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第735回 女子中の入試問題 比と割合 2

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割合の練習問題 2025年08月09日18時00分

「第735回 女子中の入試問題 比と割合 2」

前回から、近年の女子中の入試で出された「比と割合」の問題を取り扱っています。

今回のテーマは「売買算」です。

 

1問目は「1個売りの売買算」の基本問題です。

 

【問題】ある商品に、原価の30%の利益を見込んで定価をつけました。ところが、売れなかったので300円引きにして売ったところ、60円の利益が出ました、原価は何円ですか。

(共立女子中学校 2/2 2025年 問題2-②)

 

【考え方】

条件を線分図に表すと、次のようになります。

30%=0.3

60円+300円=360円 → 360円は原価の0.3にあたります。

360円÷0.3=1200円 … 1にあたる金額=原価

答え 1200円

 

本問は、原価、定価、売価の関係を確認できる問題です。

正解できないときは、線分図をかきましょう。

 

2問目は「多数売りの売買算」の基本問題です。

 

【問題】ある品物を300個仕入れて、仕入れ値の3割増しの定価で売りましたが、80個が売れ残りました。そこで、売れ残った80個を定価の2割引きの1040円で売ったところ、すべて売れました。このとき、利益は全部でいくらですか。

(横浜雙葉中学校 1期 2025年 問題1-(2))

 

【考え方】

はじめに、仕入れ値、定価、値引き後の売価について整理します。

3割=0.3、2割=0.2

1040円は定価の 1-0.2=0.8 にあたります。

1040円÷0.8=1300円 … 定価

1300円は仕入れ値の 1+0.3=1.3 にあたります。

1300円÷1.3=1000円 … 仕入れ値

次に、仕入れと売り上げについて整理します。

300個-80個=220個 … 定価で売れた個数

1000円×300個=300000円 …(ア)

1300円×220個=286000円 …(イ)

1040円×80個=83200円 …(ウ)

「売り上げの合計金額-仕入れの合計金額=全体の利益」です。

(286000円+83200円)-300000円=69200円 …(エ)

答え 69200円

 

本問は、「多数売りの売買算」の整理方法を確認できる問題です。

多数売りは表に整理すると考えやすくなります。

また、解答例の他に「1個あたりの利益」に着目する解き方もあります。

 

3問目も「多数売りの売買算」です。

 

【問題】原価150円の商品を100個仕入れ、原価の2割の利益を見込んで定価をつけたところ、いくつかの商品が売れ残ってしまいました。売れ残った商品を定価の5%引きで売り切ったところ、全体の利益は2685円でした。定価で売った商品の個数を求めなさい。

(恵泉女学園中学校 第1回 2025年 問題2-(1))

 

【考え方】

前問と同じ手順で整理していきます。

150円×(1+0.2)=180円 … 定価

180円×(1-0.05)=171円 … 値引き後の売価

「1個あたりの利益」を利用すると、計算の値を小さくすることができます。

180円-150円=30円 … 定価で売ったときの1個あたりの利益

171円-150円=21円 … 値引き販売したときの1個あたりの利益

表の青色の線で囲まれた部分に着目すると、つるかめ算を利用できることがわかります。

(2685円-21円×100個)÷(30円-21円)=65個

答え 65個

 

本問は、売買算とつるかめ算が融合した定番の問題です。

表に整理すると、つるかめ算に気付きやすくなります。

なお、解答例では1個あたりの利益に着目しましたが、定価と値引き後の売価そのものを使って、つるかめ算の計算をしても構いません。

 

最後も「多数売りの売買算」です。

 

【問題】学園祭でお茶とジュースのペットボトルを販売するために、お茶とジュースを合わせて20箱仕入れました。1箱はどちらも24本入りです。お茶の仕入れ値は1箱1839円、ジュースは1箱2595円です。お茶を1本90円、ジュースを1本120円で販売したところ、お茶はすべて売り切ることができました。ジュースはちょうど1箱売れ残ったので、残りを1本100円で販売したところ、すべて売り切ることができ、利益の合計は5616円でした。ジュースは何箱仕入れましたか。

(鷗友学園女子中学校 第一回 2025年 問題8)

 

【考え方】

仕入れと売り上げを表に整理します。

90円×24本=2160円 … お茶1箱の売り上げ

2160円-1839円=321円 … お茶1箱の利益

120円×24本=2880円 … 定価販売のジュース1箱の売り上げ

2880円-2595円=285円 … 定価販売のジュース1箱の利益

100円×24本=2400円 … 売れ残ったジュースの売り上げ

2595円-2400円=195円 … 売れ残ったジュースを販売したときの損失

(ア)+(イ)+1箱=20箱 → (ア)+(イ)=19箱

(ウ)+(エ)-195円=5616円 → (ウ)+(エ)=5811円

つるかめ算です。

(321円×19箱-5811円)÷(321円-285円)=8箱 … 定価販売したジュース

8箱+1箱=9箱

答え 9箱

 

本問は、「損失」が生じる売買算の考え方を確認できる問題です。

なお、次のように、「もし、すべてを定価で販売していたら…」と仮定する解き方もあります。

 

売れ残ったジュースを定価で販売すれば、1本あたり

120円-100円=20円

の売り上げが増えますから、24本で

20円×24本=480円

の売り上げ増になります。

(321円×20箱-6096円)÷(321円-285円)=9箱

 

今回は、2025年度に女子中で出された「売買算」の問題をご紹介しました。

1問目と2問目は基本レベルの問題、3問目はつるかめ算を含む定番問題です。

4問目は「箱単位で仕入れ、ばら売りをする」という条件があることでやや難しくなっているのですが、「売り上げ-仕入れ=利益」という基本の考え方を利用すれば正解できる問題です。

もし、正解できない問題があるようでしたら、売買算の基本知識や条件の整理方法のどの部分が不足しているのかをチェックしておきましょう。

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割合の練習問題 / 中学入試の算数問題 2025年08月09日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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