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第617回 共学中の入試問題 速さ 5

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速さの練習問題 2023年05月06日18時00分

「第617回 共学中の入試問題 速さ 5」

前回は2022年度の共学中入試で出された「流水算」の問題を取り扱いました。

今回は、2022年度と2023年度の共学中の入試で出された「速さのグラフ」をテーマにした問題を見ていきます。

 

【問題】和男君はA駅からB駅に向かって歩き、途中で店に立ち寄ったあと、店の前のバス停からバスに乗りました。図は、A駅とB駅の間を時速20㎞で運行するバスと、和男君の様子を表したものです。ただし、和男君の歩く速さは一定で、バスは一定の速さで運行し、バス停に停車する時間は考えないものとします。

(1)バスがB駅を出発してから初めてA駅に着くまでに何分かかりますか。

(2)A駅とB駅の間の距離は何㎞ですか。

(3)和男君が歩き出してから3回目にバスと出会うのは、和男君が歩き出してから何分後ですか。

(4)和男君が店に立ち寄らずB駅まで歩いた場合何分かかりますか。

(中央大学附属中学校 2022年 問題3)

 

【考え方】

(1)

「速さのグラフは直角三角形に着目する」が、解き方の基本です。

「ダイヤグラムの5原則 1 三角形の相似に着目」が利用できます。

従って、赤色三角形と水色三角形の相似比は2:3とわかります。

②+③=15分-10分

①=1分

10分+1分×2=12分

答え 12分

 

(2)

20㎞/時×12/60時間=4㎞

答え 4㎞

 

(3)

和男君とバスは4㎞を10分で出会っています。

4㎞÷10/60時間=24㎞/時 … 和男君とバスの速さの和

和男君がバスと3回目に出会ったとき、和男君とバスが進んだ距離の和

4㎞×3=12㎞

です。

12㎞÷24㎞/時×60=30分

答え 30分後

 

(4)

24㎞/時-20㎞/時=4㎞/時 … 和男君の速さ

4㎞÷4㎞/時×60=60分

答え 60分

 

本問は、ダイヤグラムの読み取り方の基本と5原則の利用が確認できる問題です。

なお、(1)は1回目に出会うまでの距離の和と2回目に出会うまでの距離の差が等しい(AB間)ことに着目して、バスと和男君の速さの和と差の比が3:2を利用して解いてもOKです。

 

では、次の問題です。

 

【問題】A地点からB地点まで行くバスが30分おきに出ています。太郎さんが同じ道をB地点からA地点まで自転車で走ると2回バスとすれ違いました。下のグラフはそのときの様子を表したものです。バスと自転車の速さの比は7:3です。このとき、次の各問いに答えなさい。

(1)ア□とイ□に適する数を答えなさい。

(2)バスの速さは時速何㎞ですか。

(3)A地点からB地点までの道のりは何㎞ですか。

(山手学院中学校 2022年 問題5)

 

【考え方】

(1)

直角三角形に着目します。

2つの直角三角形は合同なので、ア□=15です。

「ダイヤグラムの5原則 2 等高三角形に着目 3 平行四辺形に着目」が利用できます。

赤色三角形と水色三角形は高さが等しい三角形なので、ウ:エ=③:⑦です。

赤線の平行四辺形に着目します。

③+⑦=30分

③=9分

イ=15+9=24

答え ア 15、 イ 24

 

(3)

バスは16.8㎞を24分で走ります。

16.8㎞÷24/60時間=42㎞/時 … バスの速さ

42㎞/時×3/7=18㎞/時 … 太郎さんの速さ

バスと太郎さんは出発して24分後に出会います。

(42㎞/時+18㎞/時)×24/60時間=24㎞

答え 24㎞

 

本問も、ダイヤグラムの読み取り方の基本と5原則の利用が確認できる問題です。

速さのグラフを習い終えていたら、ダイヤグラムの5原則(1 相似 2 等高三角形 3 平行四辺形 4 二等辺三角形 5 琵琶湖形三角形)が使えるかを確認しておきましょう。

 

今回の最後の問題です。

 

【問題】太郎君と花子さんの2人は、それぞれ自宅から相手の家までの道のりを一定の速さで1往復します。太郎君は分速120mで走り、花子さんは太郎君より遅い速さで走ります。2人は同時に自宅を出発しました。次のグラフは、2人の間の道のりの様子を途中まで表したものです。

(1)太郎君の家と花子さんの家の間の道のりは何mか、求めなさい。

(2)花子さんの走る速さは、分速何mか、求めなさい。

(3)太郎君と花子さんが2回目に出会ったのは、出発してから何分何秒後か、求めなさい。

(4)花子さんが走り終わるまでのグラフを完成させなさい。

(東京農業大学第一高等学校中等部 2023年 問題5)

 

【考え方】

(1)

隔たりグラフはそのまま読み取ってもよいですし、読み取りにくいときは2人のダイヤグラムに書き直します。

ここでは書き直して解いていくことにします。

速さは太郎君の方が速いので、24分後に太郎君が花子さんの家に着き、36分後に花子さんが太郎君の家に着きます。

120m/分×24分=2880m

答え 2880m

 

(2)

2880m÷36分=80m/分

答え 分速80m

 

(3)

2人が2回目に出会うまでに、2人が進んだ道のりの和

2880m×3=8640m

です。

8640m÷(120m/分+80m/分)=43.2分後

答え 43分12秒後

 

(4)

これまでにわかったことから、さらに次のことがわかります。

・24分×2=48分後 … 太郎君が自宅に戻る時刻

・80m/分×(48分-36分)=960m … 48分後の2人の隔たり

2880m÷6目もり=480m … グラフの縦軸の1目もり

960m÷480m=2目もり

・36分×2=72分 … 花子さんが自宅に戻る時刻

これらをもとに、グラフを完成させます。

答え 解説のグラフ

 

本問は隔たりグラフの基本が確認できる問題です。

ここではグラフを書き直しましたが、問題のグラフを読み取って解いてもOKです。

 

今回は、2022年度と2023年度に共学中入試で出された「速さのグラフ」の問題をご紹介しました。

グラフの問題は大問形式で出されると、小問が芋づる式に解けることから点数の差がつきやすくなる問題です。

グラフ問題が苦手なときは、グラフの読み取りの基本、ダイヤグラムの5原則、グラフと線分図の関係、速さと比の関係の使い方のどの点に課題があるかを今回ご紹介したような問題を用いて確認しましょう。

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速さの練習問題 / 中学入試の算数問題 2023年05月06日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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