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第665回 共学中の入試問題 数と計算 2

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数の性質の練習問題 2024年04月06日18時00分

「第665回 共学中の入試問題 数と計算 2」

前回から、近年の共学中の入試問題について考えています。

今回も「数と計算」の問題を見ていきます。

テーマは「約数と倍数」です。

 

1問目は、基本レベルの問題です。

 

【問題】1361、1649のどちらを割っても、余りが17になるような整数のうち、最大のものを求めなさい。

(中央大学附属中学校 2023年 問題1-(3))

 

【考え方】

問題文を式で表します。

1361÷□=商あまり17

1649÷□=商あまり17

「割る数 > 余り」ですから、□は18以上の整数とわかります。

次に、割り算の式をかけ算の式に書き直します。

□×商+17=1361 → □×商=1361-17=1344

□×商+17=1649 → □×商=1649-17=1632

よって、□は1344と1632の公約数です。

「公約数は最大公約数の約数」なので、最大公約数を求めます。

2×2×2×2×2×3=96 … 最大公約数

以上より、□は96の約数の中で18以上の数とわかります。

このうち最大のものを求めますので、答えは最大公約数の96です。

答え 96

 

本問は、公約数の基本が確認できる問題です。

「公約数は最大公約数の約数」はもちろんですが、今回は利用しなかった「割る数 > 余り」も大切な知識です。

 

2問目も、基本レベルの問題です。

 

【問題】3で割っても7で割っても2あまる整数のうち、100に最も近い整数を求めなさい。

(芝国際中学校 2023年 問題2-(1))

 

【考え方】

問題文を式で表します。

□÷3=商あまり2

□÷7=商あまり2

割り算の式をかけ算の式に書き直します。

□=3×商+2 → □=3の倍数+2

□=7×商+2 → □=7の倍数+2

このことは、次のような線分図に表せます。

「公倍数は最小公倍数の倍数」なので、

□=21の倍数+2 → □=21×■+2

です。

このうち、100に最も近い整数を求めます。

■=(100-2)÷21=4.6…

よって、■は4と5の2つが考えられます。

■=4のとき 21×4+2=86

■=5のとき 21×5+2=107

このうち、100に最も近いのは107です。

答え 107

 

本問は、「公倍数は最小公倍数の倍数」という大切な知識が確認できる問題です。

「公約数は最大公約数の約数」とセットにして覚えておきましょう。

 

3問目は少し難しい表現が使われた問題ですが、考え方は基本レベルです。

 

【問題】ある分数は、7 1/8をかけると整数Aに、12 2/3をかけると整数Bになります。ただし、整数AとBには1以外の公約数はありません。ある分数を答えなさい。

(青山学院中等部 2023年 問題3 問題文一部変更)

 

【考え方】

ある分数を■/□として、問題文を式で表します。

約分をするとそれぞれA/1、B/1となるので、(ア)から□は57の約数、■は8の倍数、(イ)から□は38の約数、■は3の倍数とわかります。

つまり、□は57と38の公約数、■は8と3の公倍数です。

57と38の最大公約数は

より19なので、□は1と19の2つがあります。

しかし、□=1のときは■/□が分数にならないので条件にあてはまりません。 → □=19

また、8と3の公倍数は最小公倍数の24の倍数です。 → ■=24×☆

よって、

■/□ =24×☆/19

と表せます。

ですから、整数AとBは

となります。

さらに「整数AとBには1以外の公約数はありません」という条件から、☆=1と決まります。

よって、求める分数は24/19です。

答え 24/19(1 5/19)

 

本問は、「分数×分数=整数」の考え方が確認できる問題です。

「整数AとBには1以外の公約数はありません」という条件が、「最も小さい分数を求めなさい」と同じ意味であること注意しましょう。

 

最後は大問形式の問題です。

 

【問題】100以上300以下の偶数について、次の問いに答えなさい。

(1)この偶数は何個ありますか。

(2)この偶数のうち、3で割り切れる整数は何個ありますか。

(3)この偶数のうち、3または5で割り切れる整数は何個ありますか。

(山手学院中学校 2023年 問題3)

 

【考え方】

(1)

偶数は2の倍数のことですから、条件は

100 ≦ 2×□ ≦ 300

と表せます。

2×□=100 → □=50

2×□=300 → □=150

□は50以上150以下の整数ですから、2×□は

150個-49個=101個

あります。

答え 101個

※ 別解

(300個-100個)÷2=100個

100個+1個=101個

 

(2)

「2でも3でも割り切れる整数」という意味ですから、2と3の公倍数の個数を求めます。

2と3の公倍数は最小公倍数の6の倍数です。

(100-1)÷6=16あまり3 → 99以下の6の倍数は16個

300÷6=50 → 300以下の6の倍数は50個

50個-16個=34個

答え 34個

 

(3)

条件をベン図で表します。

(2)よりも増えた部分は、「2でも5でも割り切れる数(2と5の公倍数)」から「2でも3でも5でも割り切れる数(2と3と5の公倍数)」(赤線部分)を取り除いた部分(水色)です。

2と5の公倍数は最小公倍数の10の倍数です。

(100-1)÷10=9あまり9 → 99以下の10の倍数は9個

300÷10=30 → 300以下の10の倍数は30個

30個-9個=21個 → 100~300の10の倍数は21個

 

2と3と5の公倍数は最小公倍数の30の倍数です。

(100-1)÷30=3あまり9 → 99以下の30の倍数は3個

300÷30=10 → 300以下の30の倍数は10個

10個-3個=7個 → 100~300の30の倍数は7個

 

よって、(2)より増えた個数は

21個-7個=14個

です。

34個+14個=48個

答え 48個

 

本問は、倍数の個数の考え方が確認できる問題です。

解答例ではベン図を利用しましたが、周期算を利用する解き方もあります。

※ 周期算を利用した(3)の解答例

2と3と5の最小公倍数は30なので、100~129について調べます。

1セット30個の中に7個あります。

300-100+1=201

201個÷30個=6セットあまり21個

7個×6セット+6個=48個

 

今回は、近年の共学中の入試で出された「約数と倍数」がテーマの問題をご紹介しました。

最後の問題の(3)は難しい問題ですが、その他の問題は基本の考え方を使って解くことができます。

基本レベルの問題の中に正解できない問題があるときは、すぐにおさらいをしましょう。

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数の性質の練習問題 / 中学入試の算数問題 2024年04月06日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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