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第593回 女子中の入試問題 文章題 6

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文章題の練習問題 2022年11月12日18時00分

「第593回 女子中の入試問題 文章題 6」

前回は2022年度の女子中の入試問題から、「仕事算」の一行問題を取り扱いました。

今回は大問形式の「仕事算」について見ていきます。

 

1問目は「名前のある仕事算」です。

 

【問題】AさんとBさんが、壁をぬります。Aさんは、壁の半分の面積をぬった後、残り半分をぬるときは、はじめの8割のぬる速さになります。Bさんは、いつも同じ速さで壁をぬることができます。次の問いに答えなさい。

(1)AさんとBさんが、同じ面積の壁をそれぞれ一人でぬったところ、ぴったり同じ日数でぬり終わりました。Aさんがはじめの半分をぬる速さと、Bさんがぬる速さの比を、できるだけかんたんな整数の比で表しなさい。

(2)(1)でAさんとBさんが壁をぬるのにかかった日数が36日だったとします。ぬりはじめて24日後の、AさんとBさんのぬった壁の面積の比を、できるだけかんたんな整数の比で表しなさい。

(フェリス女学院中学校 2022年 問題3)

 

【考え方】

(1)

問題文中に「速さ」という言葉が出てくるように、仕事算は「速さの文章題」として考えることもできます。

ですから、Aさんが壁をぬる様子は速さの考え方を使うと、次のように整理することができます。

5×④日+4×⑤日=40○ … 壁の面積

Aさんが40○の面積の壁をぬるのに

④日+⑤日=⑨日

かかるので、Bさんも面積が40○の壁をぬるのに⑨日かかります。

40○÷⑨日=40/9 … Bさんが壁をぬる速さ

5:40/9=9:8

答え 9:8

 

(2)

⑨=36日

①=4日

④=16日 … Aさんが壁の面積の半分(前半)をぬる日数

9×16日+9×0.8×(24日-16日)=201.6 … Aさんが24日後までにぬった壁の面積

8×24=192 … Bさんが24日後までにぬった壁の面積

201.6:192=21:20

答え 21:20

 

本問は、仕事算を解くときに速さの考え方が利用できることを確認できる問題です。

なお、(1)は次のように「Aさんの平均の速さ=Bさんの速さ」と考えて解くこともできます。

 

2問目は、「名前のない仕事算」です。

 

【問題】ある仕事をするのに、大人3人と子ども4人ですると、ちょうど3時間で終わります。また、同じ仕事を子ども16人だけですると、ちょうど2時間で終わります。ただし、子どもだけで仕事をするとき、大人がいるときに比べて子どもの仕事をする速さが25%減少します。このとき、次の問いに答えなさい。

(1)子ども1人で仕事をすると、仕事を終えるのに何時間かかりますか。

(2)大人1人で仕事をすると、仕事を終えるのに何時間かかりますか。

(3)はじめに子どもだけで2時間仕事をして、その後大人3人だけで3時間仕事をしたところ、ちょうど仕事が終わりました。はじめに子どもは何人いましたか。

(4)はじめに大人3人と子ども5人で仕事をして、その後子ども4人だけで仕事をしたところ、ちょうど5時間で仕事が終わりました。このとき、子ども4人だけで仕事をしていた時間は何時間何分ですか。

(立教女学院中学校 2022年 問題3)

 

【考え方】

(1)

「名前のない仕事算」は、1人がする仕事の速さを先に決めて解きます。

ここでは「25%」という割合が条件にありますので、これに着目して仕事の速さを決めます。

1:(1-0.25)=4:3

大人と一緒に仕事をするときに子ども1人がする仕事の速さ=4

子どもだけで仕事をするときに子ども1人がする仕事の速さ=3

3×16人×2時間=96 … 仕事全体の量

96÷3=32時間

答え 32時間

 

(2)

96÷3時間=32 … 大人3人と子ども4人が1時間にする仕事の量

32-4×4人=16 … 大人3人が1時間にする仕事の量

16÷3=16/3 … 大人1人が1時間にする仕事の量

96÷16/3=18時間

答え 18時間

 

(3)

問題の条件を線分図に表します。

96-16/3×3人×3時間=48 … 子ども□人が2時間にする仕事の量

48÷2=24 … 子ども□人が1時間にする仕事の量

24÷3=8人

答え 8人

 

(4)

問題の条件を線分図に表すと、つるかめ算になっていることがわかります。

16/3×3人+4×5人=36 … 大人3人と子ども5人が1時間にする仕事の量

3×4人=12 … 子ども4人が1時間にする仕事の量

(36×5時間-96)÷(36-12)=3.5時間→3時間30分

答え 3時間30分

 

本問は、名前のない仕事算の考え方や仕事算につるかめ算が融合していることに気づくことが必要な問題でした。

「名前のない仕事算(1人が1時間にする仕事の量を先に決め、それをもとに仕事全体の量を求める)と「名前のある仕事算(仕事全体の量を先に決め、それをもとにある人が1時間にする仕事を決める)」を区別して解けたかの確認をしましょう。

 

今回は、2022年度の女子中の入試で出された大問形式の仕事算をご紹介しました。

次回も、引き続き、大問形式の仕事算について考えていこうと思います。

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文章題の練習問題 / 中学入試の算数問題 2022年11月12日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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