第737回 女子中の入試問題 比と割合 4
「第737回 女子中の入試問題 比と割合 4」
近年の女子中の入試で出された「比と割合」の問題について考えています。
今回は「仕事算」と「ニュートン算」を取り扱います。
1問目は基本レベルの仕事算の問題です。
【問題】3つの機械A、B、Cを同時に動かすと2.5時間で終わる仕事があります。この仕事が終わるのに、機械Aだけ動かすと7.5時間かかり、機械Bだけ動かすと12.5時間かかります。機械Cだけ動かすと何時間かかりますか。
(淑徳与野中学校 第1回 2025年 問題3-(3))
【考え方】
「機械A」、「機械B」、「機械C」のように「名前のある仕事算(仕事の能力に差のある仕事算)」の解き方の基本は、全体の仕事量を1、または、かかる時間の最小公倍数とすることです。
ここでは、最小公倍数を利用することにします。
2.5時間=150分
7.5時間=450分
12.5時間=750分
2×3×5×5×1×3×5=2250 … 最小公倍数(=全体の仕事量)
機械が1分間にする仕事量を比べます。
2250÷150分=15 … 機械AとBとCが1分間にする仕事量
2250÷450分=5 … 機械Aが1分間にする仕事量
2250÷750分=3 … 機械Bが1分間にする仕事量
ですから、機械Cが1分間にする仕事量は
15-(5+3)=7
です。
7×60分=420 … 機械Cが1時間にする仕事量
2250÷420=75/14時間=5 5/14時間
答え 5 5/14時間
本問は、仕事算の基本を確認できる問題です。
解答例では「分」単位で最小公倍数を求めましたが、「時間」単位で考えることもできます。
2.5×1×3×5=37.5 … 最小公倍数
2問目も基本レベルの仕事算です。
【問題】ある仕事をするのに、Aさん1人では60日、AさんとBさん2人では24日かかります。この仕事を、はじめの10日はBさん1人で行い、残りをAさんとBさんの2人でするとき、Aさんは何日働きますか。
(立教女学院中学校 2025年 問題1-(5) 問題文一部変更)
【考え方】
2問目では、全体の仕事量を1としてみます。
1÷60=1/60 … Aさんが1日にする仕事量
1÷24=1/24 … AさんとBさんの2人が1日にする仕事量
ですから、Bさんが1日にする仕事量は
1/24-1/60=1/40
です。
2人が仕事をする様子は、次のように表せます。
1/40×10日=1/4 … Bさんが10日でする仕事量
1-1/4=3/4 … AさんとBさんの2人でする仕事量
3/4÷1/24=18日
答え 18日
本問も、仕事算の基本を確認できる問題です。
正解できなかったときは、最小公倍数を利用する方法を試したり、線分図をかいたりしましょう。
最後は、ニュートン算の問題です。
【問題】ある土地の除草作業を行うために、ヤギをその土地に放しました。10匹を放すとちょうど6日間で雑草はなくなり、8匹を放すとちょうど12日間で雑草がなくなります。このとき、次の問いに答えなさい。
① ヤギを9匹放すと、何日間で雑草がなくなりますか。
② 除草作業を終えることが出来る最も少ないヤギの数は何匹ですか。
(カリタス女子中学校 第2回 2025年 問題4)
【考え方】
①
ニュートン算は仕事算の一種です。
どのヤギも1日に除草する量が同じなので、「名前のない仕事算(仕事の能力に差がない仕事算)」の「単位あたりの仕事量(例:1匹のヤギが1日に除草する量)を1とする」という解き方を利用できます。
はじめに1匹のヤギが1日に除草する量を1とし、次に全体の仕事量を求めます。
1×10匹×6日間=60 … 10匹のヤギが6日間で除草する量
1×8匹×12日間=96 … 8匹のヤギが12日間で除草する量
このことは、次のような線分図に表すことができます。
このとき、除草されている間も「生える雑草」があることに注意します。
差に着目すると雑草が
12日間-6日間=6日間
に生える雑草の量が
96-60=36
とわかります。
36÷6日間=6 … 1日間に生える雑草の量
60-6×6日間=24 … はじめに生えていた雑草の量
ヤギを9匹放すと1日に
1×9匹-6=3
の雑草がなくなります。
24÷3=8日間
答え 8日間
【別解】
仕事算と同様に、全体の仕事量を1またはかかる日数の最小公倍数として解くこともできます。
ここでは、最小公倍数を利用することにします。
6と12の最小公倍数は12ですから、10匹のヤギを放すと1日に
12÷6=2
の雑草がなくなり、8匹のヤギを放すと1日に
12÷12=1
の雑草がなくなります。
このことは、次のような線分図に整理することができます。
差に着目すると
10匹-8匹=2匹
のヤギが1日に除草する量は
2-1=1
とわかります。
1÷2匹=0.5 … 1匹のヤギが1日に除草する量
0.5×10匹-2=3 … 1日に生える雑草の量
ですから、ヤギを9匹放すと1日に
0.5×9匹-3=1.5
の雑草がなくなります。
全体の仕事量は12ですから、
12÷1.5=8日間
で雑草がなくなります。
答え 8日間
②
1日に生える雑草の量よりもヤギが1日に除草する量が多いと、除草作業を終えることができます。
ヤギの数をできるだけ少なくするので、
(1日に生える雑草の量 6)=(ヤギ1日にが除草する量 1×□匹)
として計算をします。
6÷1=6匹
のとき、1日に生える雑草の量とヤギ1日にが除草する量が同じですから、除草作業を終えるために必要なヤギは7匹以上です。
答え 7匹
本問は、ニュートン算の考え方を確認できる問題です。
ニュートン算も、仕事算と同じように全体の仕事量を先に決めて解く方法と、別解のように単位あたりの仕事量を1とする、2つの解き方があります。
原則として、仕事の能力に差がある問題(名前がある問題)では全体の仕事量を、能力に差がない問題(名前がない問題)では単位あたりの仕事量を先に決めると、問題を解きやすくなります。
今回は、2025年度に女子中で出された「仕事算」と「ニュートン算」の問題をご紹介しました。
1問目と2問目の仕事算は基本レベルの仕事算ですので、既習範囲であれば 2問とも正解できることを確認しましょう。
ニュートン算は仕事算の応用問題ともいえますから、仕事算をマスターした後に取り組むと解きやすくなると思います。
慣れないうちは、今回の解答例のような線分図をかくと考えやすいでしょう。