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第721回 男子中の入試問題 立体図形 5

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図形の練習問題 2025年05月03日18時00分

「第721回 男子中の入試問題 立体図形 5」

前回は、近年に男子中の入試で出された「立体図形」の中から、「立体図形の切断」の基本レベルの問題を取り扱いました。

今回は「立体図形の切断」の応用レベルの問題を見ていきます。

 

1問目は、一部をくり抜かれた立体を切断する問題です。

 

【問題】図は1辺20㎝の立方体から、直方体をくりぬいた立体で、点Bと点Cを結ぶとその長さは25㎝です。この立体を3つの点A、B、Cを通る平面で切り分けて、頂点Dを含む立体を○アとします。次の問いに答えなさい。

(1) 切り口の線を下のマス目に合わせて太線でかき入れなさい。

(2) 立体○アの体積は何㎤ですか。

(3) 立体○アの表面積は何㎠ですか。

(早稲田中学校 2025年 問題5 問題文一部変更)

 

【考え方】

(1)

一部をくり抜かれた立方体を切断する問題は、くり抜く立体と元の立体に分けて切断面を考えるという工夫ができます。

はじめに、直方体をくり抜く前の立方体の切断面を、切断のきまりに従って作図します。

次に、問題図の立体を右から見たときの投影図をかくと、くり抜く直方体の切断面が立方体の切断面の一部であることがわかります。

よって、立体○アは右下図のような立体です。

解答をマス目(立体○アを真上から見た図)にかくため、直方体をくり抜いた後の立体を真横から見た図を使って必要な長さを求めます。

三角形HCBと三角形ICFは相似で、

HC:HB=(20㎝-5㎝):20㎝=3:4=IC:IF

です。

IC=20㎝-(12㎝+5㎝)=3㎝

IF=3㎝×4/3=4㎝

JF=12㎝-4㎝=8㎝

よって、立体○アを真上から見たときの切り口は、右下図のようになります。

答え 解説参照

 

(2)

(1)の見取り図から、立体○アは台形を底面とする四角柱から三角柱を取り除いた立体とわかります。

(1)の三角形JGFは三角形ICFと相似ですから、

JG:JF=3:4

です。

JG=8㎝×3/4=6㎝

(5㎝+20㎝)×20㎝÷2×20㎝-8㎝×6㎝÷2×5㎝=4880㎤

答え 4880㎤

 

(3)

次のような図形式で考えることができます。

(1)の三角形JGFは三角形HCBと相似ですから、

CB:HB=25㎝:20㎝=5:4=GF:JF

です。

GF=8㎝×5/4=10㎝

(5㎝+20㎝)×20㎝÷2×2=500㎠ … 四角柱の底面積の和

(5㎝+20㎝+20㎝+25㎝)×20㎝=1400㎠ … 四角柱の側面積の和

10㎝×5㎝=50㎠ … 「穴」の面積

8㎝×6㎝÷2×2=48㎠ … 三角柱の底面積の和

(6㎝+8㎝)×5㎝=70㎠ … 三角柱の「穴」以外の側面積の和

500㎠+1400㎠-50㎠+48㎠+70㎠=1968㎠

答え 1968㎠

 

本問は、一部をくり抜かれた立方体の切断の考え方を確認できる問題です。

問題図のままで切断面を作図できないときは、解答例のように元の立方体とくり抜かれる立体に分けて考えてみましょう。

 

2問目は、「立体図形の重なり」がテーマの問題です。

 

【問題】図のような1辺の長さが3㎝の立方体ABCD-EFGHがあります。三角柱AEF-DHGを立体ア、三角柱BFG-AEHを立体イ、三角柱CGH-BFEを立体ウとします。ただし、角すいの体積は(底面積)×(高さ)÷3で求められます。

(1) 立体アと立体ウが重なった部分の体積を求めなさい。

(2) 立体アと立体イが重なった部分の体積を求めなさい。

(3) 立体アと立体イと立体ウがすべて重なった部分の体積を求めなさい。

(海城中学校 2025年 問題5)

 

【考え方】

(1)

立体アの面AFGD(赤色)と立体ウの面BEHC(水色)が交わります。

2回切断のときと同じように2つの面が交わる直線(交線)をかくと、2つの立体の重なりである三角柱(緑色)を作図することができます。

3㎝×1.5㎝÷2×3㎝=6.75㎤

答え 6.75㎤

 

(2)

2回切断のときと同じように、立体アの面AFGD(赤色)と立体イの面AHGB(水色)の交わる2つの点(AとG)を直線(緑色)で結ぶと、2つの立体の重なりである四角すいA-EFGHを作図することができます。

3㎝×3㎝×3㎝÷3=9㎤

答え 9㎤

 

(3)

2つの立体が重なる部分と残りの立体の重なりを考えます。

例えば、(1)の立体(赤色)と立体イ(青色)の重なりは、正面からは右下図(緑色)のように見えます。

よって、3つの立体ア、イ、ウの重なりは、三角柱から三角すいを取り除いた立体(断頭三角柱)とわかります。

断頭三角柱の体積は、(三角柱の底面積)×(断頭三角柱の3つの高さの平均)で求められます。

3㎝×1.5㎝÷2×(3㎝+3㎝+1.5㎝)÷3=5.625㎤

答え 5.625㎤

 

本問は、立体図形の重なりの作図が確認できる問題です。

作図ができないようでしたら、2回切断の作図方法を確かめましょう。

 

今回は、2025年度の男子中の入試で出された「立体図形の切断」の応用レベルの問題をご紹介しました。

応用レベルの問題では基本レベルの問題以上に作図がポイントになってきます。

もし、作図がうまくできないようでしたら、くり抜く立体と元の立体に分けたり、3つの立体のうちの2つの立体の重なりと残りの立体に分けたりする工夫をすると考えやすくなると思います。

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図形の練習問題 / 中学入試の算数問題 2025年05月03日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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