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第743回 女子中の入試問題 平面図形 1

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図形の練習問題 2025年10月04日18時00分

「第743回 女子中の入試問題 平面図形 1」

前回まで、近年の女子中の入試で出された「速さ」の問題を取り扱いました。

今回からは「平面図形」の問題を見ていきます。

その1回目のテーマは、「角の大きさ」です。

さっそく問題を見ていきましょう。

 

1問目は、正□角形(正多角形)に関する基本レベルの問題です。

 

【問題】図のように、正五角形の対角線を2本引きました。角xの大きさは何度ですか。

(山脇学園中学校 C 2025年 問題1-(7) 問題文一部変更)

 

【考え方】

角の大きさを求めるときは、原則として、三角形の角に着目します。

問題図の中に、二等辺三角形があります。(左上図)

また、□角形(多角形)の外角の和は360度なので、正五角形の1つの外角の大きさは

360度÷5=72度

正五角形の1つの内角の大きさは

180度-72度=108度

です。(右上図)

よって、二等辺三角形の印(○)をつけた角の大きさは

(180度-108度)÷2=36度

です。

x=108度-36度=72度

答え 72度

 

本問は、角の着目ポイントと正多角形の角の基本を確認できる問題です。

□角形の内角の和=180度×(□-2)

□角形の外角の和=360度

は、セットで覚えるようにします。

なお、解答例では「180度-外角=内角」を利用しましたが、「三角形の外角のきまり(三角形の外角=隣りにない2つの内角の和)」を使って解くこともできます。

また、正五角形の中にある等脚台形に着目してもOKです。

 

 

2問目も、二等辺三角形が関係する基本問題です。

 

【問題】下の図の角アの大きさは何度ですか。ただし、三角形ABCは正三角形です。

(淑徳与野中学校 第1回 2025年 問題2-(1) 問題文一部変更)

 

【考え方】

角の問題の原則は、1問目で見たように「三角形に着目」ですが、角アに関係のある三角形(三角形ACD、三角形BCD、三角形CDE)について、わかることがまだありません。

次に「三角形ABCは正三角形」という条件に着目すると、角ABDの大きさが

60度-15度=45度

なので、三角形ABDが直角二等辺三角形であるとわかります。

さらに、

角CAD=角BAD-角BAC=90度-60度=30度

AC=AD(=AB)

ですから、三角形ACDが二等辺三角形であることもわかります。

角ADC=(180度-30度)÷2=75度

角ア=角ADC-角ADB=75度-45度=30度

答え 30度

 

本問は、「隠れた」二等辺三角形を利用する問題です。

角の大きさを求める問題には、1問目で利用した三角形の内角や外角に着目する問題のほか、本問のように二等辺三角形を見つけて解く問題もあります。

 

3問目は、平行線と角の基本問題です。

 

【問題】図の直線ℓとmは平行です。アの角の大きさは何度ですか。

(普連土学園中学校 1日午後算数 2025年 問題1-(8))

 

【考え方】

3問目は、外見から「イナズマ角」とも言われる問題です。

「イナズマ角」は「平行線の同位角や錯角は等しい」を利用して解くことができます。

錯角を利用するため、次の図のように直線ℓ、と平行な直線を引きます。

78度の角とイ、ウとエ、オと73度の角は、それぞれ錯角の関係ですから、イ=78度、ウ=エ、オ=73度です。

エ=360度-(255度+73度)=32度=ウ

ア=イ+ウ

なので

ア=78度+32度=110度

です。

答え 110度

 

本問は、平行線の同位角や錯角の利用を確認できる問題です。

解答例の他、次のように「三角形の外角のきまり」を使う解き方もあります。

 

最後は、補助線を使った応用レベルの問題です。

 

【問題】下の図は、同じ大きさの2つの正方形を組み合わせたものです。点Gは直線CE上にあります。このとき、角AHCの大きさは何度ですか。

(香蘭女子学院中等科 第1回 2025年 問題1-⑪ 問題文一部変更)

 

【考え方】

同じ大きさの正方形を問題図のように組み合わせてできる図形は線対称で、線対称の軸はAIです。

 

三角形ACJと、線対称な位置にある2点C、Fを直線で結んでできる三角形FCJは、AFとEGが正方形AEFGの対角線なので垂直に交わり、角AJC=角FJC=90度 ですから、合同な直角三角形です。

ですから、AC=FC です。

また、ACとAFは大きさが同じ正方形の対角線ですから AC=AF です。

よって、三角形ACFは正三角形とわかります。

上の図の水色の三角形AHJにおいて、

角AJH=90度

角HAJ=角CAF-角CAH=60度-45度=15度

ですから、

外角AHC=角AJH+角HAJ=90度+15度=105度

です。

答え 105度

 

本問は、1つの頂点で重なる2つの同じ大きさの正方形の特徴と合同な三角形を利用する応用レベルの問題です。

 

今回は、2025年度に女子中で出された「角の大きさ」の問題をご紹介しました。

1~3問目は、三角形の内角や外角、二等辺三角形の角、平行線の角などを利用する基本問題です。もし、正解できない問題があれば、角の問題の原則や着目ポイントをチェックします。

4問目は、対称な図形や三角形の合同なども利用しますので、これらの単元を学習を終えていたら挑戦してみましょう。

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図形の練習問題 / 中学入試の算数問題 2025年10月04日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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