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第587回 女子中の入試問題 立体図形 6

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図形の練習問題 2022年08月20日18時00分

「第587回 女子中の入試問題 立体図形 6」

2022年度に実施された女子中の入試問題の中から「立体図形」の問題を取り扱っています。

今回は前回の続きとして、「水問題」の中からグラフに関する問題を見ていきます。

 

【問題】下の<図1>のように大きい直方体から小さい直方体を切り取った形の水そうに、底面が正方形の鉄の四角柱が立ててあります。この水そうの排水せんを閉めた状態で、毎分3Lの割合で水を入れました。<図2>は、水を入れ始めてからの時間と水そうが満水になるまでの水の深さの関係を表したグラフです。

このとき次の問いに答えなさい。

(1)<図1>のア、イ、ウの長さはそれぞれ何㎝ですか。

(2)水の深さが70㎝となったのは、水を入れ始めてから何分何秒後ですか。途中の式や考え方も書きなさい。

次に、<図3>のように四角柱を横にして水そうを満水にしてから、一定の割合で排水せんから水を抜いたところ、水を抜き始めてから87分で水そうが空になりました。

(3)①毎分何Lの割合で水を抜きましたか。

②水を抜き始めてからの時間と水の深さの関係を表したグラフを、解答らんに記入しなさい。

(横浜雙葉中学校 2022年 問題2 問題文一部変更)

 

【考え方】

水のグラフ問題では、水そうを正面から見た図にグラフから読み取れることを書きこむこと、水そうを正面から見た図の横の長さは底面積とすることが基本の解き方です。

グラフが変化するとき(折れ曲がるとき)は、入れる水の割合や水が入る部分の底面積が変化したときですから、本問では28分後に鉄の四角柱がすべて水中に沈み、38分後に水そうの底面積が小さくなる部分に水面がきたことが読み取れます。

Bの部分に着目します。

一定の時間に入れる水の量×時間=水そうの底面積×水の高さですから、

3000㎤/分×10分=60㎝×ア×(50㎝-40㎝)

ア=50㎝

とわかります。

次にAの部分に着目すると、

3000㎤/分×28分=(60㎝×50㎝-イ×イ)×40㎝

イ×イ=900㎠

イ=30㎝

とわかります。

Cの部分に着目すると、

3000㎤/分×20分=ウ×50㎝×(80㎝-50㎝)

ウ=40㎝

とわかります。

答え ア 50㎝、イ 30㎝、ウ 40㎝

 

(2)

グラフを利用します。

水の深さが50㎝から80㎝まで30㎝増えるのに、38分から58分まで20分間かかっていますから、Cの部分では水の深さは1分間に

30㎝÷20分間=1.5㎝

増えているとわかります。

38分後+(70㎝-50㎝)÷1.5㎝/分=51 1/3分後=51分20秒後

答え 51分20秒後

 

(別解1)

水の体積から求めることもできます。

Cの部分の底面積は

40㎝×50㎝=2000㎠

ですから、

2000㎠×(70㎝-50㎝)÷3000㎤/分=13 1/3分=13分20秒

38分後+13分20秒=51分20秒後

 

(別解2)

グラフの中にある三角形の相似を利用することもできます。

□:20=20:30

□=13 1/3(分)

38分後+13分20秒=51分20秒後

 

(3)①

<図2>より、水そうに入っている水の体積は

3L/分×58分=174L

とわかります。

この水を空にするのに87分かかりましたから、

174L÷87分=2L/分

が答えです。

答え 毎分2L

 

(別解)

毎分3Lの割合で水を入れると58分かかりますので、時間の比は

58分:87分=2:3

です。

水の体積は同じですから、水を入れる割合と水を抜く割合は逆比の3:2です。

3L:□L=3:2

□=2(L)

 

(3)②

C→B→Aの順に見ていきます。

50㎝×40㎝×30㎝=60000㎤=60L … Cの体積

60L÷2L/分=30分 … Cの水を抜く時間

50㎝×60㎝×(50㎝-30㎝)=60000㎤=60L … Bの体積

30分+60L÷2L/分=60分 … CとBの水を抜く時間

(87分後に空になったと問題にありますから、Aの部分は計算しなくてOKです。)

答え 

 

本問は、グラフの読み取り方、正面から見た図の使い方、一定の時間に入れる水の量×時間=水そうの底面積×水の高さなど、「水とグラフ」の問題を解くときの重要事項が確認できる問題でした。

 

では、もう1問です。

 

【問題】下の図1のように、横の長さ108㎝、縦の長さ50㎝、高さ( ① )㎝の直方体の形をした水そうがあります。水そうは、側面と平行な正方形と長方形のしきり板によって3つの部分ア○、イ○、ウ○に分かれています。この水そうのア○の部分に毎分30L、ウ○の部分に毎分24Lの割合で同時に水を入れたところ、6分後に満水になりました。水そうの辺AB、CDには目盛りがついており、図2は、水を入れ始めてからの時間と、それぞれの目盛りで読み取った水位の差の関係をグラフに表したものです。このとき、次の問いに答えなさい。ただし、しきり板の厚さは考えないものとします。また、図は正確なものとは限りません。

(1)( ① )にあてはまる数を求めなさい。

(2)図1の( ② )、( ③ )にあてはまる数を求めなさい。

(3)図2の( ④ )にあてはまる時間は何分何秒ですか。

(鎌倉女学院中学校 2022年 問題5 問題文一部変更)

 

【考え方】

(1)

「6分後に満水」を利用します。

108㎝×50㎝×( ① )㎝=(30000㎤/分+24000㎤/分)×6分

( ① )=60(㎝)

答え 60(㎝)

 

(2)

2分15秒後にグラフが変化していることから、2分15秒後に、「先にア○に水が50㎝入った」または「先にウ○に水が45㎝入った」の2つの場合が考えられます。

2分15秒後に先にア○に水が50㎝入った場合、下の図のように□分後にア○とウ○水位の差が5㎝になるので、図2のグラフのようにはなりません。

よって、2分15秒後に先にウ○に水が45㎝入ったとわかります。

( ② )㎝×50㎝×(45㎝-20㎝)=30000㎤/分×9/4分

( ② )=54(㎝)

( ③ )㎝×50㎝×45㎝=24000㎤/分×9/4分

( ③ )=24(㎝)

答え ② 54(㎝)、③ 24(㎝)

 

(3)

(2)より、( ④ )分後には次のようになっていることがわかります。

54㎝×50㎝×45㎝=30000㎤/分×( ④ )分

( ④ )=4.05(分)→4分3秒

答え 4分3秒

 

本問は、「水位の差」のグラフを正確に読み取ることがポイントになっている難しい問題です。

(2)のように2つの場合があることで悩んでしまうようでしたら、上記の解答例のように順番に試してみるとよいでしょう。

 

今回は、2022年度の女子中で出された「水とグラフ」の問題について考えました。

「立体図形」がテーマの問題は今回を最後とし、次回からは「文章題」の問題をご紹介していきたいと思います。

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図形の練習問題 / 中学入試の算数問題 2022年08月20日18時00分
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