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第614回 共学中の入試問題 速さ 2

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速さの練習問題 2023年04月15日18時00分

「第614回 共学中の入試問題 速さ 2」

前回から2022年度の共学中入試で出された「速さ」をテーマに考えています。

2回目の今回は「旅人算」の問題を取り扱います。

 

1問目は基本レベルの問題です。

 

【問題】全長87.6㎞の道のりをA君とB君が自転車で走ったところ、2人それぞれの状況は以下の通りでした。2人それぞれの自転車で走っている時の速さは一定です。次の問いに答えなさい。

①A君、B君は同時に出発しました。

②A君は途中で大きなトラブルもなく、3時間39分で到着しました。

③B君はスタートからずっとA君と同じ速さで走っていましたが、スタート地点から9割進んだ地点で自転車がパンクをしてしまい修理をしました。その後、それまでの速さの1.2倍の速さで走りましたが、A君より1分遅れて到着しました。

(1)A君の自転車の速さは、分速何mですか。

(2)B君が自転車のパンク修理にかかった時間は何秒ですか。

(法政大学第二中学校 2022年 問題4)

 

【考え方】

(1)

87600m÷219分=400m/分

答え 分速400m

 

(2)

A君とB君は同時に出発し、道のりの9割までは同じ速さで走っていましたので、残りの部分だけを整理します。

距離条件も時間条件も1つずつですので、線分図、グラフのいずれでも構いません。

今回は線分図を使ってみます。

87.6㎞×(1-0.9)=8.76㎞

8760m÷400m/分=21.9分 … A君

8760m÷(400m/分×1.2)=18.25分 … B君

(パンク修理時間)+18.25分=21.9分+1分

(22.9分-18.25分)×60=279秒

答え 279秒

 

本問は、「旅人算」の条件整理が確認できる問題です。

 

2問目も基本レベルの問題です。

 

【問題】弟と兄が家から学校へ向かうとします。まず最初に弟が分速60mで家を出発し、その後10分遅れで兄が家を分速80mで出発しました。弟は家を出発してから10分後に、5分間の休けいをとりました。弟は休けいの後も同じ速さで進みましたが、途中で兄に追い抜かれました。弟が学校に到着したのは、兄が学校に到着した時刻の5分後でした。このとき、次の問いに答えなさい。

(1)兄が弟を追い抜かしたのは、弟が家を出発してから何分後ですか。

(2)家から学校までの距離は何mですか。

(江戸川園取手中学校 2022年 問題2)

 

【考え方】

(1)

速さ以外は時間条件だけですから、ダイヤグラムに整理します。

60m/分×10分-80m/分×5分=200m … 弟が家を出発してから15分後の2人の間の距離

200m÷(80m/分-60m/分)=10分後 … 兄が200m先の弟に追いつくまでの時間

15分後+10分後=25分後

答え 25分後

 

(2)

前回ありました「ダイヤグラムの5原則」のうちの「② 等高三角形」が利用できます。

速さの比 兄:弟=80m/分:60m/分=4:3

時間の比 兄:弟=③:④

差 ①=5分

③=15分 … 兄が弟を追い抜いてから学校に着くまでの時間

80m/分×(5分+10分+15分)=2400m

答え 2400m

 

本問は、時間条件の使い方が確認できる問題です。

上記の解き方の他に、「もし、休まなければ…」を利用して解くこともできます。

 

3問目は「3人の旅人算」の問題です。

 

【問題】Aさん、Bさん、Cさんの3人が20㎞のマラソン大会に参加しました。Aさんは、スタートしてからゴールするまで、時速10㎞で走りました。Bさんは、スタートしてから時速12㎞で走っていましたが、途中から時速4㎞で歩いたので、Aさんと同時にゴールしました。Cさんは、スタートしてから時速8㎞で走っていましたが、途中で速度を時速12㎞に上げたので、ゴールまでの距離が2㎞の地点でAさんを追い抜き、その後Bさんも追い抜いて一番早くゴールしました。

(1)Bさんが時速12㎞で走った時間は何分間ですか。

(2)Cさんが時速8㎞で走った時間は何分間ですか。

(3)CさんがBさんを追い抜いたのは、ゴールまでの距離が何mの地点ですか。

(東京都市大学等々力中学校 2022年 問題6)

 

【考え方】

(1)

速さ以外は距離条件だけですから、まずはAさんとBさんについて線分図に整理します。

20㎞÷10㎞/時=2時間 … Aさんがスタートしてからゴールするまでの時間

Bさんも20㎞を2時間で走ったことになりますので、つるかめ算が利用できます。

(20㎞-4㎞/時×2時間)÷(12㎞/時-4㎞/時)=1.5時間

答え 90分間

 

(2)

AさんとCさんについて、線分図に整理します。

(20㎞-2㎞)÷10㎞/時=1.8時間 … AさんがスタートしてからCさんに追いつかれるまでの時間

(1)と同様につるかめ算が利用できます。

(12㎞/時×1.8時間-18㎞)÷(12㎞/時-8㎞/時)=0.9時間

答え 54分間

 

(3)

BさんとCさんについて、(1)と(2)でわかったことも含めて線分図に整理します。

20㎞-12㎞/時×1.5時間=2㎞

Bさんはゴールまで2㎞の地点で速さを時速4㎞に変えたことがわかります。

4㎞/時×(1.8時間-1.5時間)=1.2㎞ … Cさんがゴールまで2㎞の地点に来たときの2人の隔たり

1.2㎞÷(12㎞/時-4㎞/時)=0.15時間 … CさんがBさんに追いつくまでの時間

2㎞-12㎞/時×0.15時間=0.2㎞

答え 200m

 

本問は、「3人の旅人算」の問題です。

「3人もいると条件が複雑だな」と思ったときは、上記のように小問に関係する2人だけについて条件整理をすると考えやすくなります。

 

今回は、2022年度に共学中の入試で出された旅人算の問題をご紹介しました。

旅人算は通過算や流水算と合わさった問題として出題されることもありますので、今回見てきたような旅人算だけの問題で解法が利用できるかををチェックしておくことは大切です。

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速さの練習問題 / 中学入試の算数問題 2023年04月15日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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