第726回 男子中の入試問題 場合の数 1
「第726回 男子中の入試問題 場合の数 1」
前回まで、近年に男子中の入試で出された「文章題」について考えました。
今回からは「場合の数」の問題を取り扱っていきます。
1回目のテーマは「並べ方と選び方」です。
では、さっそく問題を見ていきましょう。
1問目は「カードの並べ方」の問題です。
【問題】1、1、2、3、4の5枚のカードから3枚を取り出して並べてできる3けたの整数のうち、小さい方から数えて15番目の整数を求めなさい。
(世田谷学園中学校 2024年 問題1-(5) 問題文一部変更)
【考え方】
3桁の整数を作る問題なので、100台の整数、200台の整数、… のように「100刻み」で調べていきます。
〈100台の整数〉
100台の整数を 1□□ のように表すと、十の位の□には残った1、2、3、4の4枚のカードから1枚を選ぶ4通りの並べ方があり、一の位の□には百の位と十の位で使った残りの3枚のカードから1枚を選ぶ3通りの並べ方があるので、100台の整数は
4通り×3通り=12通り
あります。
〈200台の整数〉
15番目の整数まであと3個なので、書き出していきます。
小さい方から 211、213、214、… と作れますから、小さい方から数えて15番目の整数は214です。
答え 214
本問は、数を作るときの基本を確認できる問題です。
樹形図をかいて解いているときは、デジタル図(※俗称です)に換えても解けることをチェックをしましょう。
2問目も「カードの並べ方」の問題です。
【問題】箱の中に5枚のカード1、2、3、4、5があります。箱の中からカードを1枚引いて、そのカードを左から順に並べる操作をくり返し、3枚のカードを並べたところで操作を終えます。ただし、4を並べたときは、その時点で操作を終えます。カードの並べ方は全部で何通りありますか。
(城北中学校 2024年 問題2-(3) 問題文一部変更)
【考え方】
「4を並べたときは、その時点で操作を終えます」から、4のカードを1枚目に引いたとき、4のカードを2枚目に引いたとき、1枚目でも2枚目でも4のカードを引かなかったときの3つの場合に分けて考えます。
〈4のカードを1枚目に引いたとき〉
操作はそこで終わりますから、カードの並べ方は「4」の1通りです。
〈4のカードを2枚目に引いたとき〉
1枚目が「4」以外の4通り、2枚目が「4」の1通りですから、
4通り×1通り=4通り
の並べ方があります。
〈4のカードを1枚目でも2枚目でも引かなかったとき〉
1枚目が「4」以外の4通り、2枚目が1枚目で引いたカードと「4」以外の3通り、3枚目が1枚目と2枚目で引いたカード以外の3通りですから、
4通り×3通り×3通り=36通り
の並べ方があります。
よって、全部で
1通り+4通り+36通り=41通り
のカードの並べ方があります。
答え 41通り
本問は、「場合分けをする」という場合の数の基本を確認できる問題です。
ここでは4のカードがポイントになっていますから、4のカードを何枚目に引くかで場合分けができることを確認します。
最後は「並べ方」と「選び方」が組み合わさった問題です。
【問題】A、B、C、D、Eの5つの文字を一列に並べて、それらの間の4か所に+か×の記号を1つずつ入れます。例えば、5つの文字を左からB、E、D、A、Cの順に並べ、それらの間に×、+、×、×を入れると
B×E+D×A×C …①
となります。
(1) 5文字の間の4か所に、+を1個、×を3個入れるとき、文字と記号の並べ方は何通りですか。
(2) 5文字の間の4か所に、+を2個、×を2個入れるとき、文字と記号の並べ方は何通りですか。
次に、並べたものを式として考えます。かけ算は順序を入れかえても計算した結果は変わらないことから、例えば、
E×B+D×A×C や、
E×B+C×A×D など
は①と同じ式と考え、これらを区別しません。
また、足し算よりかけ算を先に計算すると、たし算の順序を入れかえても計算した結果は変わらないことから、例えば、
D×A×C+B×E や、
C×A×D+E×B など
は①と同じ式と考え、これらを区別しません。
(3) 5文字の間の4か所に、+を1個、×を3個入れるとき、式は何通りできますか。
(4) 5文字の間の4か所に、+を2個、×を2個入れるとき、式は何通りできますか。
(海城中学校 2025年 問題3)
【考え方】
(1)
はじめに、文字の並べ方を考えます。
5通り×4通り×3通り×2通り×1通り=120通り
次に、「+」と「×」の入れ方を考えます。
先に「+」を(ア)~(エ)のどこか1か所に入れると、「×」は残り(点線部分)に入れることになりますから、「+」と「×」の入れ方は、1通りの文字の並び方(下の図は「ABCDE」の場合)に対して4通りあります。
よって、全部で
120通り×4通り=480通り
です。
答え 480通り
(2)
文字の並べ方は(1)と同じ120通りです。
「+」は(ア)~(エ)のどこか2か所に入れますので6通りあり、「×」は残り(点線部分)に入れることになります(=1通り)から、「+」と「×」の入れ方は、1通りの文字の並び方に対して
6通り×1通り=6通り
あります。
よって、全部で
120通り×6通り=720通り
です。
答え 720通り
※「+」の入れ方は
4C2=4通り×3通り÷2=6通り
のように、計算で求められると理想的です。
(3)
記号の入れ方で場合分けをします。
〈×が3つ連続する場合〉
記号が +、×、×、× の順になるとき、「あ」には5通りの文字の入れ方があり、「い×う×え×お」には残りの4文字をどの順に入れても計算結果が同じになります(=1通り)ので、
5通り×1通り=5通り
の式ができます。
記号が ×、×、×、+ の順になるときも計算結果は同じになるので、×が3つ連続する場合の式は5通りです。
〈×が2つ連続する場合〉
記号が ×、+、×、× の順になるとき、「あ×い」には5つの文字から2つの文字を選んで入れるので
5C2=5通り×4通り÷2=10通り
の式ができ、「う×え×お」には残りの3文字をどの順に入れても計算結果が同じになります(=1通り)ので、
10通り×1通り=10通りの式ができます。
記号が ×、×、+、× の順になるときも計算結果は同じになるので、×が2つ連続する場合の式は10通りです。
よって、
5通り+10通り=15通り
の式ができます。
答え 15通り
(4)
〈×が2つ連続する場合〉
記号が +、+、×、× の順になるとき、「あ+い」には5つの文字から2つの文字を選んで入れるので10通りの式ができ、「う×え×お」には残りの3つの文字ををどの順に入れても計算結果が同じになります(=1通り)ので、
10通り×1通り=10通り
の式ができます。
記号が +、×、×、+ の順になるときも ×、×、+、+ の順になるときも計算結果は同じになるので、×が2つ連続する場合の式は10通りです。
〈×が連続しない場合〉
記号が +、×、+、× の順になるとき、「あ」には5通りの文字の入れ方があり、「い×う+え×お」には残りの4つの文字を2つの文字ずつに分けて入れるので3通りの式ができますから、
5通り×3通り=15通り
の式ができます。
記号が ×、+、×、+ の順になるときも計算結果は同じになるので、×が連続しない場合の式は15通りです。
よって、
10通り+15通り=25通り
の式ができます。
答え 25通り
本問は、(1)、(2)が順列と組み合わせの基本を、(3)、(4)は場合分けと組み合わせの応用の考え方を確認できる問題です。
パッと見た感じでは難しい問題のように見えますが、小問を(1)、(2)、… と順に解き進めていくと、場合の数の問題でよく練習する「選び方」の問題と同じであることに気づけるようになっています。
今回は、2025年度と2024年度に男子中の入試で出された「場合の数」の中から、「並べ方と選び方」がテーマの問題をご紹介しました。
樹形図などの書き出しで正解を得られるようになれば、場合分けや計算が利用できる問題も解き、さらなる得点力のアップを目指しましょう。