第765回 共学中の入試問題 比と割合 1
「第765回 共学中の入試問題 比と割合 1」
ここまで、近年に共学中の入試で出された「数の性質」について考えてきました。
今回からは「比と割合」をテーマとする問題を取り扱っていきます。
その1回目は「相当算」と「倍数算」です。
1問目は相当算の基本問題です。
【問題】次の□の中に適当な数を入れなさい。
太郎君は、所持金の2/9より80円多い金額でノートを買い、次に残りの所持金の2/3より20円少ない金額でペンを買ったところ、180円残りました。太郎君が買ったノートの値段は□円です。
(慶應義塾中等部 2025年 問題2-(1))
【考え方】
条件は、次のような線分図に整理できます。

★に着目すると、
180円-20円=160円
が、ノートを買った残りの所持金の
1-2/3=1/3
にあたるとわかります。
160円÷1/3=480円 … ノートを買った残りの所持金

さらに、☆に着目すると、
480円+80円=560円
が、はじめの所持金の
1-2/9=7/9
にあたることもわかります。
560円÷7/9=720円 … はじめの所持金
よって、ノートの値段は
720円×2/9+80円=240円
です。
答え 240円
本問は、「比と割合の3公式」を使って解く基本レベルの問題です。
正解できないようでしたら、線分図の書き方や読み取り方や(比べる量)÷(割合)=(元にする量)が正しく使えることを確認しましょう。
2問目も相当算の基本問題です。
【問題】次の□にあてはまる数を求めなさい。
落とした高さの3/4だけはね上がるボールがあります。このボールを□㎝の高さから落としたとき、1回目と3回目にはね上がった高さの差は105㎝です。
(中央大学附属横浜中学校 第1回 2025年 問題1-(5))
【考え方】
ボールがはねる様子は、次のように表せます。

1回目にはね上がった高さを1とすると、2回目にはね上がった高さは
1×3/4=3/4、
3回目にはね上がった高さは
3/4×3/4=9/16
です。

図より、105㎝が
1-9/16=7/16
にあたりますので、1回目にはね上がった高さ(=1)は
105㎝÷7/16=240㎝
です。
これがはじめに落とした高さの3/4倍ですから、
□㎝×3/4=240㎝ → □=240÷3/4=320
です。
答え 320
本問は、「割合×割合」を使って解く問題です。
解答例では1回目にはね上がった高さを1としましたが、問題文中の□㎝をそのまま利用して、1回目にはね上がる高さを(□×3/4)㎝、3回目にはね上がる高さを(□×3/4×3/4×3/4)㎝と表して、
(□×3/4)㎝-(□×3/4×3/4×3/4)㎝=105㎝ → □=105÷(3/4-27/64)=320
のように求めることもできます。
また、連比を使って考えてもよいでしょう。

105×64/(48-27)=320
3問目は相当算の応用問題です。
【問題】次の□にあてはまる数を求めなさい。
Mさんは3日間で算数の問題集をすべて解きます。1日目は全体の1/4よりも3題少なく解き、2日目は残りの1/3よりも5題多く解き、3日目は2日目に解いた問題数の4/5よりも9題多く解くと、ちょうど解き終わりました。この問題集は全部で□題あります。
(明治大学付属明治中学校 2025年 問題1-(4))
【考え方】
条件は、次のような線分図に整理できます。

2日目に解いた問題数は(1日目の残りの1/3+5題)ですから、その4/5は
(1日目の残りの1/3+5題)×4/5
=1日目の残りの1/3×4/5+5題×4/5
=1日目の4/15+4題
です。

よって、
(1日目の残り)=9題+4題+(1日目の残りの4/15)+5題+(1日目の残りの1/3)
ですから、1日目の残りは
(9題+4題+5題)÷(1-4/15-1/3)=45題
です。

図より、
45題-3題=42題
が、問題集全体の
1-1/4=3/4
にあたりますから、問題集全体は
42題÷3/4=56題
です。
答え 56
本問は、分配のきまりを利用して解く相当算の応用問題です。
基本問題よりも難しいと思いますが、「分配のきまりを利用する問題もある」ということを知っておくと、類題を解くときに気づきやすくなると思います。
4問目は倍数算の問題です。
【問題】□にあてはまる数を入れなさい。
A、B、Cの3人にみかんを配りました。AとBのもらったみかんの個数の比は10:9でしたが、AがBに13個のみかんをあげたので、AとBのみかんの個数の比は3:4、BとCのみかんの個数の比は2:1になりました。みかんの個数は全部で□個です。
(青山学院中等部 2025年 問題6)
【考え方】
条件は、次のような流れ図と連比に整理できます。

図の赤線で囲まれた部分は「AとBの間のやりとり」ですから、AとBのみかんの個数の和は変化しません。

そこで、和を16と7の最小公倍数である133□にそろえます。

図より、
63□+13個=76□ → 1□=13個÷(76-63)=1個
とわかります。
よって、やりとり後のAのみかんの個数は
1個×57=57個、
やりとり後のBのみかんの個数は
1個×76=76個
です。
また、やりとり後のBとCのみかんの個数の比が2:1ですから、Cのみかんの個数は
76個÷2=38個
です。

57個+76個+38個=171個
答え 171
本問は、やりとりをしても和が変化しないことを利用して解く倍数算です。
登場人物が3人いることで「和が変化しない倍数算」が含まれていることに気づけないようでしたら、解答例のような流れ図に整理できることを確認しましょう。
最後も倍数算の問題です。
【問題】次の□の中に適当な数を入れなさい。
姉と妹のはじめの所持金の比は3:2でしたが、姉は400円使い、妹は270円もらったので、姉と妹の所持金の比は2:9になりました。姉のはじめの所持金は□円です。
(慶應義塾中等部 2025年 問題2-(3))
【考え方】
条件は、次のように整理できます。

図より、「やりとり(和が変化しない)」でも「同量の増加または減少(差が変化しない)」でもない「倍数変化算」とわかりますので、姉のはじめの所持金を③円として、比例式を作ります。
(③円-400円):(②円+270円)=2:9
(③円-400円)×9=(②円+270円)×2
㉗円-3600円=④円+540円

①円=(3600円+540円)÷(27-4)=180円
よって、姉のはじめの所持金は
180円×3=540円
です。
答え 540
本問は、比例式を利用して解く倍数変化算です。
倍数変化算は倍数算の応用ともいえる問題ですが、本問はその中では基本レベルの問題です。
正解できないようでしたら、分配のきまりを利用して比例式を解くことを確認しましょう。
なお、次のように消去算として解く方法もあります。

今回は、2025年度に共学中で出された「相当算」と「倍数算」の問題をご紹介しました。
(元にする量)×(割合)=(比べる量)などの「比と割合の3公式」、線分図や流れ図を使った整理方法はこれからもいろいろな問題で利用しますから、正解できない問題があればどの部分で間違っているかをチェックし、適切な整理方法や正しい使い方をマスターできるように練習をしましょう。
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