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第602回 共学中の入試問題 数と計算 5

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数の性質の練習問題 2023年01月21日18時00分

「第602回 共学中の入試問題 数と計算 5」

2022年度の共学中入試の問題の中から「数と計算」について考えています。

今回は大問形式の「余り処理」と「N進法」の問題を見ていきます。

 

1問目は「余り処理」の大問です。

 

【問題】

(1)2桁の整数10、11、12、…、98、99について、7で割ったときの余りが1になる素数をすべて求めなさい。

(2)7で割ると2余る2桁の整数と7で割ると3余る2桁の整数がある。この2つの数の合計が5の倍数になるとき、2つの数の合計の中で2番目に小さい値を答えなさい。

(3)Aを7で割った余りがCで、Bを7で割ったときの余りがDのとき、A×Bを7で割った余りはC×Dを7で割った余りに等しいことがわかっています。10×10、11×11、12×12、…、98×98、99×99の整数について、7で割った余りが1になる数の個数を求めなさい。

(昭和学院秀英中学校 2022年 問題3)

 

【考え方】

(1)

問題文を式に表します。

□÷7=■余り1

□=7×■+1

■に整数を当てはめて調べていくと、

7×4+1=29

7×6+1=43

7×10+1=71

の3つが見つかります。

答え 29、43、71

 

(2)

問題文を式に表します。

□=■×7+2

△=▲×7+3

□+△

=■×7+2+▲×7+3

=(■+▲)×7+5

=5の倍数

この式から、■+▲が5の倍数のときに適するとわかります。

□と△は2桁の整数ですから、■は2以上、▲は1以上の整数です。

■+▲の値は小さい方から順に、5、10、…ですから、2番目に小さい□+△の値は

10×7+5=75

です。

答え 75

 

(3)

問題文の前半は、次のような面積図で表せます。

例えば、10×10の場合を下のように面積図で表すと、

(10×10)を7で割った余り

=(3×3)を7で割った余り

=2となります。

問題は余りが1になる場合ですから、次のような図になります。

7×■+1は2桁の整数なので、■=2~14の13個があります。

7×■+6も2桁の整数なので、■=1~13の13個があります。

13+13=26(個)

答え 26個

 

本問は、余りどうしの和や積に関する知識が確認できる問題です。

(2)で用いた「分配のきまり」や(3)のように面積図で考えることはとても大切です。

 

2問目は「N進法」の問題です。

 

【問題】5つの枠にA、B、Cを書くか、または空らんとして、図のようにあるきまりにしたがって、整数を表すことにします。下の問いに答えなさい。

(1)100を図で表すとどのようになりますか。解答らんにある5つの枠に表しなさい。

(2)右の図が表す整数はいくつですか。考え方と答えを書きなさい。

(3)5つの枠にA、B、Cを書いて表せる整数の中で最も大きい整数はいくつですか。

(淑徳中学校 2022年 問題3)

 

【考え方】

(1)

「1=A、2=B、3=C、0=空らん」で表す4進法の問題です。

4進法の位は小さい方から順に、1の位、4の位、16の位、64の位、256の位、…のように4倍ずつ大きくなります。

従って、

100=256×0+64×1+16×2+4×1+1×0

より、

と表せます。

答え 

 

(2)

16の位の数が1、4の位の数が2、1の位の数が3ですから、

16×1+4×2+1×3=27

です。

答え 27

 

(3)

すべての枠(位)にC(3)を書いたときの数です。

256×3+64×3+16×3+4×3+1×3=1023

答え 1023

 

(別解)

もし、枠が6つあれば(3)より1大きい数は

のように表せます。

256×4=1024

1024-1=1023

 

本問は、「N進法」の考え方が確認できる問題です。

数を空らんとA、B、Cの4種類の数字で表すことから4進法の問題だとわかり、「その位は4倍ずつ大きくなる」が使えたかをチェックしてみましょう。

なお、(1)では次のような計算ができればなおよいでしょう。

 

では、3問目です。

 

【問題】2から2022までの整数のうち、0、2、4、6、8だけを使ってできるものを次のように小さい順に並べます。

2、4、6、8、20、22、24、…、2022

このとき、次の問いに答えなさい。

(1)小さい方から数えて20番目の数は何ですか。

(2)全部で何個の数が並んでいますか。

(3)全部の数の和はいくつになりますか。

(中央大学附属横浜中学校 2022年 問題3)

 

【考え方】

(1)

1桁の整数は、2、4、6、8の4個です。

20台の整数

20、22、24、26、28の5個

40台の整数

40、42、44、46、48の5個

60台の整数

60、62、64、66、68の5個

ここまで全部で

4個+5個+5個+5個=19個

あります。

従って、20番目の数は80です。

答え 80

 

(別解)

0、2、4、6、8を0、1、2、3、4に置き換えると「5進法」として解くことができます。

10進法の20は

20=5×4+1×0

なので、5進法の20番目の数は「40」です。

4を元の8に戻すと、問題の数の列の20番目の数は80とわかります。

答え 80

 

(2)

1桁の整数

2、4、6、8の4通り → 4個

2桁の整数 □■

□=2、4、6、8の4通り

■=0、2、4、6、8の5通り

4×5=20(個)

3桁の整数 □■■

□=2、4、6、8の4通り

■=0、2、4、6、8の5通り

4×5×5=100(個)

4桁の整数

200□

□=0、2、4、8、8の5通り → 5個

202□

2020と2022の2個

従って、

4個+20個+100個+5個+2個=131個

です。

答え 131個

 

(別解)

(1)と同様に2022の「2を1に置き換える」と、「5進法」の1011となります。

125×1+25×0+5×1+1×1=131

5進法の1011は131番目の数より、並んでいる数は131個とわかります。

答え 131個

 

(3)

2を002、4を004のように表し、さらに0を000として補うと、0以上888以下の整数は□□□(□=0、2、4、6、8)として考えることができますので、

5×5×5=125(個)

あることがわかります。

※(2)を利用して、1+4+20+100=125(個)としてもOKです。

0、2、4、6、8の5種類の数字は、それらの整数の百の位、十の位、一の位にそれぞれ

125個÷5種類=25個

使われますので、各位の数の和は

(0+2+4+6+8)×25=500

です。

よって、0以上888以下の整数の和は、

500×100+500×10+500×1=55500

です。

55500+2000+2002+2004+2006+2008+2020+2022=69562

答え 69562

 

本問の(1)、(2)は、5進法に置き換える工夫ができるかを確認することができます。

問題の条件のまま順に調べて解くことができるときは、N進法を利用する解き方もチェックしてみましょう。

 

今回は,2022年度の共学中の入試で出された大問形式の「余り処理」の問題と「N進法」の問題をご紹介しました。

次回は「数の規則性」がテーマの問題を見ていく予定です。

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数の性質の練習問題 / 中学入試の算数問題 2023年01月21日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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