第733回 女子中の入試問題 数と計算 5
「第733回 女子中の入試問題 数と計算 5」
これまで、近年の女子中の入試で出された「数と計算」の問題について考えています。
今回は「数の規則性」の問題について見ていきます。
1問目は、かけ算と規則性の問題です。
【問題】2025を2025個かけあわせた数の十の位の数は何ですか。
(品川女子学院中等部 算数1教科 2025年 問題1 問題文一部変更)
【考え方】
規則性の問題は、「規則がみつかるまで調べる」ことが解き方の基本です。
2数の積の十の位の数を調べますから、かけあわせる数の下2桁に着目します。
ですから、2025を何回かけても十の位の数は2とわかります。
答え 2
本問は、かけあわせる2数と積の決められた位の数の関係を確認できる問題です。
2025をかけあわせて解いているときは、工夫ができることを確認しましょう。
2問目は、繰り返しの問題です。
【問題】3種類の数字0、2、4を下のように、ある規則にしたがって左から順に並べます。
2、0、2、4、0、2、0、2、4、0、2、0、2、4、0、…
このとき、次の問いに答えなさい。
(1) はじめから数えて534番目の数字を答えなさい。
(2) 全部で2024個の数字が並んでいるとき、その中に0は何個あるかを求めなさい。
(3) 0、2という数字の並びが211回あり、一番右の数字が4であるとき、並んでいる全数字の真ん中の数字を答えなさい。
(白百合学園中学校 2024年 問題2)
【考え方】
(1)
数字の列は「2、0、2、4、0」の5個1組を繰り返しています。
534個÷5個=106組あまり4個
よって、534番目の数字は107組目の左から4番目の数字です。
答え 4
(2)
1組の中に「0」は2個あります。
2024個÷5個=404組あまり4個
2024番目の数は405組目の左から4番目の数ですから、そこまでに「0」は
2個×404組+1個=809個
あります。
答え 809個
(3)
「2、0、2、4、0」の組が1組あるとき「0、2」という並びが1回、2組あるとき3回、3組あるとき5回、…となっていますから、「2、0、2、4、0」の組が□組あるとき「0、2」という並びは(□×2-1)回あるとわかります。
□×2-1=211 → □=(211+1)÷2=106(組)
ですから、並んでいる数字は全部で
5個×106組-1個=529個
です。
529個÷2=264個あまり1個
よって、真ん中の数字は左から265番目の数字です。
265個÷5個=53組 → 割り切れましたので、265番目の数字は53組目の最後の数字の0です。
答え 0
本問は「繰り返し」の基本を確認できる問題です。
繰り返しはカレンダーのように整理する(7日間を横1列に書く)ことが基本ですが、(3)のように組と組とにまたがる問題では横にのばして整理すると数えやすいでしょう。
3問目は、余りの規則性がテーマの問題です。
【問題】2をA個並べてできるAけたの数を、7で割ったときの余りを《A》で表します。例えば、2222を7で割ったときの余りは3なので《4》=3です。
(1) 《8》の値を答えましょう。
(2) 《29》+《30》+…+《1069》+《1070》を計算しましょう。
(雙葉中学校 2025年 問題2)
【考え方】
(1)
22222222÷7 を計算してもよいのですが、規則を見つけるために《1》から順に調べてみます。
2÷7=0あまり2 → 《1》=2
22÷7=3あまり1 → 《2》=1
次は《3》ですが、《2》の「22÷7」と並べて筆算を書いてみます。
222を7で割ったときの余りは、《2》の「1」が十の位の数、「2」が一の位の数である2桁の整数「12」を7で割ったときの余りになることがわかります。
12÷7=1あまり5 → 《3》=5
《4》も筆算をしてみます。
先ほどと同様に、2222を7で割ったときの余りは、《3》の「5」が十の位の数、「2」が一の位の数である2桁の整数「52」を7で割ったときの余りになることがわかります。
52÷7=7あまり3 → 《4》=3
以上から、
《5》は 32÷7=4あまり4 より《5》=4
《6》は 42÷7=6 より《6》=0となり
次の《7》は 02÷7 つまり 2÷7 の計算をしますから、《1》と同じ2であることがわかります。
よって、《8》=1です。
答え 1
(2)
(1)で6個1組を繰り返すことがわかりました。
2+1+5+3+4+0=15 … 1組の和
《29》+《30》+…+《1069》+《1070》 は、次のような工夫をすることができます。
28÷6=4組あまり4
《28》は5組目の4番目なので(ア)は
15×4+2+1+5+3
です。
1070÷6=178組あまり2
《1070》は179組目の2番目なので(イ)は
15×178+2+1
です。
(15×178+2+1)-(15×4+2+1+5+3)
=15×174-(5+3)
=2602
答え 2602
本問は、余りの規則性を確認できる問題です。
(1)の正解だけを目指す場合は 22222222÷7=3174603あまり1 のように計算してもOKです。
しかし、(2)で、「1070桁」というとても書き切れない数について求めることから、「規則性があるはずだ。《1》から順に、計算が可能な小さいの所で調べてみよう」のように考えられると理想的です。
最後も、余りに関する問題です。
【問題】
次の問いに答えなさい。
(1) 3を8個並べた数33333333を37で割った余りを求めなさい。
(2) 9を2024個並べた整数を37で割った余りを求めなさい。
(鷗友学園女子中学校 第2回 2025年 問題1 問題文一部変更)
【考え方】
(1)
実際に割り算をしても構いませんが、「37×3=111」を利用した工夫ができます。
答え 33
(2)
999=111×9=37×3×9 → 999は37で割り切れる。
ですから、(1)で 33333333 を 33300000 と 33300 と 33 に分解した、言いかえると 333/333/33 のように上から3桁ごとに区切ったように、9999…9 も上から3桁ごとに区切ればよいとわかります。
2024桁÷3桁=674区切りあまり2桁
上2022桁を3桁ごとに区切った部分はどれも37で割り切れ、残った下2桁の99は37で割ると25余りますから、9を2024個並べた整数を37で割った余りは25です。
答え 25
本問は、37の倍数の利用を確認できる問題です。
「37×3=111」を覚えていると、このような問題で役に立ちます。
今回は、2025年度と2024年度に女子中の入試で出された「数の規則性」の問題をご紹介しました。
1問目のように規則がみつかるまで順に調べること、2問目のように「組」と「余り」を正確に数えられることは、「数の規則性」の問題を解くときに大切なポイントです。
4問目の「37の倍数」はかなり難しい問題ですが、3問目と同様に「数を分解する」という考え方は、「数の規則性」で正解数を増やしていくのに役立ちます。
数を分解することがが苦手なようでしたら、第729回や第730回でご紹介しました「工夫のできる計算問題」等を利用して、計算をするときに工夫を考えることから始めてみましょう。