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第357回 学校別オープン模試

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受験算数と塾の使い方 2017年09月16日18時00分

「第357回 学校別オープン模試」


いよいよシルバーウィークです。


この時期から、首都圏では6年生を対象とした
学校別オープン模試が各塾で実施されます。




【サピックス】
学校別サピックスオープン 

9月18日(月・祝)
麻布・栄光・開成・慶應普通部・駒場東邦・武蔵・早稲田・早大学院・桜蔭・女子学院・フェリス・雙葉・慶應中等部

9月23日(土・祝)
筑駒

9月24日(日)
渋谷渋谷 



【早稲田アカデミー】
NN志望校別コースオープン模試

10月7日(土)
開成 

10月9日(月・祝)
麻布・武蔵・慶應義塾普通部・桜蔭・雙葉

10月14日(土)
駒場東邦・桐朋・早稲田・早大学院・渋谷幕張・早実

10月28日(土)
女子学院

※筑駒中オープン模試(第1回) 9月3日実施



【四谷大塚】
学校別判定テスト

10月9日(月・祝)
開成・麻布・武蔵・駒場東邦・桜蔭・女子学院・フェリス女学院 




各塾ともこれまでの出題傾向を研究し、
2018年度入試の合否を占うべく
本番同様あるいは本番以上の難度の模試を学校別に用意しています。


受験生は夏までの
「土曜志望校別特訓(土特)」や
「何がなんでも志望校別コース前期(NN志望校別コース前期)」、
あるいは夏期講習などで
受験の基礎はひととおり仕上げることができていると思います。


しかし、実戦レベルの強化はまだ道半ばでしょうから、
テストのレベルが入試本番並であれば
相当に手強いテストになることが予想されます。


そこで今回は、
昨年度行われた「学校別サピックスオープン」の中から
開成中の模擬テストを例に、
どのようなレベルの問題が出されたのかをみていこうと思います。






サピックス 2016年9月19日実施 学校別サピックスオープン[開成]① 算数より 

問題1-(1) A+B+C=50である3つの整数A、B、Cがあります。AはB以上で、CはAとBの最大公約数です。

①C=1のとき、A、Bの組み合わせは何通りありますか。

②C=2のとき、A、Bの組み合わせは何通りありますか。

③A、B、Cの組み合わせは何通りありますか。








①、②で調べてことが③の誘導になるのだなと気づける典型的な誘導問題ですが、
苦手な受験生も多い「数の性質」がテーマであるため、
「③ができるかなぁ・・・」と不安を感じたこともあったでしょう。




①の解答例 
C=1ですから、
A+B=49と、
AとBの最大公約数が1なので「互いに素
ということがわかります。

20170912114406.jpg

調べた結果、21通りが答えとわかりました。

【別解】
49=7×7なので、
A、Bが7の倍数のときは最大公約数が7となりますから、
(A、B)=(42、7)、(35、14)、(28、21)の3通りが答えにあてはまりません。
24-3=21(通り) 




②の解答例 
C=2なので、
A、Bは、2×奇数です。
A=2×□、B=2×☆とすると、
□+☆=24、
□と☆は「互いに素」です。

20170912114459.jpg

調べた結果、4通りが答えとわかりました。

【別解】
24=2×2×2×3なので、
□、☆が3の倍数のとき最大公約数が3となりますから、
(A、B)=(21、3)、(15、9)の2通りが答えにあてはまりません。
6-2=4(通り) 




①、②の結果、A、BはCの倍数なので、
A+B+CもCの倍数であることに気づければ、
③は難しくありません。


③の解答例
50=2×5×5なので、
Cは50の約数のうち、1、2、5、10が候補とわかります。

C=5のとき、
A=5×□、B=5×☆とすると、□+☆=9で、□と☆は「互いに素」ですから、
(□、☆)=(8、1)、(7、2)、(5、4)の3通り 

C=10のとき、
A=10×□、B=10×☆とすると、□+☆=4で、□と☆は「互いに素」ですから、
(□、☆)=(3、1)の1通り 

21通り+4通り+3通り+1通り=29通り 




①、②を通して、
「答えが思ったほど大きな数にはならない=調べ尽くせそうだ」
と判断ができれば、
別解のように「スマート」に解けなくても
「書き出し」で全問正解できる問題です。


ただし、そのような場合は答案返却後に
「別解のような解き方がある」ことを学び、
今後に結びつける見直し学習が大切になります。






もう1問見ていきましょう。




問題3 図1のような立体を「三角すい」といい、その体積は(底面の三角形の面積)×(高さ)÷3で求めることができます。図2のように、1辺の長さが6cmである立方体ABCD-EFGHがあり、I、J、Kはそれぞれ辺CG、FG、HGのまん中の点です。4個の点A、I、J、Kを結んでできる立体をXとします。以下の問いに答えなさい。

20170912114649.jpg

(1)立体Xを、正方形BFGCに対して垂直な方向(ア)、長方形AEGCに対して垂直な方向(イ)から見ると、それぞれどのようになりますか。解答欄の図にかきこみなさい。

(2)立体Xの体積は何cm3ですか。








開成中の2014年度入試で出された問題2は立体切断がテーマで、
(1)で投影図を、(2)で体積を求める問題でしたが、
それを意識して出された問題のように思われます。




(1)の解答 
立体Xの見取り図は次のようになります。

20170912114735.jpg

この見取り図をもとに、(ア)、(イ)から見たときの図を描きます。

20170912114755.jpg




開成中志望者であれば、ここまではさほど難しくはないでしょう。




(2)の解答例 
切断された立体の体積は、
まわりから引く」と「分割< /span>」して求める2つの方法がよく用いられますが、
今回は「比の利用」を使ってみます。


下の図のように、
赤色の三角すい(大)=立体Xと青色の三角すい(小)は
底面が共通です。

20170912114911.jpg


また、高さの比は(イ)から見ると、5:1とわかります。
(目盛りを数えてもOKです)

20170912114934.jpg

三角すい(小)の体積=4.5cm3ですから、
求める立体Xの体積は、4.5cm3×5=22.5cm3です。








開成中の出題意図は、
(1)で描いた投影図を利用すれば、(2)も解くことができます
というものだと想像されますから、
(1)が正解できて、(2)が不正解であった場合は、
この出題意図を汲み、
振り返り学習と類題演習をして、
高度な切断問題が出されても解けるような準備をするとよいと思います。




今回は、
シルバーウィークから始まる
首都圏大手進学塾の学校別テストのレベルを知るために、
昨年度行われた「学校別サピックスオープン 開成中」を
例にみてきました。


今回ご紹介した問題のように、
学校別オープン難度はなかなか高く、
ほぼ本番並み考えることができそうです。


まだ入試レベルまで仕上がっていない中での受験となるでしょうから、
テストでは
まずは「調べる」「書き出す」「図を描く」問題の正解を目指してみましょう。

そしてテスト返却後に
正解できなかった他の問題の振り返り学習に取り組み、
これからの学習へつなげることができればいいと思います。

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受験算数と塾の使い方 2017年09月16日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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