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第737回 女子中の入試問題 比と割合 4

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割合の練習問題 2025年08月23日18時00分

「第737回 女子中の入試問題 比と割合 4」

近年の女子中の入試で出された「比と割合」の問題について考えています。

今回は「仕事算」と「ニュートン算」を取り扱います。

 

1問目は基本レベルの仕事算の問題です。

 

【問題】3つの機械A、B、Cを同時に動かすと2.5時間で終わる仕事があります。この仕事が終わるのに、機械Aだけ動かすと7.5時間かかり、機械Bだけ動かすと12.5時間かかります。機械Cだけ動かすと何時間かかりますか。

(淑徳与野中学校 第1回 2025年 問題3-(3))

 

【考え方】

「機械A」、「機械B」、「機械C」のように「名前のある仕事算(仕事の能力に差のある仕事算)」の解き方の基本は、全体の仕事量を1、または、かかる時間の最小公倍数とすることです。

ここでは、最小公倍数を利用することにします。

2.5時間=150分

7.5時間=450分

12.5時間=750分

2×3×5×5×1×3×5=2250 … 最小公倍数(=全体の仕事量)

機械が1分間にする仕事量を比べます。

2250÷150分=15 … 機械AとBとCが1分間にする仕事量

2250÷450分=5 … 機械Aが1分間にする仕事量

2250÷750分=3 … 機械Bが1分間にする仕事量

ですから、機械Cが1分間にする仕事量は

15-(5+3)=7

です。

7×60分=420 … 機械Cが1時間にする仕事量

2250÷420=75/14時間=5 5/14時間

答え 5 5/14時間

 

本問は、仕事算の基本を確認できる問題です。

解答例では「分」単位で最小公倍数を求めましたが、「時間」単位で考えることもできます。

2.5×1×3×5=37.5 … 最小公倍数

 

2問目も基本レベルの仕事算です。

 

【問題】ある仕事をするのに、Aさん1人では60日、AさんとBさん2人では24日かかります。この仕事を、はじめの10日はBさん1人で行い、残りをAさんとBさんの2人でするとき、Aさんは何日働きますか。

(立教女学院中学校 2025年 問題1-(5) 問題文一部変更)

 

【考え方】

2問目では、全体の仕事量を1としてみます。

1÷60=1/60 … Aさんが1日にする仕事量

1÷24=1/24 … AさんとBさんの2人が1日にする仕事量

ですから、Bさんが1日にする仕事量は

1/24-1/60=1/40

です。

2人が仕事をする様子は、次のように表せます。

1/40×10日=1/4 … Bさんが10日でする仕事量

1-1/4=3/4 … AさんとBさんの2人でする仕事量

3/4÷1/24=18日

答え 18日

 

本問も、仕事算の基本を確認できる問題です。

正解できなかったときは、最小公倍数を利用する方法を試したり、線分図をかいたりしましょう。

 

最後は、ニュートン算の問題です。

 

【問題】ある土地の除草作業を行うために、ヤギをその土地に放しました。10匹を放すとちょうど6日間で雑草はなくなり、8匹を放すとちょうど12日間で雑草がなくなります。このとき、次の問いに答えなさい。

① ヤギを9匹放すと、何日間で雑草がなくなりますか。

② 除草作業を終えることが出来る最も少ないヤギの数は何匹ですか。

(カリタス女子中学校 第2回 2025年 問題4)

 

【考え方】

ニュートン算は仕事算の一種です。

どのヤギも1日に除草する量が同じなので、「名前のない仕事算(仕事の能力に差がない仕事算)」の「単位あたりの仕事量(例:1匹のヤギが1日に除草する量)を1とする」という解き方を利用できます。

はじめに1匹のヤギが1日に除草する量を1とし、次に全体の仕事量を求めます。

1×10匹×6日間=60 … 10匹のヤギが6日間で除草する量

1×8匹×12日間=96 … 8匹のヤギが12日間で除草する量

このことは、次のような線分図に表すことができます。

このとき、除草されている間も「生える雑草」があることに注意します。

差に着目すると雑草が

12日間-6日間=6日間

に生える雑草の量が

96-60=36

とわかります。

36÷6日間=6 … 1日間に生える雑草の量

60-6×6日間=24 … はじめに生えていた雑草の量

ヤギを9匹放すと1日に

1×9匹-6=3

の雑草がなくなります。

24÷3=8日間

答え 8日間

 

【別解】

仕事算と同様に、全体の仕事量を1またはかかる日数の最小公倍数として解くこともできます。

ここでは、最小公倍数を利用することにします。

6と12の最小公倍数は12ですから、10匹のヤギを放すと1日に

12÷6=2

の雑草がなくなり、8匹のヤギを放すと1日に

12÷12=1

の雑草がなくなります。

このことは、次のような線分図に整理することができます。

差に着目すると

10匹-8匹=2匹

のヤギが1日に除草する量は

2-1=1

とわかります。

1÷2匹=0.5 … 1匹のヤギが1日に除草する量

0.5×10匹-2=3 … 1日に生える雑草の量

ですから、ヤギを9匹放すと1日に

0.5×9匹-3=1.5

の雑草がなくなります。

全体の仕事量は12ですから、

12÷1.5=8日間

で雑草がなくなります。

答え 8日間

 

1日に生える雑草の量よりもヤギが1日に除草する量が多いと、除草作業を終えることができます。

ヤギの数をできるだけ少なくするので、

(1日に生える雑草の量 6)=(ヤギ1日にが除草する量 1×□匹)

として計算をします。

6÷1=6匹

のとき、1日に生える雑草の量とヤギ1日にが除草する量が同じですから、除草作業を終えるために必要なヤギは7匹以上です。

答え 7匹

 

本問は、ニュートン算の考え方を確認できる問題です。

ニュートン算も、仕事算と同じように全体の仕事量を先に決めて解く方法と、別解のように単位あたりの仕事量を1とする、2つの解き方があります。

原則として、仕事の能力に差がある問題(名前がある問題)では全体の仕事量を、能力に差がない問題(名前がない問題)では単位あたりの仕事量を先に決めると、問題を解きやすくなります。

 

今回は、2025年度に女子中で出された「仕事算」と「ニュートン算」の問題をご紹介しました。

1問目と2問目の仕事算は基本レベルの仕事算ですので、既習範囲であれば 2問とも正解できることを確認しましょう。

ニュートン算は仕事算の応用問題ともいえますから、仕事算をマスターした後に取り組むと解きやすくなると思います。

慣れないうちは、今回の解答例のような線分図をかくと考えやすいでしょう。

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割合の練習問題 / 中学入試の算数問題 2025年08月23日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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