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第726回 男子中の入試問題 場合の数 1

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場合の数の練習問題 2025年06月07日18時00分

「第726回 男子中の入試問題 場合の数 1」

前回まで、近年に男子中の入試で出された「文章題」について考えました。

今回からは「場合の数」の問題を取り扱っていきます。

1回目のテーマは「並べ方と選び方」です。

 

では、さっそく問題を見ていきましょう。

 

1問目は「カードの並べ方」の問題です。

 

【問題】1、1、2、3、4の5枚のカードから3枚を取り出して並べてできる3けたの整数のうち、小さい方から数えて15番目の整数を求めなさい。

(世田谷学園中学校 2024年 問題1-(5) 問題文一部変更)

 

【考え方】

3桁の整数を作る問題なので、100台の整数、200台の整数、… のように「100刻み」で調べていきます。

〈100台の整数〉

100台の整数を 1□□ のように表すと、十の位の□には残った1、2、3、4の4枚のカードから1枚を選ぶ4通りの並べ方があり、一の位の□には百の位と十の位で使った残りの3枚のカードから1枚を選ぶ3通りの並べ方があるので、100台の整数は

4通り×3通り=12通り

あります。

〈200台の整数〉

15番目の整数まであと3個なので、書き出していきます。

小さい方から 211、213、214、… と作れますから、小さい方から数えて15番目の整数は214です。

答え 214

 

本問は、数を作るときの基本を確認できる問題です。

樹形図をかいて解いているときは、デジタル図(※俗称です)に換えても解けることをチェックをしましょう。

 

 

2問目も「カードの並べ方」の問題です。

 

【問題】箱の中に5枚のカード1、2、3、4、5があります。箱の中からカードを1枚引いて、そのカードを左から順に並べる操作をくり返し、3枚のカードを並べたところで操作を終えます。ただし、4を並べたときは、その時点で操作を終えます。カードの並べ方は全部で何通りありますか。

(城北中学校 2024年 問題2-(3) 問題文一部変更)

 

【考え方】

「4を並べたときは、その時点で操作を終えます」から、4のカードを1枚目に引いたとき、4のカードを2枚目に引いたとき、1枚目でも2枚目でも4のカードを引かなかったときの3つの場合に分けて考えます。

〈4のカードを1枚目に引いたとき〉

操作はそこで終わりますから、カードの並べ方は「4」の1通りです。

〈4のカードを2枚目に引いたとき〉

1枚目が「4」以外の4通り、2枚目が「4」の1通りですから、

4通り×1通り=4通り

の並べ方があります。

〈4のカードを1枚目でも2枚目でも引かなかったとき〉

1枚目が「4」以外の4通り、2枚目が1枚目で引いたカードと「4」以外の3通り、3枚目が1枚目と2枚目で引いたカード以外の3通りですから、

4通り×3通り×3通り=36通り

の並べ方があります。

よって、全部で

1通り+4通り+36通り=41通り

のカードの並べ方があります。

答え 41通り

 

本問は、「場合分けをする」という場合の数の基本を確認できる問題です。

ここでは4のカードがポイントになっていますから、4のカードを何枚目に引くかで場合分けができることを確認します。

 

最後は「並べ方」と「選び方」が組み合わさった問題です。

 

【問題】A、B、C、D、Eの5つの文字を一列に並べて、それらの間の4か所に+か×の記号を1つずつ入れます。例えば、5つの文字を左からB、E、D、A、Cの順に並べ、それらの間に×、+、×、×を入れると

B×E+D×A×C …①

となります。

(1) 5文字の間の4か所に、+を1個、×を3個入れるとき、文字と記号の並べ方は何通りですか。

(2) 5文字の間の4か所に、+を2個、×を2個入れるとき、文字と記号の並べ方は何通りですか。

次に、並べたものを式として考えます。かけ算は順序を入れかえても計算した結果は変わらないことから、例えば、

E×B+D×A×C や、

E×B+C×A×D など

は①と同じ式と考え、これらを区別しません。

また、足し算よりかけ算を先に計算すると、たし算の順序を入れかえても計算した結果は変わらないことから、例えば、

D×A×C+B×E や、

C×A×D+E×B など

は①と同じ式と考え、これらを区別しません。

(3) 5文字の間の4か所に、+を1個、×を3個入れるとき、式は何通りできますか。

(4) 5文字の間の4か所に、+を2個、×を2個入れるとき、式は何通りできますか。

(海城中学校 2025年 問題3)

 

【考え方】

(1)

はじめに、文字の並べ方を考えます。

5通り×4通り×3通り×2通り×1通り=120通り

次に、「+」と「×」の入れ方を考えます。

先に「+」を(ア)~(エ)のどこか1か所に入れると、「×」は残り(点線部分)に入れることになりますから、「+」と「×」の入れ方は、1通りの文字の並び方(下の図は「ABCDE」の場合)に対して4通りあります。

よって、全部で

120通り×4通り=480通り

です。

答え 480通り

 

(2)

文字の並べ方は(1)と同じ120通りです。

「+」は(ア)~(エ)のどこか2か所に入れますので6通りあり、「×」は残り(点線部分)に入れることになります(=1通り)から、「+」と「×」の入れ方は、1通りの文字の並び方に対して

6通り×1通り=6通り

あります。

よって、全部で

120通り×6通り=720通り

です。

答え 720通り

 

※「+」の入れ方は

4C2=4通り×3通り÷2=6通り

のように、計算で求められると理想的です。

 

(3)

記号の入れ方で場合分けをします。

〈×が3つ連続する場合〉

記号が +、×、×、× の順になるとき、「あ」には5通りの文字の入れ方があり、「い×う×え×お」には残りの4文字をどの順に入れても計算結果が同じになります(=1通り)ので、

5通り×1通り=5通り

の式ができます。

記号が ×、×、×、+ の順になるときも計算結果は同じになるので、×が3つ連続する場合の式は5通りです。

〈×が2つ連続する場合〉

記号が ×、+、×、× の順になるとき、「あ×い」には5つの文字から2つの文字を選んで入れるので

5C2=5通り×4通り÷2=10通り

の式ができ、「う×え×お」には残りの3文字をどの順に入れても計算結果が同じになります(=1通り)ので、

10通り×1通り=10通りの式ができます。

記号が ×、×、+、× の順になるときも計算結果は同じになるので、×が2つ連続する場合の式は10通りです。

よって、

5通り+10通り=15通り

の式ができます。

答え 15通り

 

(4)

〈×が2つ連続する場合〉

記号が +、+、×、× の順になるとき、「あ+い」には5つの文字から2つの文字を選んで入れるので10通りの式ができ、「う×え×お」には残りの3つの文字ををどの順に入れても計算結果が同じになります(=1通り)ので、

10通り×1通り=10通り

の式ができます。

 

記号が +、×、×、+ の順になるときも ×、×、+、+ の順になるときも計算結果は同じになるので、×が2つ連続する場合の式は10通りです。

〈×が連続しない場合〉

記号が +、×、+、× の順になるとき、「あ」には5通りの文字の入れ方があり、「い×う+え×お」には残りの4つの文字を2つの文字ずつに分けて入れるので3通りの式ができますから、

5通り×3通り=15通り

の式ができます。

記号が ×、+、×、+ の順になるときも計算結果は同じになるので、×が連続しない場合の式は15通りです。

よって、

10通り+15通り=25通り

の式ができます。

答え 25通り

 

本問は、(1)、(2)が順列と組み合わせの基本を、(3)、(4)は場合分けと組み合わせの応用の考え方を確認できる問題です。

パッと見た感じでは難しい問題のように見えますが、小問を(1)、(2)、… と順に解き進めていくと、場合の数の問題でよく練習する「選び方」の問題と同じであることに気づけるようになっています。

 

今回は、2025年度と2024年度に男子中の入試で出された「場合の数」の中から、「並べ方と選び方」がテーマの問題をご紹介しました。

樹形図などの書き出しで正解を得られるようになれば、場合分けや計算が利用できる問題も解き、さらなる得点力のアップを目指しましょう。

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場合の数の練習問題 / 中学入試の算数問題 2025年06月07日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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