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第385回 2018年度中学入試の数の性質 2

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数の性質の練習問題 2018年03月31日18時00分

「第385回 2018年度中学入試の数の性質 2」


前回から、2018年度の中学入試で出された「数の性質」の問題をご紹介しています。


前回は「数の性質」のうち、
約数や倍数などに関する問題として
女子学院中学校と早稲田実業学校中等部の入試問題を見ました。


今回は「数の性質」から、数の規則性に関する問題をご紹介します。


出題校は、首都圏の最難関校、筑波大学附属駒場中です。


では、さっそく問題を見ていきましょう。




2018年度 筑波大学附属駒場中 入試問題 算数より 

問題1 縦5段、横50列の250個のマス目のついた表があり、1列目のマス目には1段目から順に1、2、3、4、5が書いてあります。2列目以降のマス目に、次のように2つの数をたしてできる1桁の数を書いていきます。ただし、たしてできる数が2桁になったときは、一の位だけを書くことにします。 

2列目 1段目には、1列目の5段目の数に、2をたしてできる数を書きます。
2段目から5段目には、すぐ上の段にある数に1をたしてできる数を書きます。
3列目 1段目には、2列目の5段目の数に、3をたしてできる数を書きます。
2段目から5段目には、すぐ上の段にある数に1をたしてできる数を書きます。
4列目 1段目には、3列目の5段目の数に、4をたしてできる数を書きます。
2段目から5段目には、すぐ上の段にある数に1をたしてできる数を書きます。
………
50列目 1段目には、49列目の5段目の数に、50をたしてできる数を書きます。
2段目から5段目には、すぐ上の段にある数に1をたしてできる数を書きます。

下の表はこの規則に従って、4列目まで数を書いたものです。

20180327125513.jpg

すべてのマス目に数を書いた表について、次の問いに答えなさい。

(1) 10列目の5段目のマス目に書かれた数を答えなさい。

(2) 1段目の50個のマス目のうち、1が書かれているものは何個ありますか。

(3) 表にある250個のマス目のうち、0が書かれているものは何個ありますか。

(4) それぞれの段で、マス目に書かれた50個の数の合計を求めます。求めた合計が最も大きいのは何段目ですか。また、その合計も答えなさい。








規則性の問題のポイントは、
その問題において「決められた規則」を正確に理解することです。


そのために、与えられた「例示」をよく見ることが大切です。


ただし、作問者も「親切(?!)」ではありませんから、
「例示」は規則性をギリギリ理解できる範囲でしか与えてくれません。


このことは、逆にいうと
「例示を増やす」ことで規則性がより明確になってくる
ということです。


また、「50列」や「50個」のように
「大きな値」も出てきますから、「繰り返し」があることも予測できます。


そこで「繰り返し」が見つかるまで、
5列目以降にも数を書いていくことにします。

20180327125618.jpg


10列目の1段目の数は、
9列目の5段目の数に10を加えてできる数の一の位の数ですから、
「+10」のうちの「+0」だけを考えればOKです。


このようにして表に数を書いていくと、
20列目の5段目の数「0」に加える数が「+1」となり、
21列目が1列目と同じになることに気づけます。


これでこの問題では「1列目から20列目までの繰り返し」だとわかります。


それでは、この表を用いて解答を作成していきましょう。


(1) 
表より 5 


(2) 
1列目から20列目までに、
1段目の「1」は1列目、5列目、6列目、10列目にあります。

50列÷20列=2周期あまり10列 ですから、
4個×2周期+4個=12 が答えです。


(3) 
1列目から20列目までに「0」は、
2列目、9列目、11列目、13列目、14列目、15列目、16列目、17列目、18列目、20列目にあります。

ですから、10個×2周期+2個=22 が答えです。


(4) 
20列分を調べ終えていますから、各段の数の合計を求めればOKです。


それが少し面倒だなと感じたら、
工夫をして計算を楽にする方法がないかを考えてみましょう。

20180327125747.jpg


「9」の下の段が「0」になることに着目します。


1段目の合計は順にたしていくと210とわかります。


2段目の合計は1段目の合計よりも 1×50=50 大きくなるはずですが、
1段目に「9」が4つありますから、
2段目の合計は1段目の合計よりも 1×46-9×4=10 大きい220です。


同じように計算していくと、

3段目の合計は2段目の合計よりも 1×50-9×0=50大きい270、
4段目の合計は3段目の合計よりも 1×40-9×10 → 50小さい220、
5段目の合計は4段目の合計よりも 1×42-9×8 → 30小さい190、

とわかりますので、答えは 3段目、270 です。






2018年度の筑波大学附属駒場中の問題1は、「繰り返しのある規則性」がテーマでした。


「繰り返し」がある問題は、本問のように1周期分を書き出しておくと、
ほぼすべての問いに正解することが可能です。


家庭学習をしているとき、
問題文中に「50列目」のような大きな値があるときは、
「規則があるかもしれないな…」と予測しながら問題に取り組んでみて、
最難関中でだされる「規則性」の問題でも正解できるようになれるといいですね。

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数の性質の練習問題 2018年03月31日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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