小川大介の中学受験合格を実現する逆算受験術

中学受験情報局『かしこい塾の使い方』 -> 主任相談員の中学受験ブログ -> 前田昌宏の中学受験が楽しくなる算数塾 -> 速さの練習問題  -> 第408回 「速さ」の勉強方法 2

第408回 「速さ」の勉強方法 2

このエントリーをはてなブックマークに追加
速さの練習問題 2018年09月08日18時00分

「第408回 『速さ』の勉強方法 2」


前回は、5年生が「速さ」についてどのような学習をするのかを、サピックスの5年生が9月から習う「旅人算」のA問題から見ました。


そこからわかったことは、サピックスの平常教材「Daily Support」(過年度版)のA問題は「『速さの3公式』と旅人算」という旅人算の基本が学習の中心ですが、それだけにとどまらず、線分図のかき方や使い方、仮定や比の活用についても学ぶということです。


では、B問題以降はどのような学習になるのでしょうか。


いくつか問題を見ていくことにします。




(C問題より)
東西両地間を、A、B、Cの3人が向かいあって進むことになりましたが、A、Bは東地から、Cは西地から出発しました。AとCとが出会ってから4分後にBとCが出会いました。Aは毎分100m、Bは毎分80m、Cは毎分50mとします。

(1) AとCが出会ったのは、出発してから何分後ですか。

(2) 東西両地間の距離は何mですか。








【解答例】
(1) 
問題の条件を線分図に表してみましょう。


前回触れたように、線分図をかくときには2つの学習ポイントがありました。


☆学習のポイント☆ 
① 線分図は一気に書き上げない
② →に距離を書き込む


これらのポイントにしたがって線分図をかいていきます。

20180831145844.jpg


上の図から、AとCが出会ったとき(・の位置)、AはBよりも520m多く進んでいますから、旅人算の基本公式より 520m÷( 100m/分-80m/分 )=26分後 が求められます。


(2) 
出発してから26分後にAとCが出会っていますから、旅人算の基本公式より ( 100m/分+50m/分 )×26分=3900m が両地間の距離です。






この問題を見ますと、「旅人算」の学習は次のような流れになっていることがわかります。

20180831145913.jpg



ではC問題以降はどうでしょうか。




(D問題より)
分速100mの速さでいけば、目的地に予定の時間より1分早くつき、分速80mの速さでいけば、10分遅くつきます。目的地までの距離は何mですか。








【解答例】
この問題も条件を線分図に表してみます。

20180831150810.jpg


上の図から、予定の速さで目的地に着いたとき(○の位置)、100m/分で進む方が80m/分で進むよりも900m多く進んでいますので、旅人算の基本公式より 900m÷( 100m/分-80m/分 )=45分 が予定時間とわかります。


100m/分×( 45分-1分 )=4400m 






上記のように線分図をかいて解いてみると、D問題のレベルがかなり高いことがわかります。


しかし、A問題で学んだ「仮定(または比)」が使えるようになっていると、この問題はより簡単に解くことができます。


【別解1】
目的地までの距離を、速さ100と80の最小公倍数400mと仮定します。


400m÷100m/分=4分 
400m÷80m/分=5分 

がそれぞれの所要時間ですから、距離が400mのときは目的地までの時間差は1分です。


しかし、実際の差が 1分+10分=11分 ですから、実際の距離は仮定した距離の11倍あるとわかります。


400m×11=4400m 




【別解2】
目的地までの距離は100m/分のときも80m/分のときも同じですから、速さの比と時間の比は逆比になります。


速さの比 100:80=5:4
 ↓
時間の比 ④:⑤ 

⑤-④=11分 ですから、100m/分の速さで進むと ④=44分 かかることになりますので、100m/分×44分=4400m です。





これらの別解のように、①旅人算の基本公式、②線分図のかき方と使い方以外に、③仮定や比まで、A問題の学習で身につけることができれば、難しくみえるD問題も短い手順で正解することが可能です。

20180831150317.jpg



この後、「Daily Support」(過年度版)のE問題は3問とも「速さと比の利用」がテーマの問題となっていますので、E問題も解けることが目標であれば、「比が使える」ことは必須になってきます。




前回、今回と、5年生が「速さ」についてどのような学習をするのかを、サピックスの5年生の「Daily Support」の問題を例にみてきましたが、これらの例から、「旅人算」の学習においては、①旅人算の基本公式、②線分図のかき方や使い方、③仮定や比の3つを身につけていくことが必要だとわかりました。


次回は、「旅人算」の次に学ぶ「流水算」の勉強方法についてみていこうと思います。

mflog.GIF

このエントリーをはてなブックマークに追加
速さの練習問題 2018年09月08日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
Copyright (c) 2008- 中学受験情報局『かしこい塾の使い方』 All rights reserved.