm×1/3×4/5=9.6cm3
が三角すい台AGJ-BHIの体積とわかります。
→ (エ)=9.6


(エ)はさすがに5年生では正解するのが難しいと思いますが、
(ウ)の作図方法は覚えておいて損はないと思います。


定番問題にも、解きやすい問題から解きにくい問題までいろいろあります。


冬休みまでにできるだけ多くの問題に触れ、
冬休みにどんな弱点補強に取り組むか、
決めておけるといいですね。

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図形の練習問題 2014年11月15日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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