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第653回 女子中の入試問題 平面図形 6

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図形の練習問題 2024年01月13日18時00分

「第653回 女子中の入試問題 平面図形 6」

ここまで、2023年度に女子中で出された「平面図形」について考えています。

前回は「正六角形」の問題をみました。

「平面図形」の最終回となる今回は、「移動」がテーマの問題を取り扱います。

 

1問目は、「回転移動」の少し難しい問題です。

 

【問題】図のようなAB=3㎝、AC=4㎝の折れ線を、点Aの周りを反時計回りに90度回転させ、回転後の点Bの周りを反時計回りに90度回転させました。折れ線が動いてできる図形の面積は何㎠ですか。円周率を用いるときは3.14として答えなさい。

(大妻中学校 2023年 問題10 問題文一部変更)

 

【考え方】

条件に従って作図をします。

図形の移動を作図するときは、はじめに図形の各頂点を移動させ、次に移動させた後の頂点を結ぶという手順で行うと正確な図をかくことができます。

 

回転移動のポイントは、回転の中心から最も遠い点と最も近い点も動きに着目することです。

点Aを中心に反時計回りに90度回転させるとき、直線ABについては点Aから最も遠い点がBで最も近い点がAですから赤色のおうぎ形を描き、直線ACについては点Aから最も遠い点がはCで最も近い点がAですから青色のおうぎ形を描きます。

次に点Bを中心に反時計回りに90度回転させるとき、直線ABについては点Bから最も遠い点がAで最も近い点がBですから赤色のおうぎ形を描き、直線ACについては点Aから最も遠い点がCで最も近い点がAですから青色の図形を描きます。

 

ですから、求める図形は次の(ア)~(ウ)の3つ図形を合わせたものです。

3㎝×3㎝×3.14×90度/360度=9/4㎠×3.14 … (ア)

4㎝×4㎝×3.14×90度/360度=4㎠×3.14 … (イ)

(ウ)は円問題の補助線(半径B’C”)を引いた図形式をかくと、半径5㎝のおうぎ形と半径3㎝のおうぎ形の面積の差に等しいことがわかります。

5㎝×5㎝×3.14×90度/360度-3㎝×3㎝×3.14×90度/360度=4㎠×3.14 … (ウ)

 

9/4㎠×3.14+4㎠×3.14+4㎠×3.14=41/4㎠×3.14=32.185㎠

答え 32.185㎠

 

本問は、図形の回転移動の考え方や作図が確認できる問題です。

「折れ線」を回転させる本問は基本レベルの「三角形の回転移動」よりも難しい問題ですが、考え方や作図の基本は同じです。

正解できないときは「パターンの暗記」になっている可能性がありますので、本来の考え方をチェックしておきましょう。

 

2問目は、「点の移動と図形の面積」の応用問題です。

 

【問題】次の図は、正方形から長方形を切り取った図形です。点Pは頂点Oを出発して毎秒1㎝の速さで、辺上を頂点A、B、Cを通り頂点Dまで進みます。次のグラフは点Pが頂点Oを出発してからの時間と、三角形OCPの面積の関係を途中まで表したものです。ただし、三角形OCPが存在しない場合は面積を0㎠とします。

(1)辺OA、AB、BCの長さをそれぞれ求めなさい。

(2)点Pが頂点Dまで動くときのグラフの続きを完成させなさい。

(3)三角形OCPの面積が最後に5.5㎠となるのは点Pが頂点Oを出発してから何秒後か求めなさい。

(湘南白百合学園中学校 2023年 問題3)

 

【考え方】

(1)

グラフが初めて折れ曲がる4秒後は、点Pが頂点Aに着いたときです。

1㎝/秒×4秒=4㎝ … 辺OA

4㎝×★㎝÷2=6㎠ → ★=3(㎝)

よって、辺ABの長さも3㎝です。

 

次に6秒後の図をかきます。

1㎝/秒×(6秒-4秒)=2㎝ … AP

3㎝-2㎝=1㎝ … BP

 

三角形APOと三角形BPCは相似で、相似比は

AP:BP=2:1=AO:BC

です。

BC=4㎝×1÷2=2㎝

 

答え 辺OA 4㎝、 辺AB 3㎝、 辺BC 2㎝

 

(2)

(1)より、正方形の1辺の長さは

OA+BC=4㎝+2㎝=6㎝

なので、

CD=6㎝-3㎝=3㎝

です。

 

点Pが頂点Bに着く 4秒後+3㎝÷1㎝/秒=7秒後、

頂点Cに着く 7秒後+2㎝÷1㎝/秒=9秒後、

頂点Dに着く 9秒後+3㎝÷1㎝/秒=12秒後

の図をかきます。

 

7秒後

2㎝×3㎝÷2=3㎠

 

9秒後

0㎠

 

12秒後

3㎝×6㎝÷2=9㎠

 

よって、グラフは次のようになります。

答え (解説のグラフを参照)

 

(3)

(2)のグラフを利用します。

 

赤色の三角形は相似で、相似比は

5.5:(9-5.5)=11:7=□:■

です。

□=(12秒-9秒)×11/(11+7)=11/6(秒)

 

ですから、三角形OCPの面積が最後に5.5㎠になるのは

9秒後+11/6秒=65/6秒後

です。

 

答え 10 5/6秒後(65/6秒後)

 

本問は、点の移動と面積の考え方が確認できる問題です。

(1)で、6秒後の三角形OCPの面積が0㎠になる図をかくことができれば、あとは順に計算していくだけです。

なお、(3)では1秒あたりの面積の変化を求める解き方でも構いません。

 

今回は、2023年度の女子中の入試で出された「移動」に関する問題をご紹介しました。

2問とも基本問題より難しいのですが、解法や考え方、作図などは基本問題と同じものです。

正解できない問題があるときは、「移動」の問題の解法の理由や「どうしてそのように考える(着目する)のか」を、基本問題などの演習を通してきちんと理解するようにしましょう。

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図形の練習問題 / 中学入試の算数問題 2024年01月13日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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