第724回 男子中の入試問題 文章題 1
「第724回 男子中の入試問題 文章題 1」
近年に男子中の入試で出された問題を、出題分野別に見ています。
前回までの分野は「立体図形」でした。
今回からは「文章題」について考えます。
その1回目となる今回で取り扱うのは、「和と差の文章題」です。
では、さっそく問題を見ていきましょう。
【問題】1個150円のクッキーと1個70円のチョコレートを合わせて20個買うために、ちょうどの代金の( )円を用意しましたが、クッキーとチョコレートの個数を逆にして買ってしまったため、320円余りました。( )にあてはまる数を求めなさい。
(攻玉社中学校 2025年 問題2-(2) 問題文一部変更)
【考え方】
実際の買い物の代金は予定よりも320円安くなりましたから、単価(1個あたりの値段)の高いクッキーを多く買う予定のところを、実際には単価の安いチョコレートを多く買ったことがわかります。
予定の青枠部分の代金と実際の青枠部分の代金は同じですから、余った320円は赤枠部分の差ということになります。
クッキーとチョコレートの単価の差が
150円-70円=80円
なので、赤枠部分のお菓子の個数は
320円÷80円=4個
とわかります。
つまり、予定ではクッキーの方をチョコレートよりも4個多く、合わせて20個買うつもりだったことになりますから、買う予定だったそれぞれの個数は
(20個+4個)÷2=12個 … クッキーの個数(予定)
20個-12個=8個 … チョコレートの個数(予定)
です。
150円×12個+70円×8個=2360円
答え 2360(円)
本問は、予定と実際の表し方を確認できる問題で、単価の差に着目することがポイントになっています。
なお、次のように表して考えることもできます。
続けて、2問目を見ていきます。
【問題】太郎君、次郎君、花子さんはお菓子を買いに行きました。太郎君はお菓子A、お菓子B、お菓子Cを1個ずつ買い、次郎君はお菓子Aを5個とお菓子Bを2個買い、花子さんはお菓子Bを4個とお菓子Cを3個買いました。太郎君、次郎君、花子さんの代金はそれぞれ400円、710円、1060円でした。お菓子Bは1個いくらですか。
(立教新座中学校 2024年 問題1-(2))
【考え方】
条件を表に整理すると、消去算であることがわかります。
はじめに、太郎君の買い方を5倍してお菓子Aの個数を次郞君とそろえ、「お菓子Aを消去」することにします。
1個×5=5個
400円×5=2000円
太郎君の買い方の5倍と次郞君の買い方の差から「お菓子Bを3個とお菓子Cを5個の代金が1290円」とわかります。
次に、今求めた差を3倍、花子さんの買い方を5倍してお菓子Cの個数を次郎君とそろえ、「お菓子Cを消去」します。
3個×3=9個
5個×3=15個
1290円×3=3870円
4個×5=20個
3個×5=15個
1060円×5=5300円
(5300円-3870円)÷(20個-9個)=130円
答え 130円
本問は、消去算のうちの「加減法」といわれる考え方を確認できる問題です。
解答例では「お菓子A→お菓子C」の順に消去しましたが、他の順でも答えを求めてもOKです。
また、条件を表に整理していますが、式を利用する整理方法もあります。
式に整理する方法は「代入法」や「等置法」を利用する消去算のときに利用しやすいですから、本問のような「加減法」の問題でも式を使う練習をしておくとよいでしょう。
今回、最後の問題です。
【問題】1個50円のアメ、70円のガム、100円のチョコレートをあわせて42個買います。アメをガムの1.5倍の個数だけ買ったところ、代金の合計が3150円になりました。買ったチョコレートの個数は何個でしたか。答えを出すための計算や考え方を書いて答えなさい。
(高輪中学校 2024年 問題2-(4))
【考え方】
個数の合計と代金の合計が与えられていることから、つるかめ算とわかります。
つるかめ算の基本問題は「つる」と「かめ」のように2種類に関する問題ですが、本問は「アメ」、「ガム」、「チョコレート」の3種類に関する問題です。
そこで、「アメをガムの1.5倍の個数」という条件を満たすように表を書いていくことにします。
50円×0個×1.5+70円×0個+100円×(42個-0個×1.5-0個)=4200円
50円×2個×1.5+70円×2個+100円×(42個-2個×1.5-2個)=3990円
50円×4個×1.5+70円×4個+100円×(42個-4個×1.5-4個)=3780円
表より、ガムの個数を2個増やすと、代金の合計が210円減ることがわかります。
ですから、代金の合計が3150円になるのは4200円から210円減ることを
(4200円-3150円)÷210円=5(回)
繰り返したときです。
□個=0個+2個×5=10個 … ガムの個数
42個-10個×1.5-10個=17個
答え 17個
本問は、3種類のつるかめ算の考え方を確認できる問題です。
「アメをガムの1.5倍の個数」という条件に着目して表を書くことがポイントになっています。
なお、表の他に、面積図や式を利用する解き方もあります。
式の一例
(100円-50円)×③個+(100円-70円)×②個=100円×42個-3150円
150○+60○=1050 → ①=1050÷210=5(個)
今回は、2024年度に男子中の入試で出された「和と差の文章題」の問題をご紹介しました。
1問目の差集め算、2問目の消去算、3問目のつるかめ算の3問は、どれも基本問題より少し難しい応用レベルの問題ですが、定番の問題でもあります。
ですから、もし、これらの問題を習い終えていても正解できないようでしたら、基本レベルの問題を使って「○○算」の条件整理の方法や基本の解法が理解できているかを確認し、その上で、今回のような定番問題を使って、応用レベルの考え方のマスターを目指しましょう。