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第748回 女子中の入試問題 平面図形 6

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図形の練習問題 2025年11月08日18時00分

「第748回 女子中の入試問題 平面図形 6」

前回に引き続き、2025年度に女子中の入試で出された「図形の移動」と「点の移動」の問題の中から、今回は前回よりもやや難しい問題を見ていきます。

 

1問目は、「転がり移動」の問題です。

 

【問題】1辺の長さが8㎝の正三角形を図のアの位置からイの位置まで、すべらないように転がします。AB、BC、CDの長さがすべて8㎝のとき、点Pが通ったあとの線の長さは何㎝ですか。

(山脇学園中学校 算数1科 2025年 問題16)

 

【考え方】

「正三角形の頂点を移動 → 移動した後の頂点を結ぶ」を利用して作図をします。

1. 点Rを中心として点P、点Qがそれぞれ 180度-60度=120度 回転します。

2. 点P1を中心として点R、点Q1がそれぞれ 360度-(60度+135度)=165度 回転しますが、点Pは移動しません。

3. 点Q2を中心として点P1、点R1がそれぞれ 90度-60度=30度 回転します。

4. 点R2を中心として点P2、点Q2がそれぞれ 360度-(60度+135度)=165度 回転します。

8㎝×2×3.14×(120度+0度+30度+165度)/360度=43.96㎝

答え 43.96㎝

 

本問は、転がり移動の作図と計算を確認できる問題です。

作図がしづらい場合は、解答例のように一転がりごとの図にしてみましょう。

 

2問目は、「点の移動」の問題です。

 

【問題】図のようなAB=40㎝、BC=50㎝である長方形ABCDがあり、EFはADと平行です。点Pは頂点Aを出発してBを通ってCまで、点Qは点Eを出発してB、Cを通ってFまで、それぞれ長方形ABCDの辺にそって動きます。PとQは同時に出発し、Pは毎秒1㎝、Qは毎秒2㎝の速さで動きます。また、PはCに、QはFに着くと、その後はその点にとどまります。このとき、次の問いに答えなさい。

(1) 点P、Qが動き始めてから20秒後の三角形PQCの面積を求めなさい。

(2) 次のグラフは、点P、Qが動き始めてからの時間と、三角形PQCの面積の関係を、点PがCに着くまでかいたものです。図の空らん[ア]~[オ]にあてはまる数を求めなさい。

(3)

① 三角形PQCの面積が300㎠となるのは全部で何回ありますか。

② 三角形PQCの面積が2回目に300㎠となるのは、点P、Qが出発してから何秒後ですか。次の(あ)~(え)から一つ選び、記号で答えなさい。

(あ)18秒後から20秒後の間

(い)21秒後から23秒後の間

(う)24秒後から26秒後の間

(え)27秒後から29秒後の間

(田園調布学園中等部 午後入試 2025年 問題2 問題文一部変更)

 

【考え方】

(1)

点Pと点Qの20秒後の位置を調べます。

1㎝/秒×20秒=20㎝ … 点Pの移動距離

2㎝/秒×20秒=40㎝ … 点Qの移動距離

図より、三角形PQCの面積は

40㎝×20㎝÷2=400㎠

です。

答え 400㎠

 

(2)

グラフは、動く点が図形の頂点を通過するときや動きが止まるときに変化します。

(10㎝+30㎝)÷1㎝/秒=40秒後 … 点Pが頂点Bを通過する

(10㎝+30㎝+50㎝)÷1㎝/秒=90秒後 … 点Pが頂点Cに到着する

30㎝÷2㎝/秒=15秒後 … 点Qが頂点Bを通過する

(30㎝+50㎝)÷2㎝/秒=40秒後 … 点Qが頂点Cを通過する

(30㎝+50㎝+30㎝)÷2㎝/秒=55秒後 … 点Qが頂点Fに到着する

0秒後の三角形PQCの面積は

10㎝×50㎝÷2=250㎠

です。 → [ア]=250

15秒後の三角形PQCの面積は

(40㎝-15㎝)×50㎝÷2=625㎠

です。 → [イ]=625

40秒後の三角形PQCの面積は0㎠です。 → [ウ]=40

55秒後の三角形PQCの面積は

(50㎝-15㎝)×30㎝÷2=525㎠

です。 → [エ]=525

90秒後の三角形PQCの面積は0㎠です。 → [オ]=90

答え ア 250、イ 625、ウ 40、エ 525、オ 90

 

(3-①)

グラフにわかった値を書き込みます。

面積が300㎠の直線をかき加えるとグラフと4か所で交わりますから、三角形PQCの面積が300㎠になる回数は4回です。

答え 4回

 

(3-②)

時間ごとの図をかいて三角形PQCの面積を調べます。

(あ)

18秒後の面積は

22㎝×44㎝÷2=484㎠

20秒後の面積は

20㎝×40㎝÷2=400㎠

なので、18秒後から20秒後までに三角形PQCの面積が300㎠になることはありません。

 

(い)

21秒後の面積は

19㎝×36㎝÷2=361㎠

23秒後の面積は

17㎝×34㎝÷2=289㎠

なので、21秒後から23秒後までに三角形PQCの面積が300㎠になることがあります。

①のグラフより、15秒後から40秒後までに三角形PQCの面積が300㎠となるのは1回だけです。

答え (い)

 

本問は、動く点が図形の頂点を通過するときの図をかく、グラフから読み取るといった考え方を確認できる問題です。

与えられているグラフの中に曲線部分があるため難しそうに見えますが、1問1問は「動く点とグラフ」の基本の考え方で解くことができます。

なお、(3-②)はそれまでの問題を解く過程で面積が平方数になっていること(例:18秒後 40-18=22 →22×22=484)に気づけると、より早く答えを見つけることができます。

 

今回は、2025年度に女子中で出された「図形の移動」と「点の移動」のやや難しい問題をご紹介しました。

問題の条件が前回よりも少し複雑になっていますが、考え方や用いる解法は基本レベルの問題と同じです。

もし、正解できない問題があるときは、問題の条件の把握にミスがないか、「図形の移動」と「点の移動」の基本の考え方や解法が正しいかなどをチェックしましょう。

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図形の練習問題 / 中学入試の算数問題 2025年11月08日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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