第749回 女子中の入試問題 立体図形 1
「第749回 女子中の入試問題 立体図形 1」
前回まで、2025年度に女子中の入試で出された「平面図形」について考えました。
今回からは「立体図形」の問題を見ていきます。
その1回目は「立体図形の体積と表面積」の問題です。
1問目は「柱体の表面積」に関する問題です。
【問題】図の立体は円柱を底面に垂直な平面で切りとった立体です。底面の半径が4㎝、中心角が45度のおうぎ形で、高さが5㎝です。この立体の表面積は何㎠ですか。小数で答えなさい。円周率は3.14として計算しなさい。

(普連土学園中学校 1日午後算数 2025年 問題28 問題文一部変更)
【考え方】
この立体の展開図は次の通りです。

底面であるおうぎ形の弧と接している側面(長方形)の横の長さは同じです(赤線部分)から
☆㎝=4㎝×2×3.14×45度/360度=3.14㎝
です。
さらに、この立体の3つの側面はどれも縦の長さが立体の高さの5㎝ですから、横の長さが立体の底面の周りの長さと同じ1つの大きな長方形として面積を求めることができます。
5㎝×(4㎝+3.14㎝+4㎝)=55.7㎠ … 側面積の和
4㎝×4㎝×3.14×45度/360度×2=12.56㎠ … 底面積の和
55.7㎠+12.56㎠=68.26㎠
答え 68.26㎠
本問は、柱体の側面積の和を(底面の周りの長さ)×(立体の高さ)を使って求めることができる基本レベルの問題です。
3つの側面積を別々に求めているときは、1つにまとめられることを確認しましょう。
2問目も「柱体の表面積」に関する問題です。
【問題】底面が図のような直角三角形となっている2つの三角柱A、Bがあります。Aの高さはBの高さよりも3㎝高く、Aの表面積はBの表面積よりも354㎠大きいです。三角柱Bの高さは何㎝ですか。

(大妻中学校 第2回 2025年 問題8)
【考え方】
三角柱Bの高さを□㎝として、2つの三角柱の展開図をかいてみます。

12㎝×5㎝÷2×2=60㎠ … 三角柱Aの底面積の和
5㎝+12㎝+13㎝=30㎝ … 三角柱Aの底面の周りの長さ
4㎝×3㎝÷2×2=12㎠ … 三角柱Bの底面積の和
3㎝+4㎝+5㎝=12㎝ … 三角柱Bの底面の周りの長さ
2つの三角柱の表面積の差が354㎠で、図の赤色部分の差が
(60㎠+3㎝×30㎝)-12㎠=138㎠
ですから、図の水色部分の差は
354㎠-138㎠=216㎠
とわかります。
□㎝×30㎝-□㎝×12㎝=216㎠
□㎝×(30㎝-12㎝)=216㎠
□㎝=216㎠÷18㎝=12㎝ … 三角柱Bの高さ
答え 12㎝
本問は、展開図があると表面積の差という条件を利用しやすい問題です。
見取り図を使って解くこともできますが、もし、正解できないようでしたら展開図をかいてみましょう。
3問目は、「断頭三角柱」と言われる立体の体積を求める問題です。
【問題】次の図の立体は三角柱をある平面でななめに切ったものです。ADが7㎝、BEとCFが12㎝で、三角形ABCの面積が15㎠のとき、この立体の体積は何㎤ですか。

(品川女子学院中等部 算数1教科 2025年 問題17 問題文一部変更)
【考え方】
問題文中の「三角柱をある平面でななめに切った」から、次のように底面積が15㎠で高さが12㎝の三角柱から、底面積が15㎠で高さが5㎝の三角すい(赤色部分)を切りとったと考えることができます。

角すいの体積は(底面積)×(高さ)÷3で求めることができます。
15㎠×12㎝-15㎠×5㎝÷3=155㎤
答え 155㎤
本問は、三角柱を平面で切ってできる立体の体積の求め方を確認できる問題です。
問題文中のヒントを使って正解を目指しましょう。
なお、(底面積)×(3つの高さの平均)を利用して体積を求めることもできます。
15㎠×(7㎝+12㎝+12㎝)/3=155㎤
4問目は、相似を利用する立体図形の問題です。
【問題】下図のような三角柱と円柱の1/4を組み合わせた形の容器があります。この容器に水を入れたところ、水面の高さは底面から6㎝のところになりました。水の体積を求めなさい。ただし、円周率は3.14とします。

(東洋英和女学院中学部 B 2025年 問題4 問題文一部変更)
【考え方】
水を入れた容器を、三角柱の部分と円柱の1/4の部分に分けます。

三角柱の底面に着目すると、赤色の三角形の相似比が
12㎝:(12㎝-6㎝)=2:1
なので、
5㎝:□㎝=2:1 → □㎝=2.5㎝
とわかります。
ですから、三角柱の部分の水は、上底が2.5㎝、下底が5㎝、高さが6㎝の台形を底面とする高さが10㎝の四角柱です。
(2.5㎝+5㎝)×6㎝÷2×10㎝=225㎤ … 三角柱の部分の水の体積
また、円柱の1/4の部分の水は、半径が10㎝、中心角の大きさが90度のおうぎ形を底面とする高さが6㎝の柱体です。
10㎝×10㎝×3.14×1/4×6㎝=471㎤ … 円柱の1/4の部分の水の体積
225㎤+471㎤=696㎤
答え 696㎤
本問は、相似を利用して立体図形の辺の長さを求める問題です。
正解できないときは、平面図形の知識である「相似」の使い方が正しいことを確認しましょう。
また、問題文中の「三角柱と円柱の1/4を組み合わせた」をヒントに、水を2つの部分に分けて求めることも大切なポイントです。
今回は、2025年度に女子中の入試で出された「立体図形の体積と表面積」の問題をご紹介しました。
角柱や円柱の体積や側面積を求める公式、展開図を利用した表面積の求め方は、立体図形の問題を解く上で大切です。
角すいや円すいの体積や表面積を求める公式は問題文中に書かれていることもありますが、今回の3問目のように与えられていないこともありますから、覚えておくようにします。
また、相似などの平面図形の知識も立体図形の問題でよく使われます。
これらの図形の知識や3問目や4問目のような問題文中のヒントに着目して、立体図形の問題の正答率を高めていきましょう。
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