第754回 女子中の入試問題 文章題 1
「第754回 女子中の入試問題 文章題 1」
2025年度に女子中の入試で出された問題について考えています。
今回からは「文章題」を取り扱っていきます。
1回目の今回は、「植木算」や「つるかめ算」などの問題を見ていきます。
1問目は植木算の問題です。
【問題】A地点から600m離れたB地点まで、同じ間隔で木を植えることにしました。A地点から13mおきに木を植えていくと、途中で木が足りなくなり、B地点の80m手前の所までしか植えられなくなります。このとき、木は[①]本あり、A地点から[②]mおきに木を植えると、最後の木をちょうどB地点に植えることができます。ただし、最初の木はA地点に植えるものとします。
(立教女学院中学校 2025年 問題1-(7) 問題文一部変更)
【考え方】
条件は次のような図に表せます。

600m-80m=520m … AC間の距離
(端から端までの距離)÷(間隔)=(間の数)です。
520m÷13m=40か所… 木と木の間の数
端から端まで木を植えたとき、木の本数は間の数よりも1つ多くなります。
40か所+1=41本 → ①=41
A地点からB地点まで41本の木を端から端まで植えると、間の数は40か所できます。
(端から端までの距離)÷(間の数)=(間隔)という関係がありますから、
600m÷40か所=15m → ②=15
となります。
答え ① 41、 ② 15
本問は、植木算の基本を確認できる問題です。
もし、正解できないようでしたら、間隔、間の数、端から端までの距離の関係(間隔×間の数=端から端までの距離 など)をチェックします。
2問目はつるかめ算の問題です。
【問題】70円の鉛筆と100円のボールペンと150円の油性ペンがあります。これらをあわせて20本買ったところ、合計金額が1710円でした。このとき、鉛筆、ボールペン、油性ペンをそれぞれ何本買ったか求めなさい。
(東京女学館中学校 2月1日(午後) 2025年 問題2-(3))
【考え方】
3種のつるかめ算は、条件を面積図に表し、「もし鉛筆ばかりを買えば~」(最小金額)、または、「もし、油性ペンばかり買えば~」(最大金額)に着目することが、解き方の基本です。

今回は、最小金額から考えることにします。
70円×20本=1400円 … 赤色部分の合計金額
最小金額(赤色部分)と実際の金額との差(水色部分)に着目します。
1710円-1400円=310円 … 水色部分の合計金額
100円-70円=30円
150円-70円=80円

ボールペンを□本、油性ペンを■本買ったとします。
30円×□本+80円×■本=310円
この式にあてはまる□と■の組み合わせは、(□、■)=(5、2)の1組だけです。
20本-(5本+2本)=13本 … 鉛筆の本数
答え 鉛筆 13本、 ボールペン 5本、 油性ペン 2本
本問は、3種のつるかめ算の基本を確認できる問題です。
面積図をかく代わりに
70円×☆本+100円×□本+150円×■本=1710円
のように、条件を式に表し、
30円×□本+80円×■本=1710円-70円×20本=310円
と、解き進めていくこともできます。
3問目は損得のあるつるかめ算(弁償算)の問題です。
【問題】Aさんは60個、Bさんは40個のあめ玉を持っています。コインを1回投げて表がでたらAさんがBさんに3個、裏がでたらBさんがAさんに2個あめ玉を渡します。コインを20回投げた後、Aさんの持っているあめ玉は55個になりました。このとき、コインの表は何回出ましたか。
(品川女子学院中等部 算数1教科 2025年 問題16 問題文一部変更)
【考え方】
弁償算は、「もし、得しかしなかったら~(損が一切なければ~)」から考えて表に整理すると、規則性を利用しやすいです。
60+2×20=100(個) … 裏が20回出たときのAさんのあめ玉
60+2×19-3×1=95(個) … 裏が19回出たときのAさんのあめ玉
60+2×18-3×2=90(個) … 裏が18回出たときのAさんのあめ玉

表より、表の出る回数が1回増えると、Aさんのあめ玉が5個減るとわかります。
(100個-55個)÷5個=9
よって、表の出る回数がが0回から9回増えると、Aさんのあめ玉が55個になります。
答え 9回
本問は、弁償算の基本を確認できる問題です。
なお、Aさんのあめ玉の個数の増減だけに着目する解き方もあります。
60個-55個=5個 … Aさんのあめ玉の減った個数
もし、20回とも表がでたら
3個×20回=60個
減りますから、裏が
(60個-5個)÷(3個+2個)=11回
が出たとわかります。
最後は範囲のある問題です。
【問題】10円硬貨は1枚4.5g、5円硬貨は1枚3.75gあります。10円硬貨と5円硬貨が合わせて1000円分あり、重さが700g以上あるとき、10円硬貨は何枚ありますか。考えられる最も多い枚数を答えなさい。
(カリタス女子中学校 第2回 2025年 問題1-(7) 問題文一部変更)
【考え方】
10円硬貨と5円硬貨の合計金額が1000円ですから、10円硬貨と5円硬貨の枚数の組み合わせは
(10円硬貨、5円硬貨)=(100枚、0枚)、(99枚、2枚)、 … 、(0枚、200枚)
の101通りがあります。
そこで、これらの組み合わせについて合計の重さを調べて表に整理し、700g以上という条件にあてはまる枚数の組を探します。
4.5g×100枚+3.75g×0枚=450g
4.5g×99枚+3.75g×2枚=453g
4.5g×98枚+3.75g×4枚=456g

表より、10硬貨の枚数が1枚減ると、合計の重さが3g増えることがわかります。
(700g以上-450g)÷3g=83.3…枚以上
ですから、10円硬貨が84枚減ると、合計の重さが
3g×84=252g
増えて
450+252=702g
となり、700g以上という条件を満たします。
100枚-84枚=16枚
答え 16枚
本問は、範囲があるときの規則性の利用方法を確認できる問題です。
ポイントは、はじめに決められている合計金額から10円硬貨と5円硬貨の枚数の組み合わせを見つけ、次に各組の重さを調べる、という手順にあります。
今回は、2025年度に女子中の入試で出された、植木算とつるかめ算など規則性を利用する問題をご紹介しました。
1問目の植木算は基本レベルの問題、2問目の3種のつるかめ算、3問目の弁償算はつるかめ算の中では難しい部類に入りますが、定番の問題でもありますから、これらの1~3問目の中で正解できない問題があれば、類題演習をして面積図や表の使い方を補強しましょう。
4問目は今回ご紹介した4問の中では最も難しい問題です。
解けなかったときは、何に着目するのかを確認しましょう。
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