受験算数と塾の活用法
臭木!
お元気ですか?
クサギです。
クサギはクマツヅラ科の植物で、
以前にご紹介した「タカラヅカ」や「紫式部」の仲間です。
クサギはその名の通り、葉をとってもむととても臭く、
「臭木」という字までつけられてしまった植物なのですが、
人によってはこのクサギがとても大切なんです。
それは草木染めをする人たちです。
写真のように、クサギの実は濃い紫色をしています。(黒っぽい球状の部分です。)
この実から抽出される液を使うと、絹糸がとてもきれいな、淡いトルコブルーに染まります。
素材も使い方次第で、見事な工芸品に仕上がるんですね。
そこで今回のテーマも前回に続いて、
使い方次第で成績の伸びが変わってくる「受験算数と塾の活用法」について考えてみます。
塾も使い方次第で、すばらしい成果を手に入れることができるんです。
次のような問題を例に考えてみましょう。
フェリス女学院中の2011年度の入試問題です。
【例題】
次の問いに答えなさい。
① 2011,2012,2013,2014,2015,2016,2017のうちから7の倍数をすべて選びなさい。
② 1から7までの7個の数字のうち,4個の数字を使って4けたの整数をつくります。同じ数字を何度使ってもよいとき,7の倍数は何通りつくれますか。
①は7の倍数を探すだけですから、順番に7で割っていけばいいですね。
2011÷7=287あまり2
2012÷7=287あまり3
2013÷7=287あまり4
2014÷7=287あまり5
2015÷7=287あまり6
2016÷7=288
2017÷7=288あまり1
ですから、答えは2016の1個だけだとわかります。
進学塾で勉強をしていると、日々の計算ドリルで鍛えられますから、
4ケタ÷1ケタの計算を7回することくらい、まったく苦にならなくなります。
さらに「算数の問題の中には、値が規則的に変化していくものもある」ということを習えば、
「あまりが1ずつ増えるんだから…」という「規則的な変化」にもすぐに気づけるようになります。
2011 2012 2013 ………… 2016
あまり 2 3 4 5 6 0
このように、進学塾で得られる力として、
(1) 計算力
(2) 規則性に代表されるような予測力
が、まず挙げられます。
②はどのように解けばよいのでしょう?
進学塾では多くの問題を解くため、
「じゃあ、とりあえず順番に調べてみようかな…。何か見つかるかも。そんな問題もあったことだし…。」
という経験に基づいた行動を起こすことができます。
そしてその行動は、前述の「計算力に自信がある」ことによってサポートされているのです。
1111~1117 1121~1127 1131~1137
1111÷7=158あまり5 1121÷7=160あまり1 1131÷7=161あまり4
1112÷7=158あまり6 1122÷7=160あまり2 1132÷7=161あまり5
1113÷7=159 1123÷7=160あまり3 1133÷7=161あまり6
1114÷7=159あまり1 1124÷7=160あまり4 1134÷7=162
1115÷7=159あまり2 1125÷7=160あまり5 1135÷7=162あまり1
1116÷7=159あまり3 1126÷7=160あまり6 1136÷7=162あまり2
1117÷7=159あまり4 1127÷7=161 1137÷7=162あまり3
調べるときは
「小さい数から順」に、「整然と並べて」書くと規則が見つかりやすい
ということも進学塾では経験できます。
その経験通りに調べていくと、上記のように「7個に1個、7の倍数がある」ことが見つかります。
あとは全部で何個の整数を作ることができるかがわかればよいので、
千の位は1~7の7通り、百の位も1~7の7通り、十の位も1~7の7通り、一の位も1~7の7通りですから、
7×7×7×7=2401個 の整数を作ることができます。
7の倍数は7個に1個の割合ですから、2041÷7=343個が答えです。
このような解答ができるお子さんになるためには、
「根気よく取り組む」、「試しに○○をしてみる」といった、
粘り強さと自分の力で何とか解ききるという力を持っていなければなりません。
進学塾では純粋な算数力以外に、
(3) 忍耐力
(4) 自分の力で解ききる意思の強さ
も得ることができるのです。
ところで、この問題はもう少し楽に解くこともできるんです。
最難関中や難関中の入試問題には特にその傾向がありますが、
(1)が(2)の「誘導」になっているのです。
7の倍数は、
1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22…
のように、
「7つの連続する整数の中に1つ」あります。
(1)はこのことを思い出させるために作られた小問だったのです。
さらに、
「7個の数字を使ってできる整数」という部分は、
この問題が「7進法」を利用していることのヒントにもなっているのです。
「1~7」を「0~6」に置き換えれば、
1111→0000(7)=0(10)
1112→0001(7)=1(10)
1113→0002(7)=2(10)
1114→0003(7)=3(10)
1115→0004(7)=4(10)
1116→0005(7)=5(10)
1117→0006(7)=6(10)
1121→0010(7)=7(10)
1122→0011(7)=8(10)
・
・
・
のように、
「1111~7777」は、7進法の「0000(7)~6666(7)」、
つまり10進法の「0~2040」の2401個の連続した整数と同じことになりますから、
7の倍数は 2401÷7=343個 とわかります。
進学塾ではこのような算数の力を学ぶこともできるんです。
この算数力を使うと、問題を読んだときに「7個の数字→7進法→7分の1が7の倍数」とわかるので、
(2)も「瞬殺」で解くことができます。
前回の分析でいうと、
上記のような方向性で指導する塾の場合は、
「自分で問題を解ききる力」をじっくりと時間をかけて身につけさせ、
所見の問題でも対応できるお子さんにしようと考えているのでしょう。
そんな粘り強さに、6年生後半で学習する解法知識を付け加えると、
多少の難問でも十分に乗り越えられるようになると思われます。
ということは、
このタイプの塾で算数の力が伸びるかどうかは、
5年生における学習姿勢にあるといえます。
5年生で
「単に調べ上げる力」だけを身につけることを目標にして塾に通うお子さんと、
「上手に調べ上げる力(例:整理力)」、
さらには調べ上げた結果から学ぶ「算数の理屈」までを取得しようとするお子さんでは、
6年生後半からの伸びがまったく違うことは容易に想像できます。
前者の場合、
問題の難度がさほど高くない=復習だけをしておけば得点できるテストの多い5年~6年7月までは、
後者のお子さんと大差ない成績を得ていたとしても、
8月以降のレベルが上がる模試に対応する力はついていないため、
その時点で得点の伸び悩みに直面してしまいます。
ですから、このタイプの塾を利用する場合は、
お子さんの周囲にいる方々が5年生の時点で十分なサポートをして、
「自分で問題を解ききる力」プラス「解法知識の強化」ができると
6年生の後半へのつながりがスムーズにいくと思われます。
たとえば、
東京出版「中学への算数」(月刊誌)の「要点の整理」で既習範囲の強化を図るという方法、
文一総合出版「栗田哲也先生のスピードアップ算数〈基礎〉」で算数の入試問題の基本形を
6年生後半の準備としてマスターしていくといった方法があるでしょう。
これから5年生になる現4年生のお子さんだけでなく、
まもなく6年生を迎える5年生のお子さんも、
6年生の8月まではまだ時間が残っていますから、
「ただ問題を解いているだけで知識面などで不足している部分があるな。」と思われたら、
今回の分析もひとつの参考にしてみてください。

