小川大介の中学受験合格を実現する逆算受験術

中学受験情報局『かしこい塾の使い方』 -> 主任相談員の中学受験ブログ -> 前田昌宏の中学受験が楽しくなる算数塾 -> 数の性質の練習問題  -> 第732回 女子中の入試問題 数と計算 4

第732回 女子中の入試問題 数と計算 4

このエントリーをはてなブックマークに追加
数の性質の練習問題 2025年07月19日18時00分

「第732回 女子中の入試問題 数と計算 4」

前回に引き続き、近年の女子中の入試で出された「数と計算」の問題から「倍数と約数」の分野の問題を取り扱います。

 

1問目は、倍数の個数の問題です。

 

【問題】1から2024までの2024個の整数のうち、4でも7でも割り切れない整数は何個ありますか。

(香蘭女学校中等科 2024年 第1回 問題1-⑩ 問題文一部変更)

 

【考え方】

4で割り切れる整数は4の倍数、7で割り切れる整数は7の倍数です。

ですから、4でも7でも割り切れない整数は4の倍数でも7の倍数でもない数です。

2024÷4=506 → 4の倍数は506個

2024÷7=289あまり1 → 7の倍数は289個

4と7の最小公倍数は28ですから、ベン図の「交わり」の部分は28の倍数です。

2024÷28=72あまり8 → 28の倍数は72個

506個+289個-72個=723個 … 4または7で割り切れる整数

2024個-723個=1301個

答え 1301個

 

本問は、倍数の個数の整理方法を確認できる問題です。

解答例ではベン図を用いましたが、4と7の最小公倍数が28であることから28個を1組とする整理方法もあります。

28個1組の中に4でも7でも割り切れない整数は18個あります。

2024÷28=72(組)あまり8(個)

「あまり8」は表の1から8までのことで、その中に4でも7でも割り切れない整数が5個あります。

18個×72組+5個=1301個

 

2問目は、最小公倍数についての問題です。

 

【問題】分子が5で分母が整数である数の中で、1/3より大きく3/7より小さい分数の分母をすべて書きなさい。

(東洋英和女学院中学部 2025年 A・帰国生 問題4)

 

【考え方】

条件を不等式で表します。

分数の大小関係を調べるときは、原則として、分母または分子を同じ数にそろえます。

ここでは3つの分数の分子がわかっていますので、分子を1と5と3の最小公倍数の15にそろえます。

よって、A×3は35より大きく45より小さい数とわかります。

A×3=35 → A=35÷3=11.6…

A×3=45 → A=45÷3=15

ですから、Aは12以上14以下の整数です。

答え 12、13、14

 

本問は、最小公倍数を利用した分数の大小関係の考え方を確認できる問題です。

なお、最小公倍数を利用する以外に、次のような考え方もあります。

 

最後は、約分がテーマの大問形式の問題です。

 

【問題】83個の分数

について、次の問いに答えなさい。

(1) 約分すると分母が奇数になる分数は、全部で何個ありますか。

(2) 83個の分数をすべて加えると、いくつになりますか。

(3) 約分できない分数は、全部で何個ありますか。

(4) 約分できない分数をすべて加えると、いくつになりますか。

(立教女学院中学校 2024年 問題3)

 

【考え方】

(1)

分母の84を素因数分解すると

84=2×2×3×7

となりますから、約分して分母が奇数になったときの分母は3または7または21です。

約分して分母が3になる場合は分数を

84÷3=28

で約分していますから、約分する前の分子が28の倍数の分数です。

同様に考えると、分母が7になる分数の分子は12の倍数、分母が21になる分数の分子は4の倍数です。

83÷4=20あまり3 → 83以下の4の倍数は20個あります。

答え 20個

 

(2)

分子は初項が1、末項が83。公差が1の等差数列ですから、分子の和は

(1+83)×83÷2

という計算で求められます。

答え 83/2(41.5)

 

(3)

分母が

84=2×2×3×7

ですから、分子が2の倍数または3の倍数または7の倍数の分数は約分ができます。

「割り切れるように分子を84以下とする」という計算の工夫ができます。

84÷2=42(個)… 2の倍数の個数

84÷3=28(個)… 3の倍数の個数

84÷7=12(個)… 7の倍数の個数

84÷6=14(個)… 6の倍数の個数

84÷14=6(個)… 14の倍数の個数

84÷21=4(個)… 21の倍数の個数

84÷42=2(個)… 42の倍数の個数

(42個+28個+12個)-(14個+6個+4個)+2個=60個

84を含む白色部分(2の倍数または3の倍数または7の倍数)が60個ですから、約分できない分数は

84個-60個=24個

です。

答え 24個

 

(4)

1以下の既約分数(約分できない分数)の和を求めるときは、既約分数を2個1組にするという工夫ができます。

両端から内側に向かって2個1組にしていくと、どの組の和も1です。

24個÷2個=12組

1×12組=12

答え 12

 

本問は、分数の約分と倍数の関係を確認できる問題です。

特に、「約分すると分子が1になる(分子が分母の約数)」と(3)の「約分ができる」の区別はとても大切です。

なお、(1)では、「分母の 2×2 がなくなればよい。だから、分子が4の倍数の分数」のように考えられると理想的です。

 

今回は、2024年度と2025年度に女子中の入試で出された「倍数の個数」、「分数と最小公倍数」、「約分と倍数」がテーマの問題をご紹介しました。

習い終えているときは、基本レベルの定着度を1問目と2問目を解いて確認しましょう。

3問目で用いる知識や解法はそれらよりは難しいものですが、問題としては定番ですから、もし間違えた問題があれば、時間を作ってできるだけ早めに修正ができるといいですね。

このエントリーをはてなブックマークに追加
数の性質の練習問題 / 中学入試の算数問題 2025年07月19日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
Copyright (c) 2008- 中学受験情報局『かしこい塾の使い方』 All rights reserved.