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第477回 中学入試で出題される「規則性」 3

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数の性質の練習問題 2020年01月04日18時00分

「第477回 中学入試で出題される「規則性」 3」


1月になると首都圏では「1月校」の中学入試が行われ、また、関西エリアでは18日から2府4県で入試が始まります。


そこで今回は、これまでご紹介している「規則性」に関する問題を、2019年度の「1月校」入試から見てみようと思います。


1問目は、6000人を超える受験者のあった栄東中学校のA日程の入試問題からです。




2019年度 栄東中学校 A日程(四谷大塚 80%偏差値 男子57・女子59)より 


問題5 
直角二等辺三角形ABCがあります。1つの直角二等辺三角形に対して、直角をなす点から向かい合う辺に垂直な線を引き、三角形を分割していく操作を繰り返していきます。2本以上の線が交わってできる点を頂点とよぶとき、次の問いに答えなさい。例えば、1回目の操作の後の図形は図1で頂点の個数は4個、2回目の操作の後の図形は図2で頂点の個数は6個、3回目の操作の後の図形は図3で頂点の個数は9個です。

20191231141325.jpg

(1) 4回目の操作の後の頂点の個数を求めなさい。

(2) 5回目の操作の後の頂点の個数を求めなさい。

(3) 9回目の操作の後の頂点の個数を求めなさい。








【解答例】
(1)
実際に図を書いて調べます。

20191231141354.jpg

図から、15とわかります。


(2)
(1)と同様に図を書いて調べます。

20191231141426.jpg

図から、25とわかります。


(3)
ここまでは図を書いて調べることができましたが、これ以上は正確な図を書くことが難しいので、例と(1)、(2)の図から、規則性を探します。

20191231141449.jpg

上の図のように、「奇数回目の操作」で増える頂点は正方形(赤色の点線部分を含む)の対角線の交点ですから、正方形が順に1個、1+2=3個、1+2+3+4=10個、…、とできますので、増える頂点の個数は1個、3個、10個、…です。


また、「偶数回目の操作」では、1回前の「奇数回目の操作」で増えた点の2倍だけ、頂点の個数が増えています。

20191231141513.jpg

上の表より、9回目の操作の後の頂点の個数は289と求められます。

※「平方数」を利用して答えを求める方法もあります。






本問は「図形の規則性」の問題です。


「図形の規則性」の問題で規則性が見つけにくいときは、「例示の続きの図を1つまたは2つかいてみる」と、上記のように規則が見つけやすくなります。




ではもう1問、同じく栄東中学校の東大クラス選抜Ⅰの入試問題からです。





2019年度 栄東中学校 東大クラス選抜Ⅰ(四谷大塚 80%偏差値 男子66・女子69)より 


問題1-(6) 
大きな円盤に、中心を通る3本の直線を引くと,円盤は6個の部分に分かれました。ここに4本目の直線を引いたとき、円盤は4個の部分が増えて10個の部分に分かれました。この後、円盤がなるべく多くの部分に分かれるように1本ずつ直線を引きます。7本目を引いたとき、円盤は( ア )個の部分が増えて( イ )個の部分に分かれました。








【解答例】
図形の問題ですが図が与えられていませんので、自分で図をかいて調べます。

20191231141626.jpg


4本目まで線を引いた図を見ても規則性が見つけにくいときは、5本目の線も引いてみましょう。

20191231141646.jpg

図をかいたら、わかることを表に整理します。

20191231141703.jpg

この表だけでは、規則性を見つけることは難しいようですが、6本目の線を引いた図を正確にかくことも難しいので、表に項目をつけ足してみます。

20191231141727.jpg

問題の条件に「なるべく多くの部分に分かれる」とありますから、書き加える線は、その図にかかれている全ての線と交わればよいことになります。


つまり、4本目の線を引くときはすでに書かれている3本の線と交わればよいので交点が3個でき、書き加えた線がその3つの交点によって4つに分けられますから、面も4個増えることになります。


同様に、5本目の線を引くときはすでに書かれている4本の線と交わればよいので交点が4個でき、書き加えた線がその4つの交点によって5つに分けられますから、面も5個増えることになります。


従って、線を7本目まで書き加えたときの表は下のようになります。

20191231141752.jpg

答え ア 7 、イ 28






本問は「図形の規則性」の定番の問題です。


しかし、条件を少しずつ変えることができますので、「面が増える理由」を理解しておかないと正解しそびれることになります。








このように、「図形の規則性」の問題は、初見の場合は「図を書き加えながら規則性を見つける」ことになりますし、定番の問題はその原型の問題演習のときに「規則性の理由」を学習しておくことが重要になります。


サピックスの6年生のカリキュラムでは、春期講習の第5回、通常授業の第14回で「規則性」が取り扱われます。答えを「書きだし」で求められるようになれば「規則性の理由」まで身につけて、正解できる問題を増やすことができればいいなと思います。

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数の性質の練習問題 / 中学入試の算数問題 2020年01月04日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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