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第580回 女子中の入試問題 平面図形 6

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図形の練習問題 2022年05月14日18時00分

「第580回 女子中の入試問題 平面図形 6」

ここまで近年の女子中の入試で出された「平面図形」に関する問題について考えています。

今回は「移動」がテーマの問題の中から、「糸巻き」問題を取り扱います。

 

1問目は基本レベルの問題です。

 

【問題】1辺の長さが4㎝の正三角形ABCがあり、図のように辺AB上の点Pに長さ5㎝の糸の端が固定されています。また、糸のもう一方の端にはペンがついています。糸をたるませずにぴんと張ったままで、正三角形のまわりに巻きつけるように動かすとき、次の問いに答えなさい。ただし、糸やペンの太さは考えず、糸はAの側にもBの側にも巻きつけることとします。また、ペンの先は紙からはなさないものとします。

(1)ペンが描く線を、下の図にかきなさい。ただし、作図に使った線は消さずに残しておきなさい。

(2)(1)でかいた線の長さを求めなさい。ただし、円周率は3.14とします。

(学習院女子中等科 2021年 問題5)

 

【考え方】

(1)

「糸」を「正三角形の角で曲げることができる真っ直ぐな細い棒」だとすると、作図がしやすくなります。

はじめに「棒」をPBにくっつけて、Pを中心に「Aの側」に「棒」がPAにくっつくまで回転させます。(図1)

次にAから「はみだした」2㎝の棒を、Aを中心に棒が辺ACにくっつくまで回転させます。(図2)

今度は、棒を図1のはじめの位置から、「はみだした」4㎝の棒をBを中心に反時計回りに辺BCにくっつくまで回転させます。(図3)

答え  

 

(2)

5㎝×2×3.14×180度/360度=5×3.14(㎝) … 図1

2㎝×2×3.14×120度/360度=4/3×3.14(㎝) … 図2

4㎝×2×3.14×120度/360度=8/3×3.14(㎝) … 図3

(5+4/3+8/3)×3.14=28.26(㎝)

答え 28.26㎝

 

本問は「糸巻き」問題の正確な作図と計算が身についているかを確認できる問題です。

「移動」がテーマの問題では作図が必要になることもありますから、本問のような問題で基本のチェックをするといいですね。

 

2問目は、相似も問いに含まれる問題です。

 

【問題】下の図のような1辺の長さが6㎝の正五角形ABCDEがあります。この正五角形のまわりに、頂点Aから辺AB、BC、CD、DE、EAと糸を巻きつけます。今度はこの糸をぴんと張りながら、点Aから矢印の方向に点Iまでほどいていきます。図のように、2つの点D、Eと一直線上に並ぶ点をF、2つの点C、Dと一直線上に並ぶ点をG、2つの点B、Cと一直線上に並ぶ点をHとします。次の□にあてはまる数を求めなさい。(円周率は3.14とします。)

(1)おうぎ形AFEとおうぎ形CGHの面積の比を最も簡単な整数の比で表すと□:□です。

(2)糸の先端が点Aから点Hまで動いてできる曲線の長さは□㎝です。

(3)糸の先端が点Aから点Iまで動いてできる曲線の長さが83.21㎝になったとき、図の角あ○の大きさは□度です。

(横浜共立学園中学校 2021年 問題4)

 

【考え方】

(1)

おうぎ形AFEとおうぎ形CGHは、どちらも中心角が正五角形の1つの外角の大きさと同じ72度ですから相似です。

おうぎ形AFEの半径の長さは正五角形の1辺の長さと同じ6㎝で、おうぎ形CGHの半径の長さは正五角形の1辺の長さの3倍の18㎝ですから、相似比は1:3です。

従って、面積比は

(1×1):(3×3)=1:9

です。

答え (順に)1、9

 

(2)

6㎝×2×3.14×72度/360度+12㎝×2×3.14×72度/360度+18㎝×2×3.14×72度/360度

=14.4×3.14

=45.216(㎝)

答え 45.216

 

(別解)

おうぎ形AFEとおうぎ形DFGとおうぎ形CGHの相似比は1:2:3です。

6㎝×2×3.14×72度/360度×(1+2+3)=45.216(㎝)

答え 45.216

 

(3)

2つの点A、Bと一直線上に並ぶ点をJとすると、求める角あ○はおうぎ形AJIの中心角だということがわかります。

(2)を利用すると曲線JIの長さは、

83.21-(45.216+24㎝×2×3.14×72度/360度)=7.85(㎝)

と求められます。

30㎝×2×3.14×□度/360度=7.85㎝

□=7.85×360÷3.14÷2÷30=15(度)

答え 15

 

本問は、「糸巻き」問題に相似なおうぎ形をからめた問題です。

前問と異なり作図の必要はありませんので、正確な計算ができれば(1)、(2)は正解できる問題です。

(3)は曲線HIが1つのおうぎ形の弧だと勘違いしないことが正解の鍵です。

間違えたときは、問題本文の「2つの点D、Eと一直線上に並ぶ点~」がヒントになっていたことに気づけたかを確認してみましょう。

 

今回は、近年の女子中の入試で出された「糸巻き」問題をご紹介しました。

古くからずっと出題されている問題の1つですので、習い終えていれば理解度を確認しておくとよいと思います。

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図形の練習問題 / 中学入試の算数問題 2022年05月14日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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