第734回 女子中の入試問題 比と割合 1
「第734回 女子中の入試問題 比と割合 1」
前回まで、5回にわたって近年の女子中の入試で出された「数と計算」について考えました。
今回からは「比と割合」の問題を取り扱っていきます。
その1回目のテーマは、「比と割合の一行問題」です。
1問目は「比例式」の問題です。
【問題】A組の男子と女子の人数の比は2:3で、B組の男子と女子の人数の比は5:4です。また、A組とB組の男子の合計と、A組とB組の女子の合計の比は7:8です。A組とB組の男子の人数の比をもっとも簡単な整数の比で答えなさい。
(普連土学園中学校 1日午後 2025年 問題(44))
【考え方】
条件を表に整理することができます。
「:」で結ばれた比には、同じマークをつけることができます。
男子の合計、女子の合計について比例式を作ります。
(②+5□):(③+4□)=7:8
比例式の内項の積と外項の積は等しいです。
ですから、A組とB組の男子の人数の比は
②:5□=(12×2):(5×5)=24:25
です。
答え 24:25
本問は、比例式の作り方とその計算方法を確認できる問題です。
なお、②+5□=7△、③+4□=8△として、消去算を利用する方法もあります。
2問目は「相当算」の問題です。
【問題】まおさんは、花束を作るために花を買いました。1つ目の花束には買ってきた本数の半分を使い、2つ目の花束には残りの本数の4/7を使いました。3つ目の花束には残りの9本をすべて使いました。買ってきた花は全部で何本ですか。
(三輪田学園中学校 1回午後 2025年 問題2-(2))
【考え方】
条件を線分図に整理することができます。
このとき、「元にする量が異なる割合」は1段下げて線分図をかくと考えやすいです。
1-4/7=3/7 → 9本が残りの本数の3/7にあたります。
(残りの本数)×3/7=9本
(残りの本数)=9本÷3/7=21本
1-1/2=1/2 → 21本が買ってきた本数の1/2にあたります。
(買ってきた本数)×1/2=21本
(買ってきた本数)=21本÷1/2=42本
答え 42本
本問は、相当算の基本を確認できる問題です。
正解できないときは、線分図をかいて考えましょう。
3問目は「2人の年令算」の問題です。
【問題】現在、母の年齢は子の年齢の3倍で、4年後に母の年齢は子の年齢の2.5倍になります。現在の母の年齢は何才ですか。
(国府台女子学院中学部 第1回 2025年 問題2-(2) 問題文一部変更)
【考え方】
2人の年令算では、2人の年令の差が変わらないことに着目します。
差を2と3の最小公倍数の6にそろえます。
現在③才の子どもが4年後に④才になりますから、
③才+4才=④才 → ①才=4才
です。
4才×9=36才
答え 36才
本問は、2人の年令算の基本を確認できる問題です。
解答例の表の他、次のような線分図に整理して解いてもよいでしょう。
4問目は「3人の年令算」の問題です。
【問題】現在、Aさんとお父さんの年齢の比は1:3です。5年後のAさんとお母さんの年齢の比は4:9です。5年後のAさんとお父さんとお母さんの年齢の合計は115歳です。現在のお父さんの年齢は何歳ですか。
(大妻中学校 第2回 2025年 問題6)
【考え方】
条件を表に整理することができます。
5年後のAさんの年令を④才とすると、
現在のAさんの年令は(④-5)才、
現在のお父さんの年令は(④-5)×3=(⑫-15)才、
5年後のお父さんの年令は(⑫-15+5)才=(⑫-10)才
です。
④才+(⑫-10)才+⑨才=115才 → ①才=(115+10)才÷(4+12+9)=5才
5才×12-15=45才
答え 45才
本問は、3人以上の年令算の整理方法を確認できる問題です。
3人の年令算を線分図に整理した場合、線分図のが読み取りが難しくなることがあります。
そのようなときは、表に整理し直してみるとよいでしょう。
最後は「はね上がるボール」の問題です。
【問題】あるボールは、落とした高さの75%まではね上がります。このボールを点Aから落としたところ、図のように1段ずつはね、3段目で63㎝はねました。一番上の段から点Aまでの高さは何㎝ですか。
(東洋英和女学院中学部 B 2025年 問題12)
【考え方】
(ボールを落とす高さ)×0.75=(ボールがはね上がる高さ)という関係を使って、最後から最初に向けて順に戻ります。
□㎝×0.75=63㎝ → □㎝=63㎝÷0.75=84㎝
84㎝-27㎝=57㎝
■㎝×0.75=57㎝ → ■㎝=57㎝÷0.75=76㎝
76㎝-34㎝=42㎝
◎㎝×0.75=42㎝ → ◎㎝=42㎝÷0.75=56㎝
答え 56㎝
本問は、はね上がるボールの基本を確認できる問題です。
段ではね上がってから落ちるとき、ボールが落ちた高さから段の高さを除いた長さがはね上がる高さと等しいことに注意します。
今回は、2025年度に女子中の入試で出された「比と割合の一行問題」をご紹介しました。
いずれの問題も基本レベルの問題であり、また、(元にする量)×(割合)=(比べる量)などの割合の3公式や比例式は、いろいろな問題を解くときの計算に用いる技術です。
ですから、もし、正解できない問題があれば、早急にどこで間違えたかを調べ、類題を使って正しい解き方をマスターすることが必要です。