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第656回 女子中の入試問題 立体図形 3

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図形の練習問題 2024年02月03日18時00分

「第656回 女子中の入試問題 立体図形 3」

2023年度に女子中で出された「立体図形」について考えています。

「求積」、「回転体」に続く今回は、「切断」がテーマの問題を取り扱います。

 

1問目は基本レベルの問題です。

 

【問題】1辺の長さが6㎝の立方体を、下の図のように平面で切ったところ、一方の立体の体積が171㎤になりました。□にあてはまる数を答えなさい。

(横浜雙葉中学校 2023年 問題1-(7) 問題文一部変更)

 

【考え方】

立方体を平面で切断するとき、向かい合う面の切り口は平行になります。

ですから、立方体は平面によって三角柱と底面が台形である四角柱に分けられます。

分けられた角柱の底面積を□㎠とします。

□㎠×6㎝=171㎤ → □㎠=28.5㎠

立方体の1つの面の面積の半分が

6㎝×6㎝÷2=18㎠

で角柱の底面積よりも小さいですから、面積が28.5㎠の面は四角柱の底面(台形)の面積とわかります。

(□㎝+6㎝)×6㎝÷2=28.5㎠ → □=3.5

答え 3.5

 

本問は、切断の原則である「平行に向かい合う面の切り口は平行」を利用する基本レベルの問題です。

 

2問目も基本レベルの問題です。

 

【問題】下の図は、底面の半径が3㎝の円柱を切断して、2つの立体にしたところを真横から見たものです。この2つの立体の表面積の差は□㎠です。□の中にあてはまる数を求めなさい。円周率は3.14とします。

(香蘭女学校中等科 2023年 問題1-⑦ 問題文一部変更)

 

【考え方】

条件を見取り図で整理します。

上側の立体の向きを変えて、下側の立体と並べます。


図より、赤色部分(円柱の側面)の面積が、2つの立体の表面積の差とわかります。

3㎝×2×3.14×(13㎝-9㎝)=24㎠×3.14=75.36㎠

答え 75.36㎠

 

本問は、円柱の切断の基本が確認できる問題です。

切り口の部分が同じ形をしていることを利用しましょう。

 

3問目も、立体図形の見方が関係している問題です。

 

【問題】1辺が6㎝の立方体を平面で2回切断しました。その立体を真上、真正面、右から見ると、下の図のようになりました。この立体の辺と面の数をそれぞれ求めなさい。

(頌栄女子学院中学校 2023年 問題1-(7))

 

【考え方】

投影図から見取り図をかいて、辺と面の数を数えます。

図のように3方向から見たときの太線が立方体の面にあると考えると、次のような見取り図をかくことができます。

答え 辺 13、 面 8

 

本問は、投影図から見取り図をかくときの考え方が確認できる問題です。

図の太線部分で面が曲がっている(2つの面がくっついている)ことに注意して図をかきましょう。

なお、面は2つ増えているので

6+2=8(面)

辺は三角形の面が6つと四角形の面が2つあるので

(3×6+4×2)÷2=13(本)

のように求めることもできます。

 

4問目は、重要な定番問題です。

 

【問題】下の図のような、1辺が4㎝の正方形の厚紙があります。点M、Nはそれぞれ辺AB、ADの真ん中の点です。この厚紙を点線で折って立体を作るとき、その立体の体積を求めなさい。

(晃華学園中学校 2023年 問題1-(6) 問題文一部変更)

 

【考え方】

問題の図は、立方体を次のように切断してできる三角すいの展開図です。

2㎝×2㎝÷2×4㎝÷3=8/3㎤

答え 8/3㎤(2 2/3㎤)

 

本問は、立方体を辺の真ん中の点と頂点を通るように切ってできる三角すいの問題です。

この三角すいの展開図、各面の面積、体積に関する知識は大切です。

 

最後は大問形式の問題です。

 

【問題】図のように、高さが異なる3つの直方体あ□、い□、う□を下から順に重ね、1つの直方体を作ります。

この直方体の表面および辺と頂点の上を動く2つの点P、Qがあり、PとQを結ぶ直線で直方体を切っていきます。P、Qを次のように動かすとき、次の問いに答えなさい。

(1)はじめ、Pは頂点Aに、Qは頂点Hにあります。P、Qを①→②の順番に動かします。

①PをAからBまで真っすぐに動かします。

②QをHからGまで真っすぐに動かします。

このとき、直方体い□は2つの立体図形に分けられます。このうち、面ABFE側にある方を立体え□とします。立体え□の体積は何㎤ですか。

(2)(1)に続けて、P、Qを③→④の順番に動かします。

③QをGから再びHまで真っすぐに動かします。

④PをBからFまで真っすぐに動かします。

このとき、立体え□は2つの立体図形に分けられます。このうち、面ADHE側にある方をを立体お□とします。立体お□の体積は何㎤ですか。なお、この問題は解答までの考え方を表す式や文章・図を書きなさい。

(3)(2)に続けて、PをFからAまで真っすぐに動かします。このとき、立体お□は2つの立体図形に分けられます。このうち、面ADHE側にある方を立体か□とします。立体か□の体積は何㎤ですか。

(洗足学園中学校 2023年 問題5)

 

【考え方】

(1)

2点P、Qを動かすと、直方体は長方形ABGHで切断されます。

この様子を矢印の向き(正面)からみると、次のようになります。

ピラミッド型相似に着目します。

立体え□は水色の台形を底面とする高さ6㎝の四角柱です。

9㎝×1/6=1.5㎝ … 台形の上底

9㎝×3/6=4.5㎝ … 台形の下底

(1.5㎝+4.5㎝)×2㎝÷2×6㎝=36㎤

答え 36㎤

 

(2)

点Qを③のように動かします。

点Pを④のように動かします。

この様子を矢印の向き(真上)からみると、次のようになります。


立体お□は、立体え□から水色の三角形を下面とする高さ2㎝の三角すい台を取り除いたものです。

三角すい台は、三角すい(大)から相似な三角すい(小)を引いて考えます。


図の3つの三角すいは相似で、相似比は

1㎝:(1㎝+2㎝):(1㎝+2㎝+3㎝)=1:3:6

なので、体積比は

(1×1×1):(3×3×3):(6×6×6)=1:27:216

です。

9㎝×6㎝÷2×(1㎝+2㎝+3㎝)÷3×(27-1)/216=6.5㎤ … 三角すい台

36㎤-6.5㎤=29.5㎤

答え 29.5㎤

 

(3)

点Pを動かします。

この様子を矢印の向きからみると、次のようになります。

見取り図から立体か□は三角すい台とわかりますから、(2)と同じようにして計算します。

9㎝×6㎝÷2×(1㎝+2㎝+3㎝)÷3×(27-1)/216=6.5㎤

答え 6.5㎤

 

本問は、2点が動いた部分が面となって立体が切断される問題です。

「線で立体を切る」ことがイメージしにくいようでしたら、チーズカッターを使ったり、ゆで卵を細い糸で切ったりなどすると感覚がつかめるかもしれません。

(2)、(3)は応用レベルの問題ですが、作図ができれば正解することも可能です。

まちがえたときは、正しく作図ができているかを確認しましょう。

 

今回は、2023年度の女子中で出された切断がテーマの問題をご紹介しました。

1問目と2問目は基本レベルの問題、3問目と4問目は作図力や知識が問われる問題、5問目は立体図形の見方と相似の利用が組み合わさったやや難しい問題でした。

切断を学び終えていれば、考え方や知識がどのレベルまで定着できていて、解き方のどの部分が足りないかをチェックし、弱点補強をおこないましょう。

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図形の練習問題 / 中学入試の算数問題 2024年02月03日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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