第746回 女子中の入試問題 平面図形 4
「第746回 女子中の入試問題 平面図形 4」
今回も、前回に引き続き、2025年度に女子中の入試で出された「平面図形」の中から「辺の比と面積比」の問題を取り扱っていきます。
1問目は「2組の相似(ダブル相似)」問題です。
【問題】図の平行四辺形ABCDにおいて、AE:EB=1:3、BF:FC=1:4、EH:HC=4:5です。次の[ア]から[ク]に当てはまる数を求めなさい。ただし、比は最も簡単な整数の比で表しなさい。

(1) AG:GDを求めます。

CEの延長とDAの延長が交わる点をPとします。PA:BC=[ア]:[イ]です。また、PG:FC=[ウ]:[エ]ですから、AG:GD=[オ]:[カ]です。
(2) 四角形GHCDの面積は平行四辺形ABCDの面積の何倍かを求めます。
三角形GCDの面積は三角形ACDの面積の[キ]倍です。よって、四角形GHCDの面積は平行四辺形ABCDの面積の[ク]倍です。
(鷗友学園女子中学校 第二回 2025年 問題5 問題文一部変更)
【考え方】
(1)
三角形APEと三角形BCEは相似で、
AE:BE=1:3
ですから、
AP:BC=PE:CE=1:3
です。(図1)

よって、ア=1、イ=3です。
さらに、PE=①、CE=③ とすると、
EH:HC:EC=4:5:(4+5)=4:5:9
ですから、
③=9 → ①=3
より、
PH:CH=(3+4):5=7:5
です。
ところで、三角形GPHと三角形FCHは相似で、
PH:CH=7:5
ですから、
GP:FC も 7:5 です。(図2)

よって、ウ=7、エ=5です。
次に
BF:FC:BC=1:4:(1+4)=1:4:5、
AP:BC=1:3
より、BC=15□ とすると、
FC=15□×4/5=12□
AP=5□
です。
また、
GP:FC=7:5
ですから、
GP=12□×7/5=16.8□
です。(図3)

よって、
AG:GD=(16.8-5):{15-(16.8-5)}=11.8:3.2=59:16
です。 → オ=59、カ=16
答え ア 1、 イ 3、 ウ 7、 エ 5、 オ 59、 カ 16
(2)
(2)では、(1)でわかったこと、高さの等しい三角形は底辺の比と面積比が等しいことの2つを利用していきます。
(1)より、高さの等しい三角形GCAと三角形GCDは底辺の比が
AG:GD=59:16
ですから、面積比も 59:16 です。(左下図)
よって、三角形ACDの面積が
59+16=75
なので(右下図)、三角形GCDの面積は三角形ACDの面積の
16÷75=16/75倍
です。

また、
PA:PG:AG=5:16.8:(16.8-5)=25:84:59
ですから、三角形GCDの面積を16とすると三角形GCPの面積は84です。(左下図)
(1)より
PH:HC=(3+4):5=7:5
ですから、三角形GHPの面積を⑦とすると三角形GHCは⑤です。(右下図)

⑦+⑤=84 → ①=7
7×5=35 … 三角形GCHの面積
75×2=150 … 平行四辺形ABCDの面積

よって、四角形GHCDの面積は平行四辺形ABCDの面積の
(35+16)÷150=17/50倍
です。
答え キ 16/75、 ク 17/50
本問は、直線PCを共有する2組の相似な三角形を利用する問題です。
2組の相似を作るための補助線が加えられた図や問題文自体がヒントとなっていますので、誘導に沿って解いていきましょう。
2問目は「相似な三角形を作る(相似完成)」問題です。
【問題】下の図のように、正方形ABCDがあります。辺ABを2等分、辺BCを3等分する点をとりました。このとき、次の問いに答えなさい。
① EFの長さはBFの長さの何倍ですか。
② 影をつけた部分の面積は何㎠ですか。

(淑徳与野中学校 第1回 2025年 問題2-(3) 問題文一部変更)
【考え方】
①
直線BDを共有する2組の相似な三角形に着目します。
左下図の赤色の三角形は相似で、相似比が
4㎝:12㎝=1:3
ですから、BE:ED も 1:3 です。
また、右下図の水色の三角形も相似で、相似比が
8㎝:12㎝=2:3
ですから、BF:FD も 2:3 です。

次に、BDを分ける比について、連比を使って整理します。

EF=BF-BE=8-5=3
ですから、EFの長さはBFの長さの
3÷8=3/8倍
です。
答え 3/8倍
②
高さの等しい三角形の面積が底辺の比と等しいことを使用します。
三角形ABDと三角形AEFは底辺の比が
BD:EF=20:3
ですから、面積比も 20:3 です。

12㎝×12㎝×1/2=72㎠ … 三角形ABDの面積
72㎠×3/20=10.8㎠ …三角形AEFの面積
さらに、1問目と同じように辺を延長して三角形を作ると、赤線の直角三角形は合同なので、HB=12㎝ です。

左下図の赤色の三角形は相似で、相似比が
(12㎝+4㎝):12㎝=4:3
ですから、HI:ID も 4:3 です。
また、右下図の水色の三角形も相似で、相似比が
(12㎝+8㎝):12㎝=5:3
ですから、HJ:JD も 5:3 です。

HDを分ける比について、連比を使って整理します。

IJ=HJ-HI=35-32=3
三角形AGDと三角形AIJは底辺の比が
GD:IJ=28:3
ですから、面積比も 28:3 です。

6㎝×12㎝×1/2=36㎠ … 三角形AGDの面積
36㎠×3/28=27/7㎠=3 6/7㎠ … 三角形AIJの面積
よって、影をつけた部分の面積は三角形AEFと三角形AIJの面積の差の
10.8㎠-3 6/7㎠=6 33/35㎠
です。
答え 6 33/35㎠(243/35㎠)
本問は、直線を共有する相似な三角形の作り方を確認できる問題です。
解答例では、1問目と同じように延長線を利用して図形の「外側」に三角形をつくりましたが、次のように「内側」に作る方法もあります。

今回は、2025年度に女子中で出された「相似」の問題をご紹介しました。
これらの「ダブル相似」、「相似完成」とも言われる問題は、とても重要です。
このタイプの問題が苦手なときは、1問目のように相似の作り方や求める順序が誘導になっている問題を練習し、それが解けるようになったら、2問目のように自分で相似を作る問題にチャレンジしましょう。
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